年収82万の壁とは?壁の種類、負担、影響、対策をFPが解説

年収82万の壁 マネー情報

年収82万円の壁についてのご質問です。

この前、厚生年金の収入要件の緩和が検討されているということを耳にしました。それによると、新たに年収82万円の壁というのが生まれるかもしれないとのことですが、どういうことなのでしょうか?現在パートで働いていて関係しそうなので詳しく教えて下さい。

伊藤
伊藤

私、伊藤がお答えします!

※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2018年10月22日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。

年収の壁とは

ご存知の方も多いかと思いますが、年収によってご自身の税金の支払いや厚生年金、健康保険などの社会保険料の支払いや扶養の対象になるかどうかの基準となる金額があり、それが一般的に○○万円の壁と呼ばれています。

壁はいくつかある?

まず、所得税や住民税の支払いの発生に関係する103万円の壁。

次に、従業員501人以上、週20時間以上、雇用期間1年以上、学生以外、月額88,000円以上の全てを満たすと勤務先の厚生年金や健康保険に加入が必要な106万円の壁。

次に、健康保険の扶養や厚生年金の加入に関係する130万円の壁。

最後に、扶養者の税金が段階的に増えていく150万円の壁。

主にこの4つがあります。

年収の壁の何が変わるの?

先ほどの中で106万円の壁というのがあり、5つの要件のうち月額88,000円という項目がありますが、この金額が68,000円に引き下げられることが検討されているのです。
年収にすると約82万円です。

なお、現在の106万円の壁の月額88,000円というものは残業代や交通費は含めないことになていますので、このルールは継続されるかもしれません。

あと、現在は従業員501人以上という要件もありますが、この要件の撤廃の話も出ているそうです。

もしこれが実現すると、厚生年金加入者はさらに200万人増えると予想されています。

今後社会保険料の負担が増える人が多い

伊藤
伊藤

夫が会社員で妻がパートをしているというケースでは影響を受ける可能性が高そうです。

夫の扶養家族として年金や健康保険の保険料負担が0円だった人でも、年収が約82万円(月額68,000円)を超えると保険料負担が発生するようになります。

仮に、この基準をギリギリ超えたあたりですと、現在の料率で試算すると月あたりの保険料負担は厚生年金が6,300円、健康保険が3,900円で、手取りとしては月10,200円減ります。

この場合、現在と同じ手取りを維持しようとすると、年収で96万円(月あたり8万円)を稼ぐ必要があります。

夫が自営業の人の場合は

自営業の人は国民年金、国民健康保険に加入しています。

そして、会社員のように社会保険の扶養という概念はないため、その配偶者も同じように保険料負担をしています。

先ほどと同じように年収82万円くらいのパート勤務の人を想定した場合、現在の保険料は国民年金が16,340円、国民健康保険が約5,000円で月あたり21,000円くらい支払っています。

82万円という基準ができて勤務先の厚生年金や健康保険に切り替わると、保険料負担が半額程度となります。

厚生年金保険料や健康保険料は基本的に勤務先が半分負担してくれるのが大きいです。

特に厚生年金は基礎年金の2階建て部分となるため、今まで将来受け取ることができる年金額も国民年金だけよりは増えることになります。

伊藤
伊藤

保険料負担が減り、将来の受取金額が増えるとなればとても嬉しい話ですよね。

また、国民年金より厚生年金の方が障害年金制度が手厚く、健康保険には国民健康保険にはない傷病手当金制度があります。

今できる対策は?

まだ検討の段階ですが、国会の審議が通ると早ければ2021年から適用される可能性があると言われていますので、そうなれば労働時間を調整したり、パート先を変えたりする必要が出てくるかもしれません。

また、可能なら今のうちから雇用保険に加入できるように現在の雇用主に交渉してみましょう。

雇用期間が31日以上、週の労働時間が20時間以上などの条件を満たせばパートでも雇用保険に加入が可能です。

伊藤
伊藤

仮に年収82万円くらいなら保険料は月300円程度です。

雇用保険は会社を辞める2年間に1年以上の加入期間があれば、失業手当がもらえる対象になりますので、職場を変わる場合などに大きな効力を発揮します。

また、スキルアップのために例えば栄養士や社会福祉士などの給付対象となる取得講座を修了すれば、年間最高40万円が給付されます。

もし現実の話となれば、事前に準備するかしないかは大きな差になりそうですね。

より詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。

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