節約のコツについてのご質問です。
日頃、日常品などを買い物をするときにいろいろと節約はしているのですが、ちょっと大きな買い物、例えば家具や家電などを買う場合になると慎重に選んでいるつもりでも後から「本当にこれで良かったのかな」と思うことがよくあります。当初考えていたものより高いものを買ってしまったり、反対に安さにつられて低品質のものを選んでしまったりすることもあります。
選択肢が多くなってくると判断基準ををどこに置いて良いか迷ってしまい、せっかく買い物をしたのにスッキリしないことが多いです。適正なものを選ぶコツのようなものがあれば教えてください
私、小宇佐がお答えします!
※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2021年2月1日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。
販売側の選ばれる仕掛けがある
買うモノを決めて行っても、店員さんの話を聞いたりすると迷ったりすることってありますよね?販売する側の企業やお店などは、買ってもらえるようにいろいろな仕掛けをしています。
騙す訳ではなく、心理学や人間の習性を利用した「選ばれる」仕掛けがたくさん使われています。
コントラスト効果
よく使われるのが「コントラスト効果」というものです。
例えば洋服を買いに行ったときに、店員さんからまず10万円のコートを案内されたとします。その後に20,000円のコートを提案されると、思わず「安い」と感じてしまいますよね?
そしてお得だと感じた20,000円のコートを買う人も少なくないと思います。
ただ、本当に重要なのはそのコートが求めているようなデザインや素材なのか、といった総合的な要素を考えた上で価格が釣り合っているか、納得がいくか、ということだと思います。
ところが金額が大きく異る商品を見せられると、価格差に目が行きやすくなり、本来重視すべきポイントが疎かになってしまう恐れがあります。
このように違った特性の物を対比させることで、その物の印象が大きく変化することを「コントラスト効果(対比効果)」と言います。
価格差を目立たせることで、価格以外の要素を考えにくくさせる心理トリックを利用していると言えます。
極端回避性
3段階の選択肢を提示されると一番上や下という極端な選択を回避してできるだけ無難な選択、つまり真ん中の選択を選ぼうとする傾向が人間にはあります。これを心理学用語では「極端回避性」といいます。
「松竹梅」とか「特上・上・並」などのメニューやラインナップを作ると、モノにもよりますが真ん中を選ぶことが多いんじゃないでしょうか。
おとり効果
家電などでも売りたい製品の上位機種を作って、その売りたい製品を買いやすくする方法が取られたりします。
さっきのコントラスト効果と同じで、買うか買わないかよりも「どれを買うか」を考えさせやすくする方法ですね。
これは「おとり効果」と呼ばれるものです。
ひとつの機種しかないよりも、おとりとして別の選択肢がある方が、自分で選んでる、という気持ちになるわけです。
感応度逓減性
「50,000円」って買い物としては一般的には高く感じますよね?
ただ、例えば200万円の車を買おうとしているときに「50,000円」のオプションを付けるかどうか考えているときって、通常の50,000円の買い物をするときよりは、軽めに考えてしまうんじゃないかと思います。
このように全体の母数が大きいと、それより極端に小さい金額のものが軽く、小さく思えてしまう場合があります。
これは「感応度逓減性」と呼ばれます。
特に住宅や車を購入するときは気を付けないと、数万円程度のオプションなどは通常よりもかなり安く感じますので、本当に必要かどうかを慎重に考える必要があります。
別の例で言うと、毎月食費などを節約して3,000円とか5,000円節約するのも心構えとしては大切だと思いますが、家具・家電や車など大きな買い物をするときに数万円値引きしてもらう方が効果は大きいと言えます。
「3%値引き」でも20万円の家電であれば6,000円、200万円の車であれば60,000円となりますからね。
保有効果
最近は、通販などで購入した場合でも例えば「1ヶ月以内なら返品可能」といった商品もありますよね。
心理的に買いやすかったり、お試しで使ってもらうという効果がありますが、それとは別に「保有効果」ということも考えられています。
人間の心理特性として、一度所有してしまうと、実際のその物の価値よりも高い価値を作り出してしまう傾向があります。
金銭的には返品することでプラスマイナスゼロのはずですが、手放すことに損失を感じてしまうんですね。
なので、所有すると便利だったりステータスを感じるような商品の場合は、「返品可能」を謳って購入のハードルを下げているものも多いようです。
知っておいて不要なものを買わないようにしよう
誤解のないように繰り返しますが、これらは騙す目的で使われているわけではありません。
ただこういうことを何となく知っておくだけでも、本来の目的と違う価格帯や品質のものや、必要で無い物を買ってしまう可能性は低くなると思います。
専門家のような知識を持つ必要はありませんが、世の中にはこう言った仕掛けがたくさんあると認識しておくだけでも役に立つと思いますので、今日のお話しをちょっとだけでも覚えておいてください。
お金の節約方法について、詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。