離婚後の保険契約についてのご質問です。
我が家は子供1人の3人家族なのですが、離婚をすることになり、いま色々と整理をしている最中です。
住宅ローンは夫一人で借りていたので特に何もしなくて良さそうなのですが、生命保険などは名義変更が必要かと思います。
今までは夫に任せていたので、正直自分の契約状況もよくわかっていないのですが、なにか注意点やアドバイスがありましたら教えてください。
私、針田がお答えします!
※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2022年5月30日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。
生命保険については何をどう変えたら良い?
命保険契約の登場人物には、契約者・被保険者・受取人・指定代理請求人の4者いますが、それぞれを離婚後の状況に応じて変更します。
契約者について
まず契約者については、契約の継続・解約等の権利を持ちますので、その権利が相手に渡っては困る場合、例えば離婚後に勝手に解約されては困る契約の場合は契約者を変更しましょう。
また今回のご相談者に、お子様がいらっしゃる場合はもう少しご注意ください。
学資保険を契約していた場合、学資保険金の受取人=契約者としてある保険会社がほとんどです。
つまり、契約者=父(母)、被保険者=子供、受取人=父(母)という契約形態が多いです。
離婚後に親権を持たない側が契約者になっている場合、その人に学資保険金が支払われても困るでしょうから、契約者を親権者へ変更しておくのが望ましいと思います。
積立型の生命保険の場合、積立金の受取人(受益者)で離婚後のトラブルにならないようご注意ください。
被保険者について
被保険者=保障の対象者ですが、生命保険の場合は、契約途中で被保険者を変更することは原則できませんので、ここはそのままです。
ただ家族型の保険に加入している方はご注意ください、離婚をすることで被保険者から外れてしまうことがあります。
例えば、契約者=夫、被保険者=夫とその配偶者、受取人=被保険者となっている契約です。
夫の勤務先の団体保険や、昔のガン保険や医療保険などでよく見受けられます。
保障から外れてしまう妻は、必要に応じて新たに加入し直すことを考えないといけません。
受取人について
死亡保険金の受取人は、言わずもがな多くの場合、離婚後に変更すると思います。
仮に元夫や元妻のままにしておくと、生前と死後それぞれにデメリットがあります。
生前のデメリットは、契約者(保険料負担者)がその後の生命保険料控除を受けられなくなります。
生命保険に加入していると、毎年生命保険料控除という税金の控除を受けることができますが、受取人が他人(離婚をした相手)の場合は控除の対象外になってしまいます。
つまり、契約者の税負担が以前よりも増えることになります。
次に死後のデメリットですが、「死亡保険金は受取人固有の財産」という言葉にある通り保険会社は契約上指定された受取人にしか保険金を支払えませんので、離婚後に本来なら家族に支払われるべき死亡保険金が、他人(元夫や元妻)に支払われてしまいます。
でもお互いがそのことに同意していればいいのでは?と思うかもしれませんが、受け取る側が税金面で損をする可能性もあります。
受け取り側の損とは
第三者が死亡保険金の受取人になる場合は相続ではなく遺贈という扱いになるのですが、相続税が発生する場合、税額が2割加算になります。
また死亡保険金には「法定相続人1人につき死亡保険金500万円迄は非課税」という特例がありますが、遺贈ではこれが利用できませんので、課税対象になりやすくもあります。
よってもし夫婦の間に子供がいるなら、受取人を元夫や元妻にするのではなく、その子供(子供は離婚後も法定相続人)に変更をすることをお勧めします。
そうすれば契約者側としては生命保険料控除を引き続き受けることができますし、受取人の子供は相続税2割加算の対象にもなりません、死亡保険のうち法定相続人×500万円は非課税という対象にもなります。
とここまでは別れた夫婦間の問題ですので、本人達が良ければ良いとも言えますが、他人が絡む保険契約はより注意しないといけません。
損害保険の中で、相手への賠償を補償する保険料ですね。
相手への賠償を補償する保険
はい、損害保険にも色々ありますが、中でも身近な自動車保険に要注意です。
自動車保険の登場人物は主に3者(契約者・記名被保険者・車両所有者)ですが、この中で記名被保険者が誰になっているかをよくご確認いただき、必要であれば離婚前に変更をする必要があります。
離婚前というのがポイントで、同居の親族や別居の未婚の子などの関係性がないと記名被保険者は変更できませんので、ご注意ください。
記名被保険者が元夫や元妻のままの状態で車を運転し、万が一事故を起こしてしまうと補償の対象外になり最悪です。
夫婦のどちらが離婚後にその車を運転するのかを考え、離婚前に変更しておきましょう。
保険についてのご相談は小宇佐・針田FP事務所にお任せください。