老後の保険はどうする?ケース別のおすすめ加入方法をFPが解説

老後の保険 マネー情報

老後の保険についてのご質問です。

私は今50代後半で、近い将来には定年退職を迎えることになります。今はしっかり給料もあり、おかげさまで健康に生活できていますが、ふと定年退職して老後のことを思うと色々と不安になることもあります。その中で、保険についてですが、今からでもしっかり入っておいた方が良いものなどはありますか?教えて下さい。

伊藤
伊藤

私、伊藤がお答えします!

※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2021年6月21日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。

現役中とはまた違うリスクが考えられる

伊藤
伊藤

多くの方が真っ先に思い浮かぶのは、病気や介護のことだと思います。

例えば、病気についてですが、厚生労働省の「平成29年患者調査」によりますと、75歳以上になると入院受療率が急激にアップするという結果が出ています。

入院受療率とはある特定の日に疾病治療のために全ての医療施設に入院、通院、往診を受けた人口10万人あたりの患者数の比率のことですが、45~49歳と75~79歳を比較すると、75~79歳の方が約6倍高かったようです。

医療費のことは心配になる

中には定年退職後にも仕事を継続する方もいらっしゃるとは思いますが、公的年金のみで生活される方が多いと思います。

そうなると、年金だけで足りない場合、他に出所がなければ貯蓄を取り崩して対応することになり、入院や通院などの長期化で医療費がかさめば、当然、貯蓄を多く崩すことになり、結果として生活費が足りなくなるといった心配が出てきます。

伊藤
伊藤

そういった観点からもいざという時に助けとなる保険という視点は重要になってきます。

ほとんどの人は公的な健康保険に加入している

医療費の自己負担は基本的に現役中から69歳までは3割負担、70~74歳は所得が所定の水準より高いなどの例外を除き2割負担、75歳以上も例外を除き1割負担となっており、ある程度公的な保障があります。

また、高額療養費制度というものもあり、高額な医療費がかかった場合には実際には所定の金額以上の自己負担がなくなり、実質、先ほどの割合まで負担しなくても良いケースもあります。

伊藤
伊藤

ただ、高齢化が進み、医療保険制度も改正されていくことが予想されますので、100%頼りっきりというのも危険かもしれません。

介護のことも心配

日本では全ての人が40歳から公的介護保険に加入し、65歳以降は第1号被保険者として要介護に認定されると、一般的には1割の自己負担、所得が多い方はその金額に応じて2割または3割の自己負担で介護サービスを受けられます。

伊藤
伊藤

ただ、その要介護レベルによって利用できる金額に制限があり、もし、それを超えてさらにサービスを受けたいという場合にはそこは自己負担が上乗せとなります。

施設に入るとさらにお金がかかる

介護施設に入居した場合には居住費や食費、一部介護用品や移動時の交通費などがかかりますが、これらは公的介護保険の対象外のため、自己負担で対応しなければならないです。

そう考えると、要介護状態によって必要になるお金の幅はありますが、それなりの経済的な自己負担は覚悟しなければならないと考えられますね。

保険はしっかり入っておいた方がよい?

伊藤
伊藤

誰でも同じように加入すれば良いというものではありません。

保険という観点では公的なものと私的なものがありますが、公的なものは皆さん加入されていると思います。

ここでは私的な保険、つまり任意加入の民間の保険について考えてみたいと思います。

公的な保険というのは、健康保険証を提示して受けるものは幅広く対象になってきます。

一方、任意加入の民間の保険というのは、例えば病気の点で見ますと、同じ症状で同じ治療を受けたAさんとBさんがいた場合、全く同じ保障の保険に加入していない限り、同じ内容の保険金を受け取ることはありません。

つまり、同じ医療系の保険に加入していても、加入の仕方によっては保険金の支払われ方が全く変わるということです。

保険の入り方によっては、何ももらえないということもある

例えば、医療保険とかがん保険などと聞いたことがあると思いますが、AさんもBさんも特にがんになってしまった時にお金に困らないようにと思い、それぞれ保険に加入したとします。

Aさんは入院や手術の保障がある一般的な医療保険、一方Bさんはがんと診断されたら一時金がもらえるがん保険で備えました。
数年後にAさんとBさんが同時にがんと診断され、お医者さんからは特に入院や手術は不要で通院で治療していきましょうと言われた場合、Bさんは保険金が受け取れますが、Aさんは1円も受け取れません。

2人とも同じ加入目的で民間の保険に加入しましたが、加入の仕方で大きく運命が分かれてしまいました。

伊藤
伊藤

これは極端な例と思いきや、実際によくわからないまま保険に加入している方で加入目的と保険の内容がずれてしまっているというケースは意外と少なくないです。

ある程度資産がある人にとっては保険は不要?

資産がある方においては、先ほどのような保障という観点では必ずしも加入する必要があるかと言ったらそうではないかもしれませんね。

医療保険とかがん保険はあくまでそうなった場合に保険金を受け取ることができ、それにより安心して治療費をカバーできて助かるというものです。

伊藤
伊藤

ただ、治療費をご自身の資産を崩してもゆとりをもって対応できる状況の方であれば、経済的に保険に加入しておかなければならない理由は正直見当たりません。

強いて言えば、公的な健康保険の対象とならない自由診療や先進医療等の高額な医療費が必要な部分について、そういった治療を希望される場合に備えて、大きくに資産を取り崩すリスクに備えて保険で備えるという考えはあっても良いかもしれません。

老後の保険は置かれた状況や考え方によって変わる

例えば、あまり貯蓄もなく、退職金も期待できないという方はいざという時に困る可能性が高いと想定されます。

そのような場合であれば、そのリスクに備えて保険の準備をしておく必要があります。

ただし、何も起こらなければ支払った保険料は基本的に返ってきませんので、やみくもに加入するのではなく、本当に必要な保障と支払保険料とのバランスもしかり吟味して頂きたいですね。

また、資産がある方で保障という部分については特に保険が不要であっても、生命保険を活用すると有効な相続対策ができる方法もありますので、別の視点で保険に加入する意味合いが出てきます。

伊藤
伊藤

保険は意外と奥が深いものでもありますので、ご自身にとって何が適切なのかの答えが見つからない場合には専門家を頼ってみるのも良いと思います。

保険についてのご相談は小宇佐・針田FP事務所にお任せください。

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