60代男性の方からのご質問です。
苦節10年、食品会社(丸美屋)の現金プレゼントで50万円がやっと当たりました。夫婦で応募し、専業主婦の妻の名で当選です。確定申告手続きは必要なんでしょうか!?知らん顔で済むものなら済まそうと思いましたが、ちょっと心配で…。
私、小宇佐がお答えします!
※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2021年7月5日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。
懸賞金は一時所得となり所得税が課税
懸賞金は一時所得となり所得税が課税されます。
ただ一時所得を計算する際に50万円が特別控除として認められていますので、懸賞金が50万円以下の場合は税金(所得税)も掛からず、確定申告の必要もありません。
一時所得の課税対象金額を正確に言いますと
(懸賞などで得た金額 – 掛かった経費[ハガキ代など]- 50万円) ✕ 0.5
となりますので、経費を掛けて得た収入であれば課税されない金額は更に多くなります。
もしこの金額をオーバーしている場合は、給与所得などの他の所得と合算して総所得金額を出した後、納める税額を計算することになります。
気を付けるのは、今回の懸賞金以外にも一時所得になるようなお金をもらっていないかどうかです。
一時所得は他にどんなものがある?
税制上の一時所得は、他の所得、利子・配当・不動産・事業・給与・退職・山林・譲渡の各所得に当てはまらない所得を指し、更に営利を目的とした継続的な行為から生じた所得以外の所得であって、労働・役務の対価や譲渡による対価ではないものとなります。
例えば
- 懸賞で当たった賞金や「賞品」
- 競馬や競輪など公営ギャンブルの払戻金
- 生命保険の一時金や満期返戻金
- 法人から贈与された金品
- ふるさと納税の返礼品
- 落とし物などの報労金
などがあります。
競馬の払戻金やふるさと納税でもらったものも入ってくる
競馬の場合はハズレ馬券は経費として差し引いていいのか、という質問を良く受けますが、個人の趣味で行なっている範囲では残念ながら当たり馬券の購入費用しか引けません。
裁判でハズレ馬券が経費として認められた例もありますが、事業として「営利目的の継続的な行為」と認められたという、極まれなケースの場合でした(雑所得となりその年のハズレ馬券が経費と認められたケースが数件ある)。
ですので、個人の趣味の範囲で競馬で勝った場合は、当たった金額から当たった分の馬券の購入費用を引いた金額も一時所得に含める必要があります。
ふるさと納税の返礼品の価値は「寄附金額の3割程度」とされているため、課税対象として金額を算出する場合には寄附金額から逆算して計算する方法が主流です。
宝くじには税金が掛からない
宝くじの当選金には税金は掛かりませんが、これは何故かと言うと宝くじの購入金額にすでに税金が含まれているようなものだからです。
正確に言うと、宝くじの全売上の内(年度ごとに少し異なりますが)、当選金として支払われるのは大体47%で、残りの部分の内、約38%が公共事業等に使われます。
(印刷費・手数料で13.8%程度、社会貢献広報費1.2%程度)
この公共事業費は、宝くじの販売元の地方自治体へ納められ、結果的に税金と同じ扱いになります。
ですので、当選金は「税引き後の金額」と言う考えです。
ちなみに宝くじを何人かで共同購入して当たった場合は、受け取り方に気を付けなければいけません。
当選金を代表の人がひとりで受け取った場合、その後、共同購入者にお金を渡すと贈与とみなされ、金額によっては贈与税の対象となります。
10人で共同購入して1億円当り、代表が受け取って各自に1000万円ずつ渡すと、各自が231万円の贈与税を払わなければいけないという、大変なことになります。
これを避けるためには、購入者全員で当選金を受け取りに行き、各自の受け取り分を銀行が発行する「宝くじ当選証明書」に記載してもらえば、税務署から指摘されることはありません。
懸賞金などをもらった場合に気を付けることは?
個人個人の税金の計算は、その年の1月1日から12月31日までの期間で計算されます。
その間に何をどれだけ受け取ったかは記録しておくことをオススメします。
また何が一時所得の対象になるかを考える場合、「労働やサービスの対価として受け取ったものではない、何かを売却して得た利益ではない」ものとなりますが、判断できない場合も多いと思いますので、そういった場合は最寄りの税務署に電話で良いので問い合わせをすると結構親切に教えてくれますのでご活用ください。
最近は、支払調書の発行やインターネットの購入記録などに加えてマイナンバーの紐付けなどで、誰がどういう収入(所得)を得たかはすぐに分かる時代となっています。
申告漏れなどを指摘されると後から「無申告加算税」(15〜20%)や「延滞税」(7.3〜14.6%)などの罰則が課税される可能性がありますので、くれぐれも気を付けるようにしてください。
税金やお金についてのご相談は小宇佐・針田FP事務所にお任せください。