海外旅行中の治療費負担はどうなる?対処法や注意点をFPが解説

海外旅行中の治療費負担 マネー情報

海外旅行中の治療費について男性からのご質問です。

お正月セールで海外旅行がすごく安かったので、今年は奮発して家族4人で海外旅行へ行くことになりました。
旅行会社から海外旅行保険への加入を勧められたのですが、4人分の保険料となるとそこそこの金額になる為、どうするか迷っています。
海外の治療費は全額自己負担で高額、ただし日本の保険制度からも何らかの保障はあるとも聞いたことがあります。
どんなものか教えてください。

針田
針田

私、針田がお答えします!

※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2020年1月18日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。

日本の保険制度から保障が受けられる

針田
針田

皆様が加入中の健康保険によるものですが、旅行先で医療費を支払った場合、帰国後に保険者(加入している健康保険)へ申請をして、審査が通れば医療費の一部の払戻しを受けることができます。

これを「海外療養費」といいますが、社会保険ですので当然一定の基準はあります。

まず健康保険で認められていない費用については、対象にはなりません。

健康保険の適用範囲の施術、治療を受けた時に適用されます。よって美容目的での手術や、歯科治療で保険適用外となるインプラント等を受けた場合は、この制度は利用できません。

また治療自体を目的とした海外渡航についても、対象にはなりません。

どのくらいの払戻しを受けられる?

針田
針田

本国内のように原則3割自己負担で、残りの7割は健康保険が負担してくれるかというと、必ずしもそうとは限りません。

海外療養費については、「日本国内の医療機関で同じ病気やケガを治療した場合にかかる医療費を基準」にして、そこから自己負担相当額を差し引いた額が支給されます。

また治療費を外貨で支払った場合は、支給決定される日のレートで円に換算し、円で支給される決まりになっています。

つまり、海外での治療費と日本の治療費が全く同じかそれ以下なら3割負担で済むのですが、特に先進各国の治療費というのは日本よりも高額というのは、皆さまご存知の通りですね。

海外の場合、手術費用が高額になる可能性も

針田
針田

仮に渡航先で盲腸になり、200万円の手術費用を海外で支払ったと場合でも、日本の盲腸の手術費はおおよそ40万円と言われています。

よって海外療養費はこの40万円が基準になりますので、40万円の7割、つまり28万円が海外療養費として払い戻されます。

200万円の7割が払い戻されるわけではないのです。

ちなみに健康保険には、高額療養費という制度もありますが、これも併用できます。

所得により金額は異なりますが、70歳未満の場合、1か月の間に自己負担した医療費が、3.5・5.7・8・16.7・25.2万円(実施にはもう少し細かい計算になりますが)を超えた分は、健康保険から払戻されるという仕組みです。

では200万円から海外療養費の払戻金28万円を差し引いた172万円が高額療養費の対象になるかというと、ならないです。

先程と考え方は同じで、あくまでも日本の医療費の自己負担額を基準としますので、40万円のうち3割つまり12万円を自己負担したとみなして計算されます。

よって、仮に高額療養費の基準額が8万円の方(一般の会社員など)の場合には、12万円から8万円を差し引いた4万円が払戻されます。

海外療養費の28万円と、高額療養費の4万円の合計32万円が払戻されるということです。

針田
針田

自己負担額には到底追いつかないですね。

手続きまでの流れは?

まず海外で治療を受けた際には、基本的に窓口で一旦全額支払うことになります。

日本のように窓口で保険証を提示して3割だけ支払うというわけにはいきませんから、高額な治療費の場合は大変ですね。

次に帰国後、海外療養費の手続きを進めるわけですが、健康保険制度の保険者が用意している療養費支給申請書に、治療をした医師の証明のある診療内容明細書及び領収明細書を添付しなければなりません。

これには日本語に翻訳した資料が求められ、同時に翻訳者の住所や氏名も記載することになっていますので、記載方法や添付書類に関しては、窓口で事前に細かなところまで相談しておく必要があります。

針田
針田

そして、高額療養費の請求も併せて行います。

保険の申請などの注意点は

針田
針田

請求権の時効があり、海外で治療費を支払った日の翌日から起算して2年までです。

この請求はあくまでも自己申告ですので、帰国後は速やかに行ったほうが良いです。

また、あくまでも医療費がこの制度の対象になるという点もご注意ください。

これは日本国内でも同じですが、例えば病院での食事代や室料(差額ベッド代)などの宿泊費関連は健康保険の対象になりませんから全額実費です。

救急車も日本は無料ですが海外は有料のところが多く、アメリカだと1マイル(1.6キロメートル)あたり4.2万円くらいかかるそうです。

針田
針田

よって、渡航先が医療費の高い国の場合は、やはり海外旅行保険へ加入しておいたほうが良いと思いますよ。

海外旅行保険について、詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。

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