残価設定ローンについてのご質問です。
我が家でもうすぐ車を買い替えをしようかと検討していまして、先日、ディーラーへ行ってきました。まだ具体的にどの車を買うのかは決めていないのですが、対応してくれた人に残価設定ローンというものを紹介されました。一通り話は聞いたのですが、いまいち理解しきれていません。わかりやすく教えて欲しいです。
私、伊藤がお答えします!
※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2020年1月6日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。
残価設定ローンとは?
あらかじめ3~5年後といった将来の時点での見込まれる車の価値を算出し、その分を差し引いて毎月の支払額を決定する仕組みのローンです。
通常のマイカーローンに比べ、月々の支払いを安く抑えることができます。
残価設定ローンは、新車購入時に自動車ディーラーで申し込む形が一般的です。
残価設定ローン以外の購入方法には
現金一括払い、販売店(ディーラー)や金融機関などが提案するマイカーローン・リース、残価設定ローンが一般的ですね。
ちなみに、J.D. パワーが実施している「日本自動車セールス満足度調査」では、残価設定ローンを選ぶユーザーが増えているという結果が出ています。
新車購入時のユーザーの支払い方法についてみると、現金払いの割合は2016年の68%が2019年には62%に、販売店でローン・リースを利用した割合は2016年の25%が2019年には31%へと推移しています。
販売店でローン・リースを利用したユーザーの中で、残価設定ローンを利用した割合を見てみると、2016年の54%が2019年には67%へと増加していました。
残価設定ローンの認知度が増加したこともそうですし、仕組みそのものがユーザーのニーズを満たしていると推測されます。
残価設定ローンの仕組み
具体的な例として、200万円の新車を買うケースで考えてみたいと思います。
通常、車の価値は乗っているうちに下がっていきますので、購入から3年後の残価つまり下取り価格は徐々に下がっていきます。
ここでは、200万円の車が3年後に90万円の価値になっているものとします。
残価設定ローンでは、新車本体の販売価格の200万円からこの90万円を差し引いた110万円がローンの対象額となります。
そのため、一般的なローンと比べ、月々の返済額を低く抑えることができます。
ただ、金利は車両価格全体(今回の場合は200万円)にかかります。
また、残価設定ローンは返済が終わった時点で「車を精算する」ことが基本となっています。
返済期間終了後には、いくつかの選択肢があります。
例えば、その車を返却して新しい車に乗り換えることもできますし、据え置いた残価を支払ってその車を購入して乗り続けることも可能です。
残価設定ローンのメリットは?
ユーザーにとってみれば、契約時に残価を設定しておくことで、手放すときの下取り価格に関する心配を軽減することができます。
実際の下取り価格が残価より高い場合は、差益を出せることもあります。
新しい車に乗りたいけれど、毎月の負担額は軽くしたいといった方や、ライフスタイルの変化に合わせ、その時々で必要なクルマに乗り換えたいという方には、残価設定ローンが適しているかもしれません。
残価設定ローンは売る側にもメリットがある
売り手にとっては点検や整備の履歴が把握できている良質な車が返済期間終了後に販売店に戻ってきます。
ローン返済期間中は顧客が定期的に来店するため、顧客とのコミュニケーションが活発になり、メンテナンスや整備関連の提案や次の車の提案をしやすいといった状況が生まれます。
こうした背景から、メンテナンスや保険なども含めたオトクなパッケージや、幅広い支払い方法など、残価設定ローンにはさまざまな商品が生まれていますね。
残価設定ローンの注意点
残価設定ローンの「残価」は、いわば下取り価格を保証しているため、中古車市場で販売しやすい車、つまり売れ筋モデルにお得な条件が設定される傾向があります。
そのため、自分が乗りたいモデルが必ずしも有利な条件に当てはまらない場合もあるのです。
また下取り時の状態をある程度保つため、期間中の走行距離も、月1,000kmや1,500kmなど、あらかじめプランを設定しておくことが条件となります。
プランを超えた場合は、その分に対する精算が必要です。
精算は、事故に遭うなどして、車に傷をつけてしまった場合も必要になります。
また、期間中の改造にも基本的には制約があります。
そして、期間終了後、その車に乗り続けたいと考えて新たにローンを組んだ場合は、金利が変更となり、次月以降の支払い額が増えることも考えられます。
目先の良い点ばかりに目を奪われていると、後からそんなはずではなかったということも起こり得ますのでしっかり理解しておく必要がありますね。
車の利用方法は色々な手段がある
かつては憧れの存在であった車は、今では多くの人にとり生活に必要な移動手段のひとつとなり、安心・便利に移動できることが車の大切な役割と考えられています。
3年や5年といった短期間で乗り換えることでメリットを享受できる「残価設定ローン」は、最先端の車を可能な負担額の範囲内で選べる、今の日本市場に合ったプランといえるかもしれません。
それでもなお、車を所有することは維持費がかかり経済的負担も大きいため、必要な時に乗れるのであればあえて車を所有することにはこだわらないという人も増えてきています。
そんな人向けにカーシェアリングやサブスクリプションといった定額サービスも浸透しつつありますね。
残価設定ローンについて、詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。