熟年離婚で年金は大丈夫?年金制度や金銭上どうなるかFPが解説

熟年離婚の年金 マネー情報

熟年離婚についてのご質問です。

一時期、熟年離婚が話題になっていたと思います。そこに至るには長年の色々な思いが積もり積もってのことだと思いますが、年金などの扱いはどうなるのでしょうか?私自身は今のところ特に考えているわけではないのですが、不測の事態に備えて念のため知っておきたいので教えて下さい。

伊藤
伊藤

私、伊藤がお答えします!

※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2018年11月26日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。

熟年離婚とは?

熟年離婚とは長い結婚生活の末、離婚することを言います。

特に何年以上とか決まりはないですが、一般的には20年以上とされているようです。

伊藤
伊藤

この熟年離婚という言葉は2005年のTVドラマ「熟年離婚」の放送後、広く使われるようになったようです。

熟年離婚はどんな人の割合が多い?

50、60代の女性であまり働いたことがない専業主婦の割合が多いようです。

このような方々は離婚してしまうと経済的な不安がとても大きいです。

そのため、長年かけてお金をコツコツ貯めて、しっかり貯まったところで離婚というケースが増えているようです。

また、子供のことを気にかけて、成人するまでは踏みとどまって、それから離婚ということも熟年離婚の一因になっているようです。

年金は分割してもらえる

伊藤
伊藤

年金分割という制度があります。厳密には厚生年金の分割制度ですが、平成19年4月1日から始まりました。

離婚をした日の翌日から起算して2年以内に請求する必要がありますので注意が必要です。

なお、この制度には合意分割と3号分割というものがあります。

合意分割とは?

当事者の一方からの請求によって、婚姻期間中の厚生年金記録を当事者間で分割できる制度です。

婚姻期間中に厚生年金記録があることをはじめ、当事者双方の合意または裁判手続きにより按分割合を定め、離婚の翌日から起算して2年を経過していないことが条件です。

伊藤
伊藤

なお、按分割合の合意まとまらない場合は、当事者の一方の求めにより裁判所がその割合を定めることができます。

3号分割制度とは?

平成20年5月1日以降に離婚をし、国民年金の第3号被保険者からの請求によって、平成20年4月1日以降の婚姻期間中の3号被保険者期間における相手方の厚生年金記録を1/2ずつ当事者間で分割できる制度です。

国民年金の第3号被保険者とは、会社員や公務員などの第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者のことを言います。

婚姻期間中に厚生年金記録があることをはじめ、離婚の翌日から起算して2年を経過していないことが条件です。

伊藤
伊藤

なお、この3号分割制度には当事者の合意は必要ありません。

また分割される側が障害厚生年金の受給権者で、この分割請求の対象期間が年金額の基礎となっている場合には、この3号分割制度は適用できません。

専業主婦の人がお得とは限らない

仮に会社員だった夫が将来受け取れる公的年金が月あたり20万円だったとします。

ただし、この中には国民年金部分も含まれますので、分割対象となる厚生年金部分は20万円より少なくなります。

また、婚姻期間中のみが対象になるため、仮に夫が会社員として35年間厚生年金保険料を納めていたとしても、婚姻期間が20年であればそこに相当する部分のみが対象になります。

伊藤
伊藤

ですので、細かく突き詰めていくと意外と金額が少なかったりするのです。

当然、夫の側としても妻が第3号被保険者であれば、平成20年4月1日以降分は1/2ずつ分割と決められているため、問答無用で持っていかれます。

婚姻期間や対象期間の厚生年金額にもより分割額も変動しますので、一概に専業主婦の人がお得とも言えないかもしれません。

夫側に何かメリットはある?

伊藤
伊藤

なくはないですが、あくまで制度上でお金の面だけ見た話です。

離婚により妻(Aさんとします)が受給権を得た分割部分ですが、その後、離婚した夫が亡くなってもその受給権は消滅しません。

この分割部分は厚生年金分ですので、受給している人がお亡くなりになった場合には状況により遺族厚生年金として受給権が移ります。

細かい規定は省略しますが、遺族厚生年金の受給権者の中に55歳以上の夫というものがあります。

仮に国民年金のみの65歳の自営業の男性(Bさんとします)が、バツイチの先ほどのAさんと再婚をしたとします。

その後Aさんが先に亡くなった場合、その時の夫であるBさんにはAさんが受給権のあった厚生年金部分について遺族厚生年金として受給権が発生します。

国民年金のみの自営業の方にとっては、ある意味年金収入が増えるチャンスかもしれません。

伊藤
伊藤

とはいえ、結婚、離婚はお金のためだけではないと思いますので、ご自身が本当に幸せになれそうな道を選んで頂きたいですね。

離婚に関するお金の問題について、詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。

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