2022年の年金制度改正とは?【FPが解説】

2022年の年金制度改正 マネー情報

年金改正についてのご質問です。

私は現在62歳の会社員で、2年前60歳定年を迎えてから、再雇用で勤務中です。
今後は65歳まで続けてそこでリタイアしようと思っておりましたが、会社からは65歳以降も雇用してもらえると聞いておりますので、もしかすると続けるかもしれません。
そんな中で、最近ニュースで2022年から年金制度が変わると聞きました。
私にも影響があるものなのか、簡単に教えてください。

針田
針田

私、針田がお答えします!

※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2021年12月13日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。

2022年から年金制度の改正とは

来年は年金制度が色々と変わるのですが、そのうちこの方に影響しそうなものとして3つご紹介します。

在職老齢年金の改正

一つ目は「在職老齢年金の改正」です。

在職老齢年金というのは、60歳以降に厚生年金の被保険者として働きながら受け取ることが出来る、老齢厚生年金のことをいいます。

基礎年金(会社員の年金の1階部分)は含まず、あくまで厚生年金部分(年金の2階部分)です。

「お給料を貰い過ぎると年金カットされるよ」という話を聞いたことがあると思うのですが、まさにこのことです。

今回の制度改正により、60~64歳迄の方にとっては、年金カットがされにくくなります(つまり良くなります)。

年金カットの金額は?

月給(賞与含めた年収÷12ヶ月※正確には標準報酬月額)と年金の合計額が、ある一定の基準額を超えると、その超えた金額の半分が年金からカットされます。

その基準額とは、60~64歳迄の間は28万円、65歳~69歳迄の間は47万円です。

仮に60歳から64歳迄の間に受け取る年金が、月換算9万円支給されている状態で、この間のお給料が月換算25万円だとすると、9+25=合計34万円を月換算で受け取ることになりますよね。

この場合、先ほどの基準額28万円から6万円超えておりますので、この超えた金額の半分(3万円)が年金からカットされてしまいます。

今回の改正で、この基準額28万円を47万円に引き上げます。

これにより先ほどの受給例(年金と給与合計で34万円)であれば、47万円の基準以下ですので、年金カットはされません、制度としては良い方向に変わったといえます。

針田
針田

ちなみに65歳~69までの基準額はもともと47万円で、これは来年以降も変更なしです。

制度改正の恩恵を受けられる人はごくわずか

ただこの制度改正の恩恵を受けることが出来る人というのは、ごくわずかだと思います。

年金は皆様ご存じの通り、原則65歳から支給開始です。

もともとは60歳でしたが法改正で65歳になり、今は65歳開始を目指して徐々に引き上げ途中でおり、今がその過渡期です。

昭和36年4月1日以前に生まれた男性(現在60歳)、昭和41年4月1日以前に生まれた女性(現在55歳)は、65歳よりも前から、年金の一部(特別支給の老齢厚生年金)が支給されます。

よって今回の在職老齢年金の引き上げの恩恵を受けられるのは、60~64歳で年金受給(特別支給の老齢厚生年金)を受けられる人で、且つ厚生年金に加入して仕事をする方です。

針田
針田

なので、自営業(第一号被保険者)の方、いま60歳未満の方には関係のないお話で、今回のご相談者の方は該当するはずです。

在職提示改定の導入

2つ目の改正は「在職提示改定の導入」です。

先ほどの改正は65歳前の方に関するものでしたが、こちらは65歳以降に関する制度です。

65歳以降も仕事をする人は今後ますます増えてくると思いますが、アルバイト・パートという方もいれば、引き続き厚生年金に加入して働く方もいらっしゃいます。

この方というのは、厚生年金保険料を65歳以降も支払いながら、そのいっぽうで65歳から支給される基礎年金および厚生年金を受け取ることになります。

針田
針田

では65歳以降に収めている保険料に応じた年金はいつから受け取れるのかというと、現行の制度では70歳もしくは退職の翌月以降に、これまでの分がまとめて年金に上乗せされることになります。

65~70歳の間は年金には反映されない?

はい、仮に65歳から5年間働いた場合、その5年間に納めた保険料に応じた年金というのは、70歳になってやっと受け取れる(上乗せされる)というのが現行制度です。

これが今回の「在職提示改定」により、在職中も定期的に年金に上乗せされるようになります。

65歳から5年間働いた場合は、毎年10月に再計算をして上乗せされるようになりますので、つまり毎年徐々に年金が増えることになります。

針田
針田

今までは70歳になったら一気に5年分増額していた年金が、65歳以降毎年徐々に増加するようになるので、良い方向に変わったと言えると思います。

年金開始時期の選択肢の拡大

3つ目の改正は「年金開始時期の選択肢の拡大」です。

ご存じのとおり、65歳支給の年金を60歳迄繰り上げる、もしくは70歳迄繰り下げることが出来ますよね。

繰上げると年金は1ヶ月あたり0.5%減らされますので、仮に60歳迄5年間繰り上げると、0.5%×12ヶ月×5年間=30%年金が減ります。

これが今回の改正で減額率が0.4%に緩和されますので、5年繰上げると年金は24%ダウンとなり、以前よりもすこし優しくなります。

反対に繰下げの場合、現行では70歳まで繰下げ可能となっていますが、これが75歳までになります。

ちなみに年金は繰下げをすると、1ヶ月あたり0.7%増加しますので、70歳迄繰り下げると42%増、これを75歳までにすると82%増です。

ここまで繰り下げる人が実際にいるのかどうかは疑問ですが、老後も現役並みにに仕事を続けて年金には頼らないという生活設計をする人にとっては、良いかもしれませんね。

他にも来年以降は厚生年金の加入要件の変更など、制度改正が多いので、働き方を見つめなおす時期になるかもしれません。

針田
針田

専門家に相談しながら、ご自身にあったものを見つけられるとよいですね。

年金制度についてのご相談は小宇佐・針田FP事務所にお任せください。

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