後期高齢者医療制度の改正内容は?現状と改正点についてFPが解説

後期高齢者医療制度の改正 マネー情報

後期高齢者医療制度の仕組みと改正についてのご質問です。

我が家はいま、60代で夫婦年金生活を送っておりますが、先日のニュースで後期高齢者医療制度が改正されると聞きました。
医療費の負担が増えるということなのですが、これからの私達にも直結する話題だなぁと感じております。
一方で、そもそも後期高齢者医療制度というのがよくわかっておりません。
いま私が加入している国民健康保険と何が違うのでしょうか?
改正点も含めて解説して頂きたいです。

針田
針田

私、針田がお答えします!

※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2022年3月28日送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。

後期高齢者医療制度とは

2008年4月から開始された制度で、元々あった老人保健法を廃止して高齢者医療の医療の確保に関する法律という法改正のもと出来た制度です。

日本は国民皆保険制ですので国民健康保険や健康保険など、生活保護世帯を除いて誰でも何らかの健康保険に加入していますが、この名の通り後期高齢者になるとこれまで加入していた健康保険を脱退して、新たに後期高齢者医療制度へ加入するという仕組みです。

ここに「保険」という名称は無いですが、基本的にはこれも保険制度の一環です。

運営主体(保険者)は都道府県単位で設けられる広域連合というところで、その都道府県にある全ての市町村が加入しています。

針田
針田

そしてその市町村に住む私達が被保険者となるわけですね。

加入する時期や保険料は?

生活保護世帯を除いて75歳以上は全員加入、もしくは65歳〜74歳(前期高齢者)で広域連合から障害認定を受けた方も加入出来ます。

保険料は都道府県ごとの広域連合が決めるのですが、誰でも同じ負担の「均等割」と、所得に応じて変わる「所得割」の合計を支払います。

例えば愛知県の場合、令和3年の均等割分は年間48,765円、これに世帯の所得に応じて7・5・2・0割の軽減措置が設けられております。

一方で所得割分は人によって異なるので計算するのは結構複雑なのですが、広域連合のホームページでおおよその金額は試算できるようになっておりますので、ご興味があればご自身でご確認ください。

針田
針田

ちなみに全国平均の保険料(均等割と定額割の合計)は月額6,397円、これを年金から天引きされて支払うことになります。

医療費の自己負担は1割負担

現在の後期高齢者医療制度では医療費の自己負担は原則1割、例外として現役並み所得の方は3割です。

ご参考までに人数で申し上げると、いま後期高齢者医療制度に加入している人は合計1815万人います。

そのうち医療費1割負担の人は1685万人と全体の93%、3割負担の人は130万人とわずか7%、つまりほとんどの人が1割負担です。

ではこの手厚い保険制度を支える財源はどうなっているかというと、公費5割:保険料5割で負担しています。

この保険料5割の内訳ですが、4が0〜74歳までの保険料、1が75歳以上の保険料です。

保険料収入のほとんどは現役世代が負担しているというわけですね。

針田
針田

一方で、2022年は第一次ベビーブーム(団塊)世代が後期高齢者である75歳に差し掛かってくる起点の年と言われているので、この負担割合での制度維持は今後厳しいだろうということで何年も前から改正が検討されており、本国会で可決されたわけですね。

具体的な変更点

施工時期はまだ未定なのですが、2022年の10〜3月のどこかになる予定で、医療費の自己負担割合が1割から2割になる人が出てきます。

現在の制度では1割負担者が全体の93%と先ほど申しましたが、今後はこれが73%に減り、残りの20%の方が2割負担となります。

人数にすると370万人の方が今後は医療費2割負担になる予想です。

では2割負担になるラインはどのようになっているかというと、

  • 世帯に後期高齢者が1人しかいない場合、その方の収入が200万円以上だと2割負担
  • 帯に後期高齢者が2人以上いる場合、合計収入が320万円以上だと2割負担

となります。

針田
針田

こうなると、いま毎月病院に通っているような方の中には不安に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、そういう方の急激な負担増を抑えるために配慮処置があります。

配慮措置とは?

新制度に移行後の3年間は、1ヶ月あたりの医療費自己負担が6,000円を超えてしまう場合(医療費3万円×2割負担)には、それを超える部分については高額療養費制度を設けて負担しなくて良くなる(後日返金してもらう)ようにしてもらえます。

つまり1ヶ月あたりの医療費自己負担は、金額にして3,000円以上増えないような配慮措置です。

なので当初3年間はそれほど心配しなくても良いと思いますが、4年目以降は配慮措置がなくなるので定期的に病院に通っている方にとっては影響が大きいと感じるかもしれません。

ただそれでも高額療養費制度もございますので、ある一定程度で医療費の自己負担額は収まるようにもなっています。

なので過度に不安になる必要はないのですが、長い目で見ると今回のような改正は今後も繰り返されると考えた方が良いでしょう。

針田
針田

特にいま現役世代の方などは、自分の老後の医療費負担は今の高齢者より多くなることが予想されるので、何らかの対策は考えておいた方が良いかもしれません。

ご不明点あれば、詳しくは小宇佐・針田FP事務所にお任せください。

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