52歳男性の方からのご質問です。
現在、つみたてNISAとiDeCoの両方で資産積立をしています。『続けることが大事』とは聞いていますが、この株価の急落の中、止めないまでも、何か手を打たなくても良いのか心配です。両方とも『世界株式』や『日本株式』を中心に運用しているのですが積立額を減らすなど、やったことが良いことがあれば教えてください」
私、小宇佐がお答えします!
※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2020年4月27日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。
「値下がり」と「危険」は別物
積立運用の質問ですね!
相場に置いて「これが正解」というのはありません。詳細の内容が分からないので尚更ですが、ただ『世界株式』や『日本株式』で運用されているとのことですので、少なくとも少数銘柄ではなく、インデックス投資と言われる、日経平均やダウ平均(TOPIX、S&P500)のような株価指数(インデックス)と同じ動きを目指す、幅広い銘柄に分散したカタチで運用している前提でお話します。
日本国内も世界的にも株価や株価指数は大きく下がってますよね? 確かに下がっています。ただ、毎月積み立てるような積立投資の場合は、「値下がり」と「危険」は別物と考える必要があります。
確かに、今まで積み上げてきた資産の評価額は大きく下がっているかも知れません。これが、ずっと下がった状態であれば問題ですが、そもそも長期的に見た場合、株価指数が下がりっぱなしということはありません。問題は、何年掛けて急落前の水準に戻るかということですね。
長期視野で見ると株価は成長し続けている
積立運用の質問ですね!
そうですね。ちなみに、NYダウ平均株価指数で見ると2000年のITバブル崩壊のときは崩壊前の水準に戻るまでに7年2ヶ月、2008年の世界金融危機(いわゆるリーマン・ショック時)のときは戻るまでに5年6ヶ月掛かっています。長期間の沈み込みに感じますが、その期間以降は小刻みに上がり下がりを繰り返しながらも伸び続けているので、大きな視野で見ると株価は成長し続けています。
積立投資継続の判断基準
この株価の急落を「値下がり」と見ると、捉え方が変わってくるかもしれません。
毎月購入するものが安く買える、と考えるとお得感が出てきますよね。相場が、ある一定期間(例えば5年後など)で元以上に戻るという前提で考えると、その5年間は「安く買える」と言うことになります。
株式投資は暴落した後が安全で魅力的と言われます。反対に相場が上がっているときは、あまり「お買い得」とは言えません。資産運用の世界では「儲かったときにブレーキを踏み、損をしたときにアクセルを踏む」という言葉があります。
やはり今は積立を続けるべき、可能であれば積立額を増やすべきとも言えるかも知れません。
積立投資の注意点
長期分散積立投資のメリットをお伝えします。
まず、今日のお話は、幅広い対象に分散投資していて、購入時期も毎月購入しているような分散投資の場合だと考えてください。ある一つの会社の株式を一括でまとめて何百万円分も買うような場合はもっと慎重になるべきです。その会社の株価が必ずしも元に戻るとは言えませんからね。また一括購入、一括売却の場合は、「買ったとき」と「売ったとき」のピンポイントの株価が重要なので、必ずしも右肩上がりの相場に乗せることは出来ません。
ご質問の方は、つみたてNISAやiDeCoなど毎月積み立てる仕組みのものなので問題はありません。
ライププランからみた資産運用のやめ時
引き出す5年前からは要注意です!
もうひとつ。iDeCoのように、運用期間に終わりがあるものは、急落した後、相場が戻るまでに(60歳などの)ゴールを迎えてしまうかも知れません。そう考えると長期投資の場合は、終わりの5年ほど前から株式などでの積極投資は割合を減らしていくなどして、抑えていくべきだと思います。
最後に。今のような相場の場合は、可能であれば積立額を増やしてみては、とお話ししましたが、収入や家計の中から投資に回せるお金に余裕がない場合は当然ですが、増やすべきではありません。実際、この状況で収入が減っている方はかなりいらっしゃいます。そんな場合は、投資のチャンスではあるけれど、無理はせずに生活を優先することも意識してください。
つみたてNISAとiDeCo、その他資産運用について、詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。