養子縁組することで相続税が減る?メリットや注意点をFPが解説

養子縁組と 相続 マネー情報

60代男性の方からの相談です。

もうすぐ長年勤めた会社を定年退職となり退職金がもらえます。私の親から引き継いだ遺産や家土地も合せるとそれなりの額になるので相続対策をしておいた方が良いと思っています。そんな中、養子縁組をすると相続対策になると聞きました。私の家族は妻と子供がひとり(既婚)ですが孫が2人いるので孫を養子にすることで相続対策になるのでは、と考えています。詳しい仕組みや気を付けることなどありましたら教えてください

小宇佐
小宇佐

私、小宇佐がお答えします!

※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2017年11月6日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。

相続対策に孫を養子にする?

小宇佐
小宇佐

養子も一定の人数であれば相続税の基礎控除枠に入りますので、それを目的に養子縁組される方はいらっしゃいますね。

相続税の基礎控除は「3000万円プラス600万円×相続人の数」ですので、相続人がひとり増えるごとに課税財産が600万円分減らされることになります。

養子縁組に制限はある?

小宇佐
小宇佐

10人とか20人とか養子にしたら全部控除の対象になるのではなく、そこにはやはり制限があります。

実子がいる方は養子は1人まで、実子のない方でも養子は2人までが基礎控除の対象です。ですのでそこまで大幅に増やすということは出来ないようになってます。

相続税対策においての養子は孫に限らない

そうですね。そこは特に制限はないです。ただ養子縁組自体は「年下である」と言うことが条件でもあるので、年上の方は養子にできません。

(※特別養子縁組は6歳(特別な事情下では8歳)まで)

小宇佐
小宇佐

お孫さん以外だと例えば息子のお嫁さんを養子にするとか甥っ子さん姪っ子さんを養子にすると言ったことは良く聞きますね。

相続税がかかりそうな方は養子縁組はしておいた方がいい?

小宇佐
小宇佐

実はそうとも限りません。

相続や遺贈(遺言で財産をもらうこと)で財産を受け取った人が相続税を払う際に一親等の血族か配偶者以外の場合には、支払う相続税が2割加算されるという決まりがあります。つまり「配偶者、父・母、子ども以外」は計算上の相続税額の1.2倍払わなければなりません。

(※代襲相続人となる孫は一親等と同じ扱い)

小宇佐
小宇佐

ですので特に相続財産が大きくなる方は注意が必要です。

養子一人に付き増える基礎控除は600万円です。

例えばお孫さんを養子にして課税総額を600万円減らしたとしても、そのお孫さんが払う相続税額が5000万円だとしたら2割加算でプラス1000万円払わなければいけません。

資産の状況によっては相続税対策としての養子縁組はしない方がいい場合があります。

反対に養子縁組をした方がいい場合はというと、養子を増やすことにより相続税額をゼロにできる方は積極的に活用を考えてもいいかも知れません。

相続対策のために関係ない人を養子にするのは問題がある

小宇佐
小宇佐

養子になることで相続人の一人となるわけですから、養子と言えども遺留分を主張できます。

遺留分とは例えば遺言などで養子である方自身の相続分がゼロだとされていても、計算上の法定相続分の2分の1は請求できるということです。

基礎控除の枠600万円を増やすためだけに養子にしたとしても、養子になった時点で相続財産の一部を請求できる権利を持つということになります。

こう言った観点からも誰を養子にするかはかなり重要な決断だと言えます。

養子縁組にはお互いの意思確認が必要

養子縁組にはお互いの意思確認が必要です。

(未成年者は自分や配偶者の子や孫を養子とする場合以外は家庭裁判所の許可が必要)

ですので遺言による養子縁組はできません。あくまで生前にしか行なうことができないので注意が必要です。

また養親と養子のどちらか片方の意思のみで養子縁組を解消すること(養子離縁)はかなり大変です。双方の合意が無ければ調停や裁判までもつれこむことになります。

小宇佐
小宇佐

養子縁組することや誰を養子にするかはやはり慎重に決めるべきですね。

養子縁組や相続について、詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。

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小宇佐 拓宏

小宇佐・針田FP事務所代表ファイナンシャルプランナー。住宅マネープランナー協会代表。2001年早稲田大学人間科学部卒業後、マンションデベロッパー・損保系大手生命保険会社での経験を経て2010年小宇佐FP事務所として独立。2011年小宇佐・針田FP事務所に名称変更専門分野は投資・運用。自らもFXや米国株投資を積極的に行う。

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