国民年金の未納期間についてのご質問です。
50代の主婦です。主人は自営業(個人事業主)をしております。
今回お聞きしたいのは国民年金についてです。
主人は途切れなく年金を払い続けていますが、私は支払っていない期間があり、このままだと60歳まで払っていっても払込期間がちょうど20年くらいになりそうです。
年金をもらうためには25年以上納めていないとダメと聞いていましたので「どうせもらえないなら払いたくないな」と正直考えておりました。
そんな中、8月より年金受給資格を得るための納付期間が10年に短縮されると聞きました。ありがたい話ですが、60歳までのあと約10年間を払うのと払わないのではどのように違ってくるのか知りたいので教えてください
私、小宇佐がお答えします!
※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2017年8月7日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。
年金の受給資格は2017年変更
老齢年金を受け取るための条件が緩和されます。
今までは保険料納付済み期間が原則25年以上必要でした。それが2017年8月1日より10年に短縮されました。
保険料納付済み期間とは、国民年金保険料を納付した期間、厚生年金や共済年金などの加入期間、国民年金の保険料免除期間などを合算した期間の合計です。
これらの合計が10年以上あれば老齢年金を受け取ることができるようになりました。
もらえる人は増えた?
今回の制度変更にともない新たに年金を受け取れるようになる人は、8月1日時点ですでに規定年齢(原則65歳)に達している人だけでみて約64万人とされています。
該当の方には7月までに日本年金機構から黄色い封筒が送付されています。ただ封筒が届いただけでは年金はもらえません。
同封されている年金請求書を窓口に提出する必要がありますのでご注意ください。
10年払うのと20年払うのはどのくらい違う?
受給条件が納付期間25年以上から10年以上に変わったのはあくまで「受給資格」であって、「年金の受給額」は納付期間で変わってきます。
いま現在もらってる方の老齢基礎年金の金額で比較してみます。
(分かりやすく大まかな数字、100円単位以下省略でお話しします)
納付期間が40年だと満額もらえて年間で約78万円(月換算で約6.5万円)です。
年数に応じて比例計算できますので、納付期間20年だと年間約39万円(月換算3.2万円)、10年だと年間約19.5万円(月換算約1.6万円)です。
10年の納付期間だと月額約1万6千円程度と考えると「もらえないよりはマシ」という程度ではないでしょうか。
20年納めてもその倍の月額約3万2千円程度ですが、こういった年金制度の特徴(メリット)として原則、終身(生きている間ずっと)もらえると言うことがあります。
生きている間ずっともらえるお金が毎月約1万6千円と約3万2千円と考えるとやっぱり今からでも払える分だけ払った方が良さそうですよね。
受給額を増やすことは出来る?
もし今までの納付すべき期間の中に免除期間(学生納付特例、若年者納付猶予なども含む)がある場合は、「追納制度」といって過去10年以内の免除期間の分の保険料を納めることもできます。
免除期間は一般的には「受給資格」の期間には含みますが、「受給額」の計算には含まれませんので年金額を上げるという意味では効果があります。
また2018年9月までの限定ではありますが、国民年金保険料が適切に納付できていない場合に過去5年分まで納めることができる「後納制度」というものもあります。
もうひとつ、60歳までに老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない場合や、40年の納付済期間がないため老齢基礎年金を満額受給できない場合で、厚生年金・共済組合等に加入していないときは、60歳以降(申出された月以降)でも任意加入することができます。
- 年金額を増やしたい方は65歳までの間
- 受給資格期間を満たしていない方は70歳までの間
- 外国に居住する20歳以上65歳未満の日本人
加入することができます。
ご自身の状況に応じて対応していくと受給資格を得られたり年金額を増やせますので対象になりそうな方は一度確認されてみてください。
気を付ける点は?
今回の受給資格の条件の変更(25年→10年)は「老齢年金」のみが対象となります。
遺族年金の支給要件(資格期間25年以上など)や障害年金の納付要件についてはこれまで通り変更がありません。
10年あれば何でも大丈夫、というわけではありませんのでその点はご注意ください。
年金についてのご相談は小宇佐・針田FP事務所にお任せください。