所得控除と税額控除の違いとは?FPがわかりやすく解説

所得控除と税額控除の違い マネー情報

所得控除と税額控除の違いについて、30代主婦からのご質問です。

今年は住宅ローンを組んだりふるさと納税を始めたりしたので、税金や減税のことが気になっていて関連するニュースなども気を付けて見るようにしています。
良く出てくるキーワードで所得控除と税額控除の2つがありますが、税金が安くなることだと言うのは分かりますがイマイチ違いが分かりません。
どのように違うのか教えていただけないでしょうか

小宇佐
小宇佐

私、小宇佐がお答えします!

※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2021年12月20日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。

収入と所得の違い

まずは「収入」と「所得」の違いをご説明します。

給与収入と給与所得は、通常の会話の中では同じようなものとして使うことも多いかもしれませんが、所得税法の用語としては明確に区別されます。

まず給与収入は給与と賞与の合計額のことで、源泉徴収前の何も差し引かれていない金額となります。

年収いくら、と言う場合はこの金額のことを指しますよね。

一方、給与所得とは、収入金額から会社員の必要経費とみなされる「給与所得控除」を差し引いた金額を言います。

所得税はこの給与所得金額に定められた税率を掛けて算出します。

例えば、給与収入400万円だとすると、給与所得控除の計算式に当てはめて算出すると給与所得は276万円となります。

ここから更に基礎控除48万円と社会保険料控除58万円(一般値)が引けますので、課税所得は170万円。

この金額の場合は、税率10%を掛けて97,500円を引いた額が年間の所得税額となりますので、この場合は72,500円となります。
(この数字は覚えておいてください)

実際には、他にも扶養家族がいれば扶養控除、生命保険に入っていれば生命保険料控除など個人別で各種控除が引かれて計算することとなります。

所得控除と税額控除の違いは?

所得控除と税額控除の違いについて説明します。

所得控除

所得控除は、税額を計算する前の所得からその金額が差し引かれます。

税額を計算する前の課税所得の金額を減らすということになります。

例えば生命保険料控除の金額が8万円だとすると、生命保険料控除は「所得控除」なので、課税対象の所得が8万円少なくなる、ということになります。

小宇佐
小宇佐

「8万円所得税が安くなる」訳ではありません。

 税額控除

一方、税額控除は、払うべき税額そのものから控除額を直接差し引けます。

先程の400万円の給与収入の方の例で考えます。

年収400万円だと各控除を差し引くと課税所得は170万円でした。

ここから5万円の「所得控除」が受けられるとなると、この170万円から5万円を引いて165万円に対して所得税が算出されます。

計算すると所得税は67,500円となり、10万円の所得控除を受けなかった場合に比べて5,000円少ない額となります。

所得控除額は5万円でも、それに税率の10%を掛けた分の効果しかないということです。
(税率は所得が多くなると上がっていきます)

これが仮に、5万円の「税額控除」が受けられるとすると、税額控除は払うべき税額から直接その額を差し引けます。

400万円の給与収入の方が払うべき所得税額72,500円から税額控除額5万円を差し引くと、計算後の税額は22,500円となります。

小宇佐
小宇佐

同じ5万円の控除でも、意味合いや効果が全く違ってきます。

どんなケースで税額控除が適用される?

税額控除が受けられるケースは、そう多くはありません。

個人で受けられる税額控除の代表的なものが「住宅借入金等特別控除」、いわゆる住宅ローン減税です。

住宅ローン減税は現時点では年末ローン残高の1%、来年度は0.7%に改正予定ですが、ひとまず1%と考えて例えば年末の住宅ローンの残額が2000万円だと20万円が減税額となります。

住宅ローン減税は「税額控除」ですので、この20万円がその年の払うべき所得税から直接差し引かれます。

もし所得税が例えば10万円だったとすると、20万-10万で余った減税分は住民税から「税額控除」として差し引かれます(住民税は136,500円限度)。

小宇佐
小宇佐

これが10年とか13年間続きますので効果は大きいですよね。

住宅ローン減税以外だと配当控除や外国税額控除、特定の団体(政党等、認定NPO法人等、公益社団法人等)への寄付金特別控除、住宅を耐震や省エネ改修した場合の特別控除、認定住宅新築等特別税額控除などがありますが、条件がかなり限定されていますので、一般的に適用されることは余りありません。

例えば、配当控除は配当を出す企業の法人税と個人の所得税の二重課税を防ぐためのものですが、申告分離課税制度を利用していると配当控除の適用はありません。

通常株式投資などで売却損益がある人は、得なのでこの申告分離課税をしている場合が多数派ですので、配当控除は関係ないということになります。

また認定住宅新築等特別税額控除は、新築(または建築後未入居)の住宅で認定長期優良住宅を取得したり低炭素建築物である場合に適用されます。

しかし、住宅ローン減税との併用は出来ず、住宅ローン減税を受けられる場合はそちらの方が得なので、ローンを組まず現金一括購入の方以外はあまり関係がありません。

小宇佐
小宇佐

このように一般的には適用されにくく、そのため知らない方も多いと思いますが、何か大きなお金を払ったり貰ったりした場合は適用される可能性もあります。
気になる方は専門家や税務署などに問い合わせてみることをオススメします。

控除についてのご相談は小宇佐・針田FP事務所にお任せください。

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小宇佐 拓宏

小宇佐・針田FP事務所代表ファイナンシャルプランナー。住宅マネープランナー協会代表。2001年早稲田大学人間科学部卒業後、マンションデベロッパー・損保系大手生命保険会社での経験を経て2010年小宇佐FP事務所として独立。2011年小宇佐・針田FP事務所に名称変更専門分野は投資・運用。自らもFXや米国株投資を積極的に行う。

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