入院時の費用についてのご質問です。
来月、長年患っていた持病を治すために2週間ほど入院する予定です。
手術を伴うため精神的にもつらいですが、同時にお金のことも心配です。
と言うのも、先日知り合いが入院した際の話の中で、予定していなかった個室の費用が掛かって結構出費がかさんで大変だった、と聞かされたからです。
個室の費用ってどのくらい掛かるのか、希望してなくても掛かるのか、教えてください。
私、小宇佐がお答えします!
※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2018年7月9日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。
個室費用「差額ベッド代」とは
差額ベッド代は、正式には「特別療養環境室料」といいますが、病院のスタッフの方でも「差額ベッド代」と言うのが一般的なようです。
注意するのは差額ベッド代が掛かるのは個室に限らないということです。
差額ベッド代は4床(4人部屋のこと)以下の部屋で、一定条件を満たすと支払わなければいけない対象になってきます。
(1人当たり6.4平方メートル、プライバシー確保設備、個人用の私物の収容設備、個人用の照明、小机等及び椅子の設置)
どのくらい費用がかかる?
差額ベッド代は各病院が料金を設定できるようになっているので、病院ごとに差があります。
厚生労働省(中央社会保険医療協議会)のデータによると、1日当たりの差額ベッド代の平均額は5,918円となっています。
これは1人部屋から4人部屋まで全ての平均で、1人部屋のみの平均額だと7,563円とやはり高くなります。
1人部屋だけの料金で見ると全体の5割弱が5,400円以下、3割強が5,400円超10,800円以下、残り2割弱が10,800円超となります。
(ちなみに最高額は367,500円です。どこの病院かは未公表)
また差額ベッド代は、全額自己負担で、高額療養費制度の適用もないのでその金額がまるまる請求額に乗ってくることにも注意しておいた方が良いです。
希望しなければかからない?
原則はそうなります。
厚生労働省としても、病院が患者に病室の構造や料金を説明したうえで、患者が納得し同意書に署名する必要があるとしています。
しかし、現実にそうではない請求も見られトラブルになっているようです。
差額ベッド代を請求できない場合
厚生労働省が差額ベッド代を請求できないとしているケースが3つあります。
①同意書による確認がない場合。
②治療上の必要がある場合。
例えば、救急患者などで安静を必要としたり、免疫力が低下して感染症罹患のおそれがある患者などです。
③患者の選択でなく病棟管理の都合である場合。
例えば、差額ベッド以外が満床(いっぱい)だった場合や、他の患者の感染症防止のために差額ベッドに入院させたりしたときです。
こういった場合は、本来(差額ベッド代の)請求はできないとされています。
しかし多く見られるケースとして③の「他が満床なので差額ベッドの部屋に入院させ」更に「患者が同意書に署名している」場合です。
行きつけの病院でも緊急で運ばれた病院でも、病院側の話って「しかたない」とか「そう言うものかな」とか「なんとなく」とか受け入れる場合が多いですよね。
またそんな時に「差額ベッド代が掛かるくらいだったら他の病院を探そう」とはなかなかならないと思います。
厚生労働省もこういった場合の「差額ベッド代の徴収は不適切」としています。
ただ、快適な療養環境を望む患者が同意書に署名すれば請求は可能で「絶対に差額ベッド代を請求できないという趣旨ではない(厚生労働省)」ともしています。
請求されるのを回避するには
まず差額ベッド代の掛かる部屋を本当に自分が希望しているのか病院や治療上の都合なのかを判断してください。
迷った場合は、いったん同意書を書くことを保留にして家族など周囲に相談することも必要です。
また入院するときは、病気やケガなどで充分な判断ができる状況であるとも限らないので、家族でそういった知識を共有しておくことも大切です。
困った場合は各地方厚生局に相談されることもおススメします。
日常のお金に関するお悩みがございましたら、小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。