住宅ローンに三大疾病の保険についてのご質問です。
我が家は今、住宅ローンを組んでいますが、借り換えを考えています。借り換え候補の銀行のローンは、支払いが少なくなることもそうですが、三大疾病の保険も付けられるということで 安心かなと思って検討していますが、借り換えても問題ないですよね?教えて下さい。
私、伊藤がお答えします!
※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2019年6月3日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。
住宅ローンには保険が付く
団体信用生命保険といって、ローンを借りている人がお亡くなりになった場合などに、その時点のローン残高を返済してくれるという保険があります。
世間では略して団信と呼ばれています。
多くの金融機関では保険料は金利に含めているという扱いとなっていますので、毎月の返済額以外に保険料が発生することはありません。
一般的な住宅ローンはこの団信の加入が条件となっていますので、健康状態によっては保険に加入できる資格を満たさず、住宅ローンが組めないということもあり得ます。
三大疾病の保険は団信は別物?
全く別個のものというわけではなく、団信の内容に対して、三大疾病の保障もプラスするという形です。
三大疾病保障付きの団信ということですね。
先ほどのようにお亡くなりになった場合に加え、所定の三大疾病の状態になった場合のいずれかに該当した場合に保険金で住宅ローン残高を返済してくれるものになります。
ちなみに最近では、死亡保障にガンの保障のみ付いたガン団信、七大疾病保障付き団信、八大疾病保障付き団信などというものもあります。
三大疾病とは?
住宅ローンの商品によって、団信を引き受ける保険会社が異なる場合がありますので、詳しくはその内容を個別に確認する必要がありますが、一般的には所定のガン、急性心筋梗塞、脳卒中になった場合に保障の対象となるものです。
ガンはいわゆる悪性新生物の診断をされた場合です。
ただし、保障開始日から90日以内の場合は保障されません。
急性心筋梗塞は初めて医師の診察を受けた日を含めて60日以上の労働制限が必要な状態が継続した場合や手術をした場合などです。
脳卒中は初めて医師の診察を受けた日を含めて60日以上言語障害、運動失調、麻痺等の神経学的後遺症が継続した場合や手術をした場合などです。
三大疾病の保障料は?
確かに、保障が手厚い方が安心ですよね。ただ、当然、無料で付けられるものではないということと、保障は一生涯されるものではなく、あくまで住宅ローンの残高と返済期間になります。
三大疾病付きの団信を選んだ場合、一般的には住宅ローン金利に0.3%程度上乗せされます。
例えば、住宅ローンを3,000万円、35年、金利1%で組んだ場合、この0.3%の差がどれほどの差か見てみましょう。
通常の団信の場合、毎月の返済額は84,685円です。三大疾病付き団信の場合、0.3%上乗せになり、毎月の返済額は88,944円です。
月々の差は4,295円、35年で見た場合の差は約180万円となります。
この差が三大疾病分の保険料と考えられます。
三大疾病を付けると、保険料の差が大きい
先ほどの例ですと三大疾病保障付き団信を選んだ場合、何事もなく35年で住宅ローンの返済を終えれば、通常の団信と比べて手元に残るお金が約180万円少なくなります。
当然、住宅ローンの返済期間中に所定の三大疾病状態になればその後の返済はなくなりますので、借りてからそれほど経過していなければその後の支払いが2,000万円以上なくなるという可能性もあります。
将来どうなるかは誰にもわかりませんので、一概にどちらが得になるのかは断定できないということです。
団信の乗り換えはできない
団信ですが、原則、住宅ローンに連動するものですので、借り換えなどで新たに違う住宅ローン契約をしない限りは途中から違う団信に乗り換えることはできません。
例えば、最初は通常の団信を選んでスタートして、途中から三大疾病付き団信に切り替えたいということはできません。
逆に、三大疾病付き団信でスタートして、やっぱり通常の団信で良いと思ってもそのままの住宅ローン契約では切り替えることはできません。
住宅ローンで将来を見通すことが大切
ほとんどの人にとって住宅ローンは数十年に渡って付き合うものですので、スタートの段階で将来を完全に見通しきることは難しいと思います。
支払いの差は当然ですが、世帯の収入状況や働けなくなってしまった場合に影響が出てくる健康保険制度なども含め、総合的に判断して納得の上選択して頂きたいですね。
どのように判断すればよいか、詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。