ご両親の終活についてのご質問です。
今年ももう年末が近づいてきましたが、お正月に実家に帰省する際に、親と相談してみようと思うことがあります。
それは、親の終活についてです。
特にお金関係が気になっています。
私は一人っ子で両親は二人とも健在ですが、どちらかが先に亡くなった場合は、残されている側と相談すればよいのでしょうが、その次の時にはもう相談できる相手はいません。
高齢者の事故も多いと聞きますので、もし二人同時に亡くなったらと考えると、ちょっと恐いです。
そこで親が元気な今のうちに、その点について対策をしておいてほしいと伝えようと思っています。
どこから手を付けてもらったらよいでしょうか?
私、針田がお答えします!
※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2020年11月30日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。
遺される家族としては資産の把握は大切
遺された側が全くわからないという状況は、本当に大変だと思います。
事故はもちろん、脳梗塞・心筋梗塞のようにある日突然なんてこともあるでしょうから、事前の準備ができていないケースは容易に想定されます。
遺産にはプラスとマイナスのものもあれば、不動産のような流動性のないものもあります。
日本人は預金志向が強いとはいうものの、生命保険や株・投資信託など何らかの金融商品を持っている人も多いと思います。
あとご商売されている方だと、税金のことや取引先との支払関係のことなど、もっと複雑になると思います。
会社組織ならまだ良いのでしょうが、個人事業主や小規模事業主の方は、ご本人しか知らないこともあるでしょうし。
ただ、これを家族ですべて共有するというのは、現実的には難しいかもしれませんが。
何から手を付けていけば良い?
資産の把握、次に資産の管理、最後にどう分けるか、というように準備するのが理想だと思います。
資産の把握と管理については、先ず現金・保険・証券・不動産・会員権など、預け先がどこにあるかを整理します。
具体的な金額までは明記しなくても良いと思いますが、遺族がどこの金融機関に問い合わせをすれば良いのかくらいは、わかるように一覧表にまとめておくとよいと思います。
ご本人にとっても、これを整理することで、実は全く使っていない口座が出てくるかもしれませんし、そうなれば生前に解約しておくことで資産の整理もできます。
保険の請求漏れも要チェック
以前このコーナーでご紹介した「生命保険信託」という特殊な契約を除いては、保険金の請求漏れというのは十分ありうると思います。
どんな時に保険金が払われるか、加入している本人が忘れていることも多いくらいですから、ご遺族が請求となるとより分からないでしょう。
死亡・医療・ガン・介護など様々な保険がありますが、いずれもこちらから保険金請求をしないと保険金は払われません。
クレジットカードに付帯されている保険もありますし、これは最初の1年間は無料だったりするので、加入しているということを忘れていることも多いと思います。
また保険には3年の時効(商法では2年ですが、保険会社独自に3年に設定しています)があります。
死亡保険金の場合は時効を盾に保険金を払わないということはないと聞きますが、死亡以外の保険金請求の際には、時効発生もあると思います。
さらに生命保険は死亡時に請求するというイメージが強いですが、「リビングニーズ特約」という無料の特約が付いていることが多いです。
これは余命半年の宣告を医師から受けた場合に、生前に死亡保険金を受け取ることができるというもので、残された人生のために保険金を使うという選択ができます。
死亡の間際に大きなお金が必要になった際に、実はこの特約を使って保険金請求をしていれば、なんてこともあるかもしれませんね。
マイナスの遺産はどうするべき
借金を残して亡くなると、それは相続人が引き継ぐことになります。
いっぽう「相続放棄」をすれば、借金とともにプラスの遺産も全て手放すことになりますが、すべて放棄できます。
もしくは「限定承認」という手続きもあり、例えばプラスの遺産1000万円とマイナスの遺産500万円がある場合、実質500万円を相続することができます。
ただ限定承認には相続財産の調査・債権者への支払いなど複雑な手続きが必要ですから、弁護士等に相談が必要です。
ここで注意しないといけないのが、「相談放棄」も「限定承認」も相続が発生したことを知った日から3ヶ月以内に行わないといけないということです。
よって借金のある方は、ご遺族がすみやかに手続きできるように、借り入れの内容については、詳細を分かるように残しておくべきです。
年金の請求はどうなりますか?
老後の年金は、死亡した月の分まで受給でき、それはご遺族が請求できます。
年金は偶数月の15日に直前の2ヶ月分が支払われるので、仮に10月1日に亡くなった場合は、本来なら10月15日に振り込まれる8・9月分と、12月に振り込まれるべき10月分を未支給年金としてご遺族は請求できます。
請求できるのは生計を一にしていた遺族となっており、管轄の年金事務所に亡くなった方の年金手帳や通帳など振込情報がが分かるものと、戸籍謄本などの書類を持参します。
生計を一にしていない子供が請求する場合には、「生計同一関係に関する申立書」という書類を提出します。
亡くなった親に経済援助をしていた、もしくは定期的に会っていたなどを申し立てる書類で、これが認められると未支給年金を受け取ることが出来ます。
最大で3ヶ月分の年金は遺産にならない
年金は金額にすると数十万円になりますから、相続人同士で分割しろなんてことを言われるかもしれませんね。
ただ、未支給年金というのはあくまでも生計を同じにしていた遺族のものなので、遺産分割の対象にはならないです。
仮に父が亡くなり、母が受け取る場合は、子どもに分ける必要はないです。
あとは他の財産をふくめて、遺産をどう分けるかまで準備できていれば、理想的です。
人間いつ亡くなるかは分かりませんし、日常生活のなかでは死というのは他人事のように感じることも多いと思います。
でも早いか遅いかだけですから、本当は誰もが生前に準備しておくべきです。専門家にも相談しながら、進めてみてください。
遺産相続にについて、詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。