会社の接待費についてのご質問です。
先日、勤め先の会社で取引先を招いて食事会を開きました。事前に経理部から予算は1人あたり5,000円までで、参加者の名前はしっかり記録するように言われていました。その詳しい理由は教えてもらえなかったのですが、何かあるのでしょうか?
私、伊藤がお答えします!
※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2017年12月4日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。
会社は何をしようとしているの?
お勤め先の会社も含め、会社は1年間の成績を付けています。売上と支出を整理し、利益や損失を出して決算書としてまとめています。
これは法人税法に従って処理されているもので、内容に応じて税金を納めています。
税金は国などに納めるものですので、一度支払ってしまえば基本的に戻って来ないお金となります。
成績が良ければその分、納める税金も増えるのが一般的です。言い換えれば、成績が良い分だけ会社から出ていくお金は増えるということです。
ここでの成績というのは、最終的な利益がどうなっているかを意味しますので、売上が多いのに損失が出ているよりは、売上が少なくても多くの利益が出ている方が単純に成績が良いこととしています。
ただ、考え方次第ですが、売上は毎年しっかり確保しながらも会社から出ていくお金を少しでも抑えられたら良いと思いませんか?
実は、今回相談頂いた例の内容はこれを少しでも実現させることができる手段の1つなのです。
今回の場合ですと、食事会を開くことで取引先に喜んでもらい関係を良好に保ちながら、そこでかかったお金を経費として差し引くことができるため、結果として税金の対象となる金額を抑えることができるという仕組みです。
接待費の対象は?
接待費については、法人税法においては交際費等というものに含まれます。
交際費等とは、交際費、接待費、機密費などの費用で、法人がその得意先や仕入れ先など事業に関係のある者に対する接待、慰安、贈答などで支出する費用のことを言います。
実は、交際費等は経費として差し引くことができないのです。
取引先との食事会は経費になるのでは?
実は、交際費等については基本的には経費として差し引くことができないのです。
ただ、一定の条件を満たした場合には交際費等という扱いからは除かれるのです。
代表的なものを挙げますと、以下のものがあります。
- 従業員の慰安のための運動会、演芸会、旅行などに通常要する費用。
- 飲食その他これに類する行為のために要する費用で、その支出する金額をそこに参加した人数で割って計算した金額が5,000円以下である費用。
(ただし、その「年月日」「氏名や名称とその関係」「人数」「飲食店等の名称および所在地」「その他参考となるべき事項」が記載された書類を保存している場合に限ります) - カレンダー、手帳、うちわなどの物品を贈与するために通常要する費用。会議に関連して、弁当などの飲食物を供与するために通常要する費用。
先ほどの取引先との食事会は今の例の中ですと、2番目にお話をしたものに該当します。
しっかり所定の記録を保存して、1人あたりが5,000円以下であれば経費として差し引くことができるということです。
多少なら人数をごまかしてもバレなさそうですね?
確かに、保存した記録全てについて徹底的に確認されるということは考えにくいですので、そのような考えもあるかもしれません。
しかし、例えば、利用した飲食店の1人あたりの平均単価が8,000円であった場合、1人あたり5,000円以下にするために人数を水増した場合には、虚偽が発覚する恐れがあります。
今はネットであらゆる情報をすぐに調べられますので、当然、利用した店舗の1人あたりの平均単価もある程度簡単に調べられます。
疑惑があれば税務調査で徹底的に追及されますし、そもそも虚偽の申告は粉飾決算とも言われ、法的責任を問われる場合もあります。
また、過少申告加算税や重加算税などの金銭的に重い制裁も課せられます。
何か注意することは?
今回は交際費等についての例でしたが、会社の経理処理については法人税法上色々な取り決めがあります。
今回のように、適用されるルールの中でそれを活用すること自体は適法ですし問題はありません。
ただ、事実を捻じ曲げたりして無理矢理ルールに当てはめるような行為はダメです。
決められたルールの中で、会社にとってプラスに働くことは積極的に活用して頂くと良いですね。
会社のお金の使い道を決定したり管理したりする立場の人は特に注意が必要ですね。
税金の仕組みやお金のお困りごとがございましたら、小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。