相続した家の管理方法についてのご質問です。
2年前に親が亡くなった時に相続した家が空き家のままになっています。隣の県ではありますが場所も離れているので住むのも難しく、固定資産税だけを払ている状況です。防犯上も問題があるのでなんとかしたいと思っていますが、どのように考えて進めていけば良いでしょうか?
私、小宇佐がお答えします!
※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2017年5月8日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。
空き家の問題は増えている
空き家の数は2013年の時点で全国で820万軒ののぼり、全戸数の約14%を占めます。
今後人口が減っていく中で空き家は大幅に増えていく見通しで2033年には全戸数の約3割にあたる2200万近くが空き家になるとの予測もあります(野村総合研究所調査)。
空き家ができる原因
今空き家になっている一戸建てを調べてみるとおよそ半数(48.2%)は、もともと親などから相続した物件です。
離れて暮らしていた親から家を受け継いだものの、住んだり貸したりせずに放置しているケースが多いようです。(45.8%:かつて新築や中古で買った 6.0%:その他 3大都市圏 国土交通省調べ)
どのような対策がある?
その家を手放しても良いのか、持ち続けたいのかで大きく変わってきますのでまずはそこを冷静に考えてみることです。
手放したくない場合に、一番に思いつくのは賃貸に回すことですよね。
その時に問題になるのは採算が取れるかどうかです。
長年住み続けてきた家が多いのでそのまま貸すということが難しくどうしても改修費などが掛かってきます。
平均的な一戸建ての場合、内装の全面改修で120万~150万円、台所や浴室の設備交換でそれぞれ50万~100万円、外装まで手を入れるとさらにコストがかさんできます。
賃貸にしたら利益は出せる?
空き家の所有者はいまや半数以上が65歳以上のリタイヤ世代です。
数百万円の費用をかけてまで賃貸経営に乗り出す気持ちにはなりにくいようです。国土交通省が一戸建て空き家の所有者にアンケートを取ったところ、賃貸にする意思のある人は全体の約9%にとどまりました。
ただ不動産業界でもこういった空き家の賃貸転用を促そうという動きはあります。
一部の不動産大手グループでは、一定期間(例えば7年)の家賃収入を保証し、更にその一部を前払することで所有者がそれを元手に改修費に充てて空き家の賃貸を始められるという仕組みを始めています。
(定期借地契約だったり)管理を一部任せるために入ってくる家賃収入は相場より15%ほど下がる計算ですが、リフォーム費用を一定(300万~400万円程度)に抑えることができれば固定資産税をカバーできるくらいにはなる計算です。
不動産を賃貸に出す場合は「きちんと収益が出るかどうかの確認」と「信頼できる運営パートナー」が重要ですのでその2つをしっかり押さえるようにして下さい。
空き家売却のメリットはある?
自分で購入した不動産を売却する場合には一般的にはそこまで大きな利益が出ることは無いですよね。
問題は先祖代々引き継いだような家で当時の取得費が分からない場合や著しく低い場合です。
取得費が分からないまたは取得費が売却金額の5%未満のときは「売却代金×5%」を取得費とすることが可能です。
しかしつまり95%が利益になるので税金も多額になることが予想されます。
これでは空き家売却も進まないということで昨年(2016年)4月から売却時の優遇税制が導入されました。
一定の条件を満たすと土地・建物を売却して出た利益(浄土所得)について空き家の相続人1人あたり3000万円を特別控除できて節税になります。
仮に兄弟2人で相続した空き家であれば通常の税率が20.315%なので節税額は合計で最大1200万円余りとなります。
特別控除の対象は1981年5月までに建てられた一戸建てで、亡くなった方がひとり暮らしをしていた家、相続発生の3年後の年末までに建物を解体するか新耐震基準を満たすよう改修するかしたうえで、1億円以下で売るといったやや厳しい条件があります。
また相続してから1回でも住んだり、賃貸に回したりした場合には適用されなくなるのでここも注意が必要です。
条件は厳しいですが利益も出て税金も掛からないのであれば売ろうか、と言う方も多く見込めます。
放置するのはおすすめできない
自分たちや親族で使わなければその方が良いと言えます。
賃貸需要や不動産市況は今後どうなるかは不透明です。賃貸するにしても売却するにしても放置すればするほど取引条件が厳しくなる可能性がありますので早目に決断、準備されることをオススメします。
空き家の運用について、詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。