男性の育休取得で収入はどうなる?取得状況や補償についてFPが解説!

男性の育休取得で収入はどうなる?取得状況や補償についてFPが解説! マネー情報

男性で育休を取ることについてご質問です。

つい先日のニュースで「男性の育児休暇取得の義務化について、中小企業の7割が反対」というのを目にしました。
我が家もそろそろ子どもをと思ってはいるのですが、その際に夫に育休してもらえたら、たしかに心強いです。
ニュースとは反対に、夫の職場ではここ数年で育休を取得する男性が少しずつ増えてきてはいるそうです。
ただ心配なのが、やはり育休中の収入のこと、復職後の夫の仕事のことです。
そこでお聞きしたいのが、いま男性の育休取得はどのような状況でしょうか?
また手当などはどのくらい支払われるのでしょうか?
教えてください。

針田
針田

私、針田がお答えします!

※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2020年10月5日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。

・男性と女性の育休取得の差はどのくらい?

針田
針田

まず出産に伴う休業制度は3つに分かれるのですが、産前休業(出産日以前42日間(多児の場合は98日間)と産後休業(出産翌日から56日間)は女性のみが取得できます。

男女問わず取得できるのが、育児休業(産後休業後~子どもが1歳になる誕生日の前日まで)です。

この育児休業を取得することについての男女差ですが、育休の取得率を見るとよくわかります。

厚労省の「雇用均等基本調査」によると、今から15年前の女性の育休取得率は約70%だったのですが昨年は83%ととても多いことが分かります。

反対に男性側ですが、15年前は0.56%とほぼゼロに近く、昨年時点でも7.48%と増えたことは増えたのですが、女性の10分の1にも満たない状況です。

いろんな理由があるのだと思いますが、職場環境のことや収入面のことが主な理由と考えられます。

本人が取得したくてもできない?

針田
針田

男性の育休取得が取りにくいことを示すのが三菱UFJリサーチ&コンサルティングの「平成29年度仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査」です。

従業員数51人以上の会社635社の回答を得た大きな調査です。

これによると、「男性社員の仕事と育児の両立支援を行う必要があるか?」の質問に対して、男性陣全体の約56%の方が「そう感じている」との回答でした。

特に企業規模が大きくなるにつれてその傾向は強くなり、従業員数300名を超える企業の男性社員からの回答では、約73%の方が男性への育児支援が必要と感じているそうです。

じゃあ職場の雰囲気はどうかとうことで、「職場で育休を取得しやすい雰囲気が有るか?」についての質問に対しては、女性は79%が取得しやすい雰囲気だと回答しましたが、男性はわずか25%と、やはり男性陣には難しい雰囲気があるようです。

その理由として、「職場の人手不足」「育休取得しづらい雰囲気」など、やはり職場環境を理由とするのが主なようです。

国や企業の対策は?

針田
針田

政府は、2020年の男性の育児休業取得率を13%にすることを目指しており、男性の育休取得促進に取り組む企業に対しては助成金を用意するなど、男性の育児休業取得率向上に向けて対策を講じてはいます。

また別の機会にご紹介しますが、特に会社側に、従業員への福利厚生を充実させるための制度も作っています。

ただそうはいっても、やはり実際の職場の雰囲気、特に上司の理解は絶対必要でしょうし、復帰明けの配属先のことなど、会社側の公平な人事評価等も求められますよね。

その会社側ですが、同調査によると「男性の育休取得率増加を目標に掲げている会社」は、わずか3.1%しかありません。

従業員規模ごとに見ると、300人を超える会社では約15%が男性の取得率増加を掲げていますが、300名未満の会社では2%切っています。

今回のニュースにもある通り、特に中小企業には大企業ほどの体力も人材もありませんから、当然の結果かもしれませんね。

育休中金銭的な補償はある

針田
針田

これには「育児休業給付金」という社会保障制度があります。

会社が負担するものではなく、雇用保険から支給される手当で、原則1歳未満の子供を持つ親が育休を取得する場合に支給されます。要件は主に3つです。

  1. 雇用保険に加入していて、育児休業する前の2年間のうち1ヶ月に11日以上働いた月が12ヶ月以上あること
  2. 育児休業中に勤務先から賃金の80%以上を支給されていないこと
  3. 休業している日数が対象期間中毎月20日以上あること(ただし、休業終了月は除く)

以上3つを満たせば、育休取得前の半年間の月給(賞与は含めません)を平均し、その67%と50%の手当金をそれぞれ半年ずつ合計1年間受け取れます。

ただし金額の制限はあり、前半6ヶ月(給与の67%期間)は304,314円、後半6ヶ月(給与の50%期間)は227,100円が上限額です。

男性も育休を取得するとなると、これまでのように賞与が無くなりますから、年収のうち賞与が占める割合が多い方だと、すこし苦しいかもしれませんね。

また雇用保険に加入していることが大前提ですので、残念ながら個人事業主や自営業者には支給されません。

育休は1年以上取得できない?

針田
針田

保育園に入園出来ない(会社に復帰できない)場合は、保育園に入れないことを証明する入園不承諾通知書等の証明書を提出して、半年間の育休延長をすることができます。

さらにその半年経過した時点でまだ入園出来ない場合は、もう半年間(トータルで2年間)取得できるようになっています。

もともとは1年が取得できる最長期間だったのですが、2017年10月以降からは法改正により2年取得できるようになりました。

とはいえ育休中はやはり収入は減りますし、復帰後のキャリアのことなど、まだまだ男性陣が躊躇してしまうのも良くわかります。

ある程度の法律の強制力は必要なのだとは思うのですが、中小企業にとって負担が重くなり過ぎてもいけません。

育休の取得に関するお金の問題について、詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。

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