団体信用生命保険での配偶者の死亡リスクは?影響や対策をFPが解説

団信 配偶者の 死亡リスク マネー情報

妻の死亡リスクについてのご質問です。

我が家は小さな子供が2人いる4人家族で、夫婦共働きです。
最近、世帯主である私の名義でマイホームを購入したのですが、その際に銀行から団体信用生命保険に加入しました。
これで私に万が一があっても、妻や子供たちに住宅ローンは残らないと安心しておりましたが、
よくよく考えると、妻が死亡した場合はどうなるのか、少し不安になりました。
妻の死亡リスクにも備えが必要ですか?

針田
針田

私、針田がお答えします!

※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2018年2月19日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。

妻の死亡による経済的な負担は

改めて死亡リスクというと、誰かが死亡することで残される側が負う事になる何らかの負担のことを指しますが、やはりまず最初に思い浮かぶのが経済的な負担のことですよね。

特に世帯主の収入が失われると、残される側は今後の生活費、子供の学費、老後の暮らしのことなど、大きな不安が残ります。

そのため今回のご相談者もそうですが、例えば住宅ローンを組む際には、「団体信用生命保険(団信)」に加入することで、ローンの支払い途中で債務者が死亡しても、残った住宅ローンと同額の死亡保険金が銀行へ支払われることで、債務がゼロになるという備えをします。

ただしこの団信に加入するのはあくまでも債務者のみなので、夫単独で住宅ローンを組むのなら、妻が死亡した場合は住宅ローンは全額夫に残されることになります。

針田
針田

意外にこのことを考えていない方もいらっしゃいますが、今回のご相談はここを不安視されたんですよね。

生活設計への影響が大きい

特に共働きのご家庭の場合は、大きく崩れます。

共働きの夫婦でよく見受けられるのが、夫の収入で生活をし妻の収入は貯蓄に回す、と考えていらっしゃるご夫婦です。

これ自体が悪いことではないのですが、妻が死亡することで貯蓄に回すはずだった収入がなくなりますし、他にも影響が出る可能性があります。

夫か妻の実家が近ければ、両親に孫の面倒を見てもらえないか相談できますが、夫婦の実家が遠いとそうはいきません。

ベビーシッターを雇う必要が出てくるかもしれませんし、もしくは夫の仕事の帰りが遅いのなら、職種の異動願いもしくは転職を考えないといけないかもしれません。

勤務時間を減らす目的での転職ですから、多くの場合、収入は下がります。

針田
針田

やはり何らかの形で生活設計は変わりますね。

公的な補助はある?

日本には遺族年金といって、一定の条件を満たせば、残される遺族に対して公的な補償が受けられる制度があります。

2014年4月に法改正があり、これ以降に妻が亡くなった場合は、夫にもこの公的補償が受けられるようになりました。

ただし、生前に国民年金保険料を加入期間の3分の2以上支払っていることが条件なので、それを超える滞納や未払いをした方の遺族は受取れません。

針田
針田

さらに生前に支払っていることが条件なので、死亡後に遺族があわてて未納分を支払ったとしても認められませんのでご注意ください。

遺族年金はどのくらい受け取れる?

遺族年金は基礎年金と厚生年金の2種類あるのですが、まず基礎年金からご説明します。

基礎年金

今回のご相談者を例にすると、夫婦のどちらが死亡した場合、その時に子供が2人とも18歳未満なら、年額約122万円の基礎年金が支給されます。

その後、第一子が18歳を迎えると22万円カットされて年額100万円が支給、第2子が18歳を迎えると終了します。

針田
針田

この遺族基礎年金は、残されるのが夫でも妻でも同じ金額が支給されます。

ただし年収850万円という制限がありますので、夫が残された場合、これを超えた年収を貰っていると、この基礎年金は貰えません。

子供が18歳になったあとは?

夫が死亡した時の妻の年齢が40歳以上であれば、先程の基礎年金が終了した後も、中高齢寡婦加算という補償が継続します。

年額約58万円、これが妻が65歳になるまで支給されます。

針田
針田

ただしこれは妻が残された場合のみで、夫が残された場合には支給されません。

よって子供が18歳を迎えた後、夫婦間で受けられる公的な補償は大きく変わります。

また、もう1つの補償である厚生年金、これは生前に厚生年金保険料を払っていた方が亡くなると、今までご説明した基礎年金と中高齢寡婦加算に上乗せをして、遺族厚生年金というものが支給されます。

これは生前にその方がどのくらいの厚生年金保険料を支払っていたかによって、遺族への支給額は変わりますが、本来生きていれば受け取れた厚生年金の4分の3を遺族が受け取れるようになっています。

これは残された方が死亡するまでずっと支払われますが、これも残されるのが夫の場合には、妻と違って年齢制限がありますし、そもそも妻が生前に支払っている厚生年金保険料は夫のそれよりも少ない場合が殆どですから、ここでやはり夫婦間での差は生まれます。

妻も生命保険を加入するほうがよい?

今回のご相談者であれば、夫の収入にもよりますが、例えば住宅ローンを支払える分くらいは、妻への保険があっても良いかもしれませんね。

針田
針田

備え方は、民間の生命保険もしくは夫の会社の団体保険で良いと思います。

あと最近では、団体信用生命保険に金利を上乗せすれば、夫婦連帯債務でローンを組んでいることが条件ではありますが、妻が死亡した場合にも住宅ローンはゼロになるようにすることが出来るような金融機関も出てきました。

このように住宅ローンの組み方により、妻の死亡リスクを軽減させる方法もあります。
専門家にも相談しながら、夫婦お互いのリスクについて考えて頂くことが大切ですね。

死亡リスクによる問題について、詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。

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