火災保険の不正請求を避けるには?適用条件や対処法を解説

火災保険の 不正請求 マネー情報

40代主婦の方から火災保険の不正請求についてのご質問です。

先日、70代の母がひとりで家に居るときに『火災保険を使って自宅を修理しましょう』と勧めてくる業者が訪ねて来たようです。コロナのこともあり玄関先で少し話を聞いただけのようでしたが、資料も名刺も置いていっておらず、ちょっと怪しいな、と思いました。

火災保険の不正請求についての詐欺などがたまにニュースなどで出ていますが、正直火災保険のことは詳しくはないので、何が不正なことなのかイマイチ分かっていません。

どのようなことでトラブルになっているのか、防ぐにはどうしたら良いのか、分かりやすく教えていただけると助かります。

小宇佐
小宇佐

私、小宇佐がお答えします!

※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2021年6月14日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。

火災保険といっても補償内容って結構複雑ですよね?

火災保険は、昔はその名の通りほぼ火災だけの補償だったのですが、(1996年の)保険業法の改正以降、2001年頃から総合補償型の火災保険商品が増え始めました。

火災事故だけに留まらず、台風や大雨、大雪、水害などの自然災害や、自然災害以外の事故(破損・汚損)、盗難などまで補償する保険となってきました。

それでも保険の名称は「火災保険」のままなので、いまだに火災しか補償されないと思っている人も多いのではないかと思います。

災害以外はどんな場合に補償される?

自然災害以外の補償を「破損、汚損等」と言います。

小宇佐
小宇佐

保険会社や商品で基準は違って来ますが、例えば
「水道の栓の締め忘れで部屋全体が水濡れ被害にあった」とか
「洗面台にモノを落としてヒビが入った」とか
「部屋の模様替え中にテレビを誤って落として壊してしまった」など
さまざまな場合が対象となります。

適用される何か基準はある?

どういったときに保険金が支払われるのか、という判断をする上で次の3つのワードを参考にしていただくと少しは分かりやすくなります。

その3つとは「急激・偶然・外来」の3つです。

小宇佐
小宇佐

これに当てはまらない場合は、保険金は出ないと考えて良いです。

具体的には?

例えば、「急激」の反対は「ゆるやかに」ですけど、いわゆる「経年劣化」といって年数が経って老朽化した場合などは対象になりません。

「偶然」の反対は「わざと・故意に」ですので、意図的に壊したものは当然補償範囲外となります。

「外来」は外部からということですが、その反対は「内部から」、つまり内部から腐ってきたりとか、機器の内部の故障などは当てはまらないことになります。

小宇佐
小宇佐

基本は「事故」での被害だと考えて良いと思います。

不正請求というのは、補償内容から外れたものを請求する場合?

小宇佐
小宇佐

実はそうとも限りません。「保険金を使って住宅を修理しませんか」といったタイプのトラブルはいくつかのパターンに別れます。

ひとつは、経年劣化が原因で老朽化しているにも関わらず「保険金が出るから」と言って工事を行うケース。

先ほどお話ししたように経年劣化は完全に補償対象外なので、結局自分でお金を払うことになります。保険の内容などもしっかり確認せずに持ちかけていることもあります。

次に最初から工事をするつもりがない場合。保険金は、被害部分の写真や復旧見積りだけで払われる場合が多いので、その払われた保険金のうちの一定額を先に受け取り、そのまま工事をしないケース。

3つ目は、結果的に保険が出なくてトラブルになる場合。修理業者か家の所有者(つまり火災保険の契約者)の両方またはどちらかの知識不足、確認不足で修理は進めたものの保険の支払い対象外であった、というケースです。

悪意はなかったとしても「保険が下りないのであれば修理はしなかった」となり、業者が持ちかけた場合はトラブルになることもあります。

保険金は見積りだけで出る?

小宇佐
小宇佐

原則被害箇所の写真とその復旧するための修理見積りが揃うと査定されて保険金が支払われます。

ここで注意するのは、基本の補償は「復旧費用のみ」が補償対象となります。

例えば損害にあって壊れた部材などを片付けたり運んだり処分する費用などは払われませんし、ついでに周りの老朽化している箇所も新しくする費用なども当然出ません。

業者さんが出してくれた見積りの中にこう言った内容も含まれていると、その部分は保険金支払いから除外されますし、また復旧の費用も一般的な金額から大きく外れていないかという確認はされます。

でも「実際に復旧したか」ということまでは確認されないので、最終的に保険金で入ってきたお金を修理に使わなくても現在の法律では問題ありません。
(修理業者の選定やタイミング、復旧内容の検討等、保険契約者に不利な事項がないようにするため)

この知識の差を利用して必要ない内容の見積りや水増しの見積りなどを提示して「保険が効くから」と言って先行して修理をして代金をもらうようなケースもあるので、この点も注意が必要です。

更に断ると高額な解約手数料などを取られることもあるので、やはり簡単に工事契約をしてはダメですね。

高齢の方だけで対処するのは難しい。

最低でも「保険が払われるのは自然災害か事故のみで老朽化部分は出ないこと」を知っておいていただき、業者の方が来ても「その場では決めたり契約したりしないこと」「保険会社や担当代理店にまずは先に相談すること」を守っていただければ大きなトラブルは避けられると思います。

また一般の業者も悪質な業者も訪問してきたり案内をかけてきたりするのは、台風や大雨、または地震発生の直後であることが多いので、そういったときは年配のご両親などに声をかけておくのも予防になりますので、心がけてみると良いと思います。

火災保険についてのご相談は小宇佐・針田FP事務所にお任せください。

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小宇佐 拓宏

小宇佐・針田FP事務所代表ファイナンシャルプランナー。住宅マネープランナー協会代表。2001年早稲田大学人間科学部卒業後、マンションデベロッパー・損保系大手生命保険会社での経験を経て2010年小宇佐FP事務所として独立。2011年小宇佐・針田FP事務所に名称変更専門分野は投資・運用。自らもFXや米国株投資を積極的に行う。

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