【FPが解説】少子高齢化の生活の影響は?

高齢化 生活の影響 マネー情報

日本の少子化とその影響についてのご質問です。

先日、日本の出生数が初めて100万人を下回った、さらに出生率も毎年低下というニュースを見ました。
少子化が進んでいるんだなぁ、とはなんとなく感じますが詳細はよく分かりません。
そもそも出生率ってなんですか?今後日本はどうなるんですか?教えてください。

針田
針田

私、針田がお答えします!

※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2017年6月11日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。

出生率とは

出生率には、普通出生率、合計特殊出生率など、目的ごとで計算方法が異なるものがあります。

普通出生率というのはとてもシンプルな数字で、その年に生まれた子供の数(出生数)を、日本の総人口(約12,700万人)で割ります。

ただし、子供を産めない男性および乳幼児や高齢者すべての人数が分母となるので、日本の出生能力を示すものではないですよね。

いっぽうで合計特殊出生率というのは、分母が女性のみ、さらに年齢は15歳~49歳までとした場合の数値です。

もちろん14歳以下もしくは50歳以上で子供を産む方もいらっしゃるとは思いますが、統計上では15~49歳までの女性を分母として計算します。

これにより、女性が生涯のうちに何人の子供を産むことができるかを計算し発表するのが、合計特殊出生率というものです。

ニュースで流れる出生率というのは、この合計特殊出生率のことを指しています。

直近の2016年では、子供の出生数が約97.7万人、これは対前年比マイナス2.8万人です。

そして合計特殊出生率は1.44、これは対前年比マイナス0.01ポイントです。

ちなみに2015年にお亡くなりになった人数は、約130万人です。

針田
針田

約98万人生まれて130万人お亡くなりになっているので、日本の総人口は1年で約32万人減ったということですね。

昔はどうだった?

例えば日本で人口統計を取り始めたのは、今から100年以上前の1899年からですが、出生数のピークは第二次世界大戦終了後の1949年に269万人を記録しました。

日本ではいわゆる第一次ベビーブーム、今は団塊世代と言われてる方々の年代ですね。

その後は毎年減少傾向になり、1970年までは200万人を下回っていたのですが、第二次ベビーブームと言われる1971年以降は年間200万人を超えました。

そしてそれ以降は毎年減少傾向にあり、昨年はついに100万人を下回りました。

針田
針田

ピークと比べるといまの出生数は3分の1くらいに減ってしまったわけです。

日本国内でも地域によっても差はある?

都道府県別でみた場合、合計特殊出生率の最高が沖縄県の1.95で、最下位が東京の1.24です。

日本の首都であり、若者がたくさん集まり仕事もたくさんある、平均年収は沖縄県よりも1.7倍もある東京が、出生率最下位ですからこれはかなり問題ですよね。

また一般的には、出産の前には結婚がありますから、この婚姻件数も着目したいですね。

2016年の婚姻件数は約62万組で前年比1万4千件ダウンで戦後最少でした。

針田
針田

初婚の平均年齢は男性が31歳、女性が29歳です。

第一次ベビーブームのころは男性の初婚年齢は26歳、女性は23歳ですから、当時と比べると5年くらい遅くなっていますね。

このまま少子化が進むとどうなる?

国立社会保障・人口問題研究所というところが、定期的に将来の人口予想を出しています。

将来の出生率や死亡率、国際人口移動に予測を立てて発表されるもので、最新のデータは、2015年の国勢調査をもとに計算されたもので、これが今年の4月10日に発表されています。

まず今から約50年後の2077年の日本の総人口が8,808万人、なんと今よりも3割も総人口が減っているようです。

そして気になる高齢化率ですが、65以上の方が人口に占める割合は、いまは約27%ですが50年後は38%です。

針田
針田

つまり今は4人に1人が65歳以上ですが、50年後には2.6人に1人が65歳以上ですね、ゾっとします。

もうひとつ気になるのが生産人口です。

これは15歳~64歳を経済的生産性がある人達と仮定するのですが、この年代は今現在は約7,700万人います。

これが50年後には4,500万人になるようですから、税収は明らかに減りますよね。

このように将来の予想の数字を具体的にみると、明るい気持ちにはなれないのが現状です。

少子高齢化対策は?

政府もこの少子化問題は最重要課題として様々な政策を考えていますが、やはり経済政策が最も重要だと思います。

総務省の調べでは、今の20代の平均貯蓄額は約180万円です。

さらにこれはあくまでも平均値なので、貯蓄額が高い人が平均を上に引っ張っています。

よって中央値でみるともっと低くなります。

この貯蓄額では、なかなか結婚にも踏み切れないでしょうし、ましてや子供となると更に消極的になるのも当然です。

いっぽうで家計に余裕が出てきた30代になると、今度は自分の身体が妊娠しづらくなることもあります。

私の周りにも、不妊治療をしている夫婦はとっても多いです。

そして出産後は、共働きの家庭の場合、子供を保育園に預けられないという待機児童の問題もあります。

こういった問題について、もっと真剣に話し合われてほしいと強く思いますね。

針田
針田

以前このコーナーでも取り上げた、「こども保険」のような安易な増税案は避けてほしいですが。

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