孤独死の件数はどのくらい?原因や対策をFPが解説!

孤独死原因と対策 マネー情報

孤独死についてのご質問です。

最近は老後の生活についてのニュースが、例の2000万円問題をきっかけに、再沸騰しているように思います。
年金問題もあるのでしょうが、老後の日々の生活は何とか送れたとしても、孤独死というのは避けがたい気がします。
いま世の中にどのくらい孤独死が起きているのか、防ぐにはどんなことができるのか、教えてください。

針田
針田

私、針田がお答えします!

※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2019年7月1日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。

孤独死は今どのくらい起きている?

針田
針田

意外かもしれませんが、実はこれはっきりと分からないんです。

日本国内における人の生き死にの統計を管轄するのは厚生労働省ですが、例えば日本人の死亡者数については、年間おおよそ130万人が亡くなっているというデータはありますし、そのうちの死因が病気の場合は、その病気ごとの比率もデータとして存在しています。
例えばガンの占める比率は約30%、心疾患が約15%、脳血管疾患が約10%というようにです。

ただ孤独死については不明で、というのも国としては孤独死の定義が無いんです。

何をもって孤独死というのか、身寄りがなく一人暮らしをしている中でだれにも看取られることなく自宅で亡くなったら、一般的にはそれを孤独死といいますよね。

いっぽうで身寄りは無いものの、病院のベッドや老人ホームで亡くなったのなら、それを孤独死とは言わないのかなど。

ちなみに警視庁では、私たちがイメージする孤独死について、その死因を「変死」という扱いにしています。

この孤独死というワードは今から約10年くらい前に取り沙汰されるようになったのですが、そのときに東京都では東京都監察医務院というところが独自に調査した孤独死の実態についての調査発表をオープンにしています。

東京都監察医務院の調査結果

針田
針田

全部で16ページにわたるレポートなので、すべて目を通してもそれほど時間はかかりませんが、内容はやはりショックを受けますね。

監察医務院では孤独死について、「異常死のうち自宅で亡くなられた一人暮らしの人」というように定義づけしています。

ここでいう異常死というのは、自殺・事故死・死因不明(病死も含まれます)のことを指します。

いっぽうで、亡くなった時点で最初から病死と分かっている場合は自然死という扱いとなり、この異常死には分類されません。

この定義のもと、司法解剖のデータが残っている昭和62年までさかのぼり、それ以降に発生した東京23区内での孤独死のデータが提示されています。

まず発生件数ですが、昭和62年の孤独死件数は男性788人・女性335人でしたが、その後毎年増え続け、平成18年では男性2,362人・女性1,033人と約3倍です。

なぜ増えたの?

年齢ごとの発生件数をみると、例えば平成17年については、男性は45~49歳が100人をこえ、その後急激に上昇して60~64歳で404人とあり、その後は意外に減っていきます。

女性はその反対で、70歳前は100人を超えておらず、70歳以降から増え始め、80~84歳で204人と最も多くなっていました。

次に一人暮らしの1,000人あたり何人が孤独死をしているかを年齢ごとの発生率でみると、男性は女性と比べて圧倒的に発生率が高いことが分かります。

例えば65~70歳の年齢層については、一人暮らし男性は1,000人のうち9名が孤独死をしており、いっぽうで女性は2人です。

85歳以上はどうかというと、男性は1,000人のうち約10名、女性は5名です。

男性は50代という高齢者とはまだ呼ばないうちから、急激に増加傾向にあるというのが特徴的です。

つまり男性は50代以降、女性は70代以降が要注意ということですね。

とはいえ、もともと定義の無い孤独死については、調査方法により結果は変わりますので、実際にはもっと複雑なのだと思います。

残される側の負担は?

針田
針田

自宅でお亡くなりになるよりも、例えば借家で亡くなると、ご本人およびそのご家族はもちろんですが、大家さんの負担も大きいと思います。

特に男性は死後発見までの日数が約2週間と長く、女性の2倍以上です。

そうなるとまずはそのお部屋に特殊清掃が必要で、数十万円というそれなりの費用負担が発生します。

賃貸契約の際には、保証人を立てている場合が多いと思いますが、保証人とも連絡がつかないケースも考えられますので、その際は大家さんの負担となることになると思います。

部屋自体もその後は事故物件扱いになると、設定家賃の大幅な値下げも必要でしょうから、賃貸経営には死活問題でしょう。

一部の損害保険会社では、そのような事態が発生した場合の一定期間の家賃補償や、お部屋の清掃代などを保険でカバーする商品を扱っていますので、興味のある大家さんは一度ご自身で調べてみるとよいと思います。

事前対策が大切!

針田
針田

孤独死を起こさない備えと、起きた場合の備え双方必要でしょうね。

まずは周りの支えとして、ご家族がいるなら1~2週間に一度は連絡をするよう心掛ける、最近は少ないかもしれませんが地域の民生委員やボランティアに依頼をする、民間企業でも警備会社や宅配会社で見守りサービスを利用する、お住まいの地域により出来ることは異なると思いますので、お一人暮らしのご家族を持つ方については、いまできることは何があるかを調べてみるとよいと思います。

そしてご自身が孤独死をした場合の備えとしては、まず遺言書等で遺産分割で遺族がもめないようにしてあげる心配りも必要です。

先ほどお話ししたとおり、男性は50代から急激に増えるというデータもありますので、高齢者だけに限らず考えてみてください。

もしくはエンディングノートを利用してもいいと思います。あとは生前整理といって、ご自身の所持品を生前に整理しておくこともできるのではないでしょうか。

そのようなサービスを提供しているところもあるので、ご確認ください。

老後のお金の運用について、詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。

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