児童手当について、妊娠している女性からの質問です。
先日、児童手当の制度改正についてニュースで取り上げられているのを聞きました。
詳しいことはわかりませんが、所得の高い方への支給を無くし、浮いた財源を待機児童解消に充てるようです。
共働きを基準とするといった文言もあったのですが、まさに我が家は共働きで、いま私は妊娠中です。
もしかして我が家もその対象になってしまうのでしょうか?
そもそも児童手当の制度自体よく知らないので、教えてください。
私、針田がお答えします!
※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2020年12月14日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。
児童手当の制度とは
児童手当は内閣府の定める制度で、全国どの自治体にお住まいでも、同じ内容が適用されます。
15歳(一般的には中学3年生)未満の子供を養育する者に対して、原則3歳未満には月額15,000円を、3歳以上15歳未満には月額10,000円を支給する仕組みです。
合計で198万円受け取れます。
子供が3人以上いる場合、3人目以上の子供については、もう少し多い支給額となります。
3歳未満には月額15,000円は先ほどと同じなのですが、その後も小学校を卒業するまでは引き続き15,000円を貰い続けられますので、従来の10,000円より多くなります。
実際の受け取り方は毎月ではなく、年3回(2・6・10月)に分けて支給されます。
支給要件は無いのですか?
要件は5つのうちいずれかを満たす必要があります。
- 原則、児童が日本国内に住んでいる場合に支給されます(留学のために海外に住んでいて一定の要件を満たす場合は支給対象になります)。
- 父母が離婚協議中などにより別居している場合は、児童と同居している方に優先的に支給されます。
- 父母が海外に住んでいる場合、その父母が、日本国内で児童を養育している方を指定すれば、その方(父母指定者)に支給します。
- 児童を養育している未成年後見人がいる場合は、その未成年後見人に支給します。
- 児童が施設に入所している場合や里親などに委託されている場合は、原則として、その施設の設置者や里親などに支給します。
手続きは、子供が生まれたら母子手帳を持って市役所などお住まいの自治体で申請手続きをします。
受給口座は、養育者の口座を指定することになるので、子供の口座に入金をしてもらうことは原則できません。
いっぽうで、これらの条件を満たしていても、一定以上の所得がある養育者には児童手当は支給されないのです。
そういう方に向けて、現状では「特例給付」という措置で、子供の年齢に関わらず、一律月額5,000円が支給されています。
つまりこの制度には所得制限が設けられているのですね。
所得制限はどのくらい?
子供の数にもよって段階的に所得金額の基準が設けられています。
額面年収に換算すると、子供1人なら917万円、子供二人なら960万円を超えると児童手当の対象からはずれ、特例給付の対象となります。
子の収入については、養育者がご夫婦の場合、夫婦どちらか年収の高いほうの方を基準とします。
いまニュースになっているのは、この支給要件をもっと厳しくして、受け取れる人を減らし、その浮いた財源をもって保育の待機児童解消に充てることを政府が検討中という内容です。
保育の財源を確保するために、いま子育て真っ最中の人からお金を吸い取るというのは、なんともおかしな話ですが、これが議論されているというのが現状です。
そして、実はこの話は今に始まったことではなく、2017年にも同じような話題が出ました。
その時は反対意見も多く、結局見送られましたが、つまりずっとくすぶっている話題ということです。
どんなことが検討されている?
まず、夫婦どちらか収入の高いほうで見るのではなく、夫婦の収入を合算するつまり世帯年収で見るというのを検討中とのことです。
その時の収入の基準を917や960万円にするかどうかは不明ですが、とはいえ夫婦正社員勤務をしているご家庭の多くは、児童手当除外となる可能性があります。
ただちょうど先週のニュースで、この世帯年収案はいったん見送られそうだとの話が出てきましたので、世論の反応を見ながら検討しているのでしょう。
いっぽうで、960万円という基準を1200万円に増額し、それを超えたら特例給付の5,000円を廃止にするという案が実施される可能性があります。
現在児童手当の受給対象となっているのは約1660万人、特例給付は100万人と言われています。
一部の情報では、これにより児童手当の受給対象外となる子供が61万出てくるそうです。
これにより浮いてくる370億円を財源として、2024年までに14万人の保育施設を整備する財源とするそうです。
早ければ2022年10月からの実施が検討中のようです。
該当する人達にとって気の毒な内容
子の所得層の人たちは本当に割を食っていると思いますよ。
そもそも日本は累進課税ですから、所得の高い人ほど高い税率で税金を納めています。
社会保障についても同じで、例えば病気やケガで治療を受ける場合、ご存じの方も多いですが高額療養費という制度がありますね。
多くの方は月額約8万円以上は医療費の負担をしなくてもよいのですが、年収1160万円以上の人は約25万円までは自己負担しないといけません。
子育て関連については、高校授業料無償化制度の対象から除外されますので、月額9,900円の学費免除が受けられません。
様々な意見があるのだとは思いますが、こと子育て支援に関しては、政府からのバックアップは等しくしてあげたらよいのではと思います。
今後のニュースに注目ですね。
子育て時のお金の運用の仕方について、詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。