生命保険信託とは?生命保険との違いや利用方法、注意点をFPが解説

生命保険信託 マネー情報

生命保険信託についてのご質問です。

40代女性です。夫に先立たれて今は中学生の娘と自分の母親と生活しています(父も他界)。
自分にもしものことがあったときに備えてそれなりの生命保険には入っているのですが、母が軽い介護状態なので、本当にもしもの時に保険金を含めた財産を母や未成年の娘で管理するのは難しいと思っています。
そんな中、『生命保険信託』というものがあると聞き、自分の加入している保険会社の担当者に聞いてみたのですが、その保険会社では扱っていないようで詳しい話しは聞けませんでした。
どのようなものか、私でも活用出来そうなものか、興味がありますので分かりやすく教えていただけると助かります。

小宇佐
小宇佐

私、小宇佐がお答えします!

※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2019年5月27日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。

生命保険信託とは

小宇佐
小宇佐

信託というと信託銀行などと契約してお金や不動産などの財産を預けて(移転)、信託銀行は、初めに設定された信託の目的に従って財産の管理や処分を行う仕組みのことです。

生命保険信託は生命保険契約の死亡保険金等についてこの信託の仕組みを使った制度です。

まだ一部の保険会社でしか取り扱いをしていないので、知っている方も少ないですし、利用している方も少ないのが現状です。

通常の生命保険との違いは?

通常の生命保険契約では、保険金の受取人とすることができるのは一般的には配偶者や子ども、親・兄弟などの親族です。

しかし生命保険信託を利用することで親族以外のもの(個人・法人)を受取人とすることが可能となります。つまり信託銀行等が保険金受取人となり、契約に基づき管理や支払を行うことができます。

どのような場合に使われる?

小宇佐
小宇佐

保険金の受取人が財産を管理するのが難しいと思われる場合、例えば、未成年や障がい者である子どもや、高齢の親が受取人になる場合などが多いようです。

信託しない場合は、身内や親戚などが管理することになります。そうすると子どもや親など指定した受取人のためにきちんと使われるのか不安が残る場合もありますよね?

しかし生命保険信託であれば、具体的に保険金の使用目的などを指定しておけば信託銀行が契約に基づいて目的通りに使われたかどうかをチェックする機能があります。

また例えば、毎月いくら渡す、など適切なタイミングで支払われるように設定できることも安心に繋がるのではと思います。

もうひとつ生命保険信託を使うケースとして、本来は保険金の受取人に指定できない人に保険金を渡したいという場合です。

例えば、保険金を事実婚の配偶者や子どもに渡したい、医療機関や慈善団体に保険金を寄付したい、経営者が自分の会社を親族以外に継がせたいのでその資金(自社株買い取りなど)を準備しておきたい、等々、考えられます。

(原則は委託者の配偶者または二親等以内の血族、適法かつ公序良俗に反しない限度など各社の規定があります)

相続トラブルが起きる可能性はある?

小宇佐
小宇佐

自分の財産を寄付したり相続人以外の人に渡そうとするとトラブルになる可能性がありますが、生命保険の保険金は「受取人固有の財産」とされており、相続財産からは除外されます。

相続発生の際に遺産分割協議を行うことになった場合でも対象財産にはなりませんので、そもそも生命保険金は、話し合いの土台に乗ってきません。

現金を残して遺言などで指定する方法よりも確実に自分の望んだ通りの渡し方ができます。

生命保険信託を利用する注意点は?

小宇佐
小宇佐

まず扱っている保険会社が徐々には増えてきているようですが、まだ多くありません。

現在私の確認できた限りでは4社でした(ソニー生命、第一生命、プルデンシャル生命、 FWD富士生命)。提携している信託銀行もそれぞれの保険会社に紐づいてますので自由に選ぶことはできません。

生命保険信託を利用したい場合は、扱っている保険会社の保険に入る必要があります。

信託できる保険金の金額も基本は1000万円以上のところが多く、それより少額だと利用できないことも注意点です(一社だけ100万円以上)。

また委託・管理コストも決して安いとは言えません。
一般的なコストの目安として(全て税抜きで)、信託契約締結時:5万円、死亡保険金受領時に死亡保険金の2%相当額、管理報酬が年額2万円程度、とそれなりに掛かってきます。

先ほど相続時の遺産分割の対象から除外されるとは言いましたが、相続税の課税対象には含まれます。

生命保険信託のカタチで保険金を受け取った場合は、通常の相続税が加算されます。

計算して相続税が発生するとなったときは、金額や割合に応じて相続税を支払わなければいけませんので、利用する場合はその額も把握しておくべきです。

うまく利用して、相続対策に活用しよう

相続時の対策として知っておき、うまく活用するとトラブルも事前に防げますし、安心にも繋がります。

気になる方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。

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小宇佐 拓宏

小宇佐・針田FP事務所代表ファイナンシャルプランナー。住宅マネープランナー協会代表。2001年早稲田大学人間科学部卒業後、マンションデベロッパー・損保系大手生命保険会社での経験を経て2010年小宇佐FP事務所として独立。2011年小宇佐・針田FP事務所に名称変更専門分野は投資・運用。自らもFXや米国株投資を積極的に行う。

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