30代夫婦からの質問です。
うちは夫婦共働きで二人とも会社員です。うちには小学生の子供が2人いて、今までは
何となく2人とも旦那の方の扶養に入れていたのですが、場合によっては妻側の扶養に入れた方が得な場合もあると聞きました。
年収は、旦那が500万円台、私が180万円程度と言ったところです。
このままで良いのか、変えたほうが良いのか、教えていただけると助かります。
私、小宇佐がお答えします!
※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2020年8月24日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。
扶養制度とは
「扶養」と言っても実は2種類あります。
それは「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」で、それぞれを分けて考える必要があります。
また「税法上の扶養」でも「所得税」と「住民税」でポイントとなる点が異なります。
どちらに入ればよい?
まず税法上の扶養は、どちらに入れるかは自由に選べます。
所得税の面から考える場合は、子供の年齢で変わってきます。
具体的には年末時点の年齢が16歳以上23歳未満であれば、所得の多い親(税率の高い親)の扶養に入れる方が税額負担は少なくなるため得になりますが、16歳未満の場合はどちらの親の扶養に入れても税額負担に変わりはありません。
その理由としては16歳以上19歳未満であれば扶養控除、19歳以上23歳未満なら特定扶養控除の対象になりますが16歳未満の子はそもそも控除対象ではないためです。
(以前は年少扶養控除として対象であったが「児童手当」の拡充に伴い廃止となった)
では、子供が16歳未満であれば適当にどちらかの扶養に入れればよいかというと、そうとも限りません。なぜなら住民税(市・県民税)の非課税を判断する際には16歳未満の子を含む扶養人数の数が関係してくるからです。
扶養の具体例
住民税(市県民税)は、市町村ごとに違うので、名古屋市の場合で考えます。
住民税には、均等割と所得割の2つがあるのでややこしいですが、均等割で言うと、扶養人数がゼロの場合の非課税基準は、年収で言うと100万円です。
これが、1人扶養に入れると156万円、2人だと191万円となります。
年収がこの金額までなら住民税の均等割部分は払わなくて良いと言うことです。
所得割の場合は、扶養なしだと100万円、扶養1人だと167万円、2人だと202万円まではかかりません。
年収が400万、500万とあるような会社員の方には関係ありませんが、100万から200万くらいの方だと、お子さん2人を扶養に入れることで住民税の負担がなくなる可能性があります。
ご質問者のご夫婦の場合だと、お子さん2人が小学生で16歳未満ですので、所得税の方は旦那さんの扶養から外しても変わらず増えも減りもしません。
住民税は、奥さんのご年収(180万円)を考えるとお子さん2人とも奥さまの扶養に入れた方が、奥さま分の住民税負担がなくなります。
お子さん達が16歳を過ぎて来た時に、その時点での働き方や年収、所得税、住民税などを考慮してどちらの扶養に入れるかはあらためて決めていく必要があります。
社会保険上の扶養の場合
社会保険上の扶養は年収の多い方にいれることが原則であり、自由に好きな方を選択できるというわけではありません。
また、例えば奥さまがパートとして働いていて、そもそもパート先で社会保険に加入していない場合は選択の余地なく夫の扶養に入れるしかありません。
質問者の方の場合も状況的に考えて、旦那さんの方の扶養に入れるしかありませんね。
もし、夫婦で同じくらいの年収だった場合は?
その場合は、健康保険制度が充実している方を選べば良いです。
具体的には健康診断の内容や予防接種の費用補助、健康保険組合であれば医療費が高額になった場合の月額の費用負担上限を独自に設けている場合もありますので、それぞれの健康保険(組合)を見比べた上で、より充実している方を選ぶとよいですね。
その際は健康保険(組合)に扶養を申請し認めてもらう必要がありますが、健康保険(組合)側が判断基準とするのは「主に扶養とする親の収入で生計を維持しているかどうか」です。年収が多い少ないといった画一的なものではなく、状況に応じて総合的な判断がされますので、申請の際には基準がどうなっているか問い合わせされることをお勧めいたします。
扶養について、お金に関してお悩み事があれば、小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。