自営業の方からのご質問です。
新型コロナの影響を受け、自営業の我が家も先行きが不安です。
受けられる補助金や助成金は全て受けようと思いますが、それだけで乗り切れるかどうかは、何とも言えません。
そんな中で、保険会社から契約者貸付が無利子で受けられます、というお知らせが来ました。
自分の保険からお金が借りられる、といったもののようです。
すぐに使うことは無いと思いますが、いざというときのために詳しく知っておきたいです。
使うにあたってのメリット・デメリットを教えていただけると助かります。
私、小宇佐がお答えします!
※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2020年5月25日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。
保険の契約者貸付とは
契約者貸付とは、加入している生命保険商品の解約返戻金の一定割合、一般的には7割〜9割の範囲で貸付を受けることができる制度です。
解約返戻金がある代表的な商品は、終身保険、養老保険、学資保険、個人年金保険などで、掛け捨て型の医療保険やがん保険には、通常解約返戻金はありません。
利用できるのは契約者本人で、手続きをすれば即座に借りられるため、目の前の資金不足には大きな助けになります。
契約者貸付のメリットは?
メリットはたくさんあります。
まず、保険を解約しなくてもお金を借りられるということです。
良く「お金が必要だから保険を解約した」という話を聞きます。
解約すると、解約返戻金は全額もらえますが、本来カバーしたかったリスクが発生したときに保障を受けられなくなります。
問題なく必要なときに再度契約できれば良いですが、契約時の年齢や体況(健康状態)が関わってくるため、不利な条件になる、または契約できない可能性があります。
そう考えると、解約するよりは、貸付を受けたほうが良い場合が多いと思います。
また、一般のカードローンやキャッシングと比べてもメリットはあります。
貸付金の利用目的は問われませんし、保証人も不要、信用情報にも記録は残りません。
金利は、一般的には3〜6%程度。これは、保険会社や保険商品、どの時期に契約した保険か、などで変わってきます。
カードローンの金利などと比べると低いものが多いでしょう。
現在のコロナショックの状況下で、多くの保険会社が、この貸付金利を一定期間ゼロにしています。
おそらく、質問者の方のところに来た保険会社からのお知らせもこう言ったことに関連する内容だと思われます。
金利はゼロ?一定期間とは具体的にいつごろまで?
受付期間は、2020年5月31日までや、2020年6月1日までの会社がほとんどです。今週でほぼ終わりと考えたほうが良いですね。
金利ゼロが適用される期間は、民間の生保は2020年9月30日までというのが多いです。
共済系は、最長で1年と長いところが多いですね。
※2020年5月25日時点での情報を記載しています。
返せないとどうなる?
返済期限は金利ゼロの期間はありません。
例えば、毎月何日にいくらずつ返済、といったことはありません。
ただ、金利ゼロの期間を過ぎると、当然通常金利が適用され、利息が掛かってきます。
注意するのは、この利息が複利計算ということです。
と言っても1年複利の場合が多いので早めに返せばそこまで影響はありませんが、
何年も放っておくと膨れ上がっていきます。
また、その結果、貸付金元本と利息の総額が解約返戻金を超えてしまうと保険自体が失効してしまいます。
この失効を防ぐために、貸付限度額を解約返戻金の7〜9割に設定してあるとも言えます。
他にデメリットや注意点は?
貸付金が残っている状態で、満期が来たりや被保険者の死亡などで保険金が支払われることになると、貸付金の元本と利息分は、差し引いて支払われます。
学資保険から貸付を受けているような場合は、思っていた額が準備できない可能性があります。
また、「お宝保険」と呼ばれる、景気の良い時代に入った保険は、運用の利率も良いのですが、貸付金利もその分高くなるので注意が必要です。
最近の保険であれば、金利3%程度が一般的ですが、金利の良い時代の保険の貸付金利は、5〜8%くらいの幅になります。
昔から入っていて、たくさん貯まっているからと言って、確認しなかったり無計画に借りると、結構な利息を払うことになるので、ここも注意ですね。
今、このような状況の中で個人に限らず、困っている経営者の方も多いと思います。
この契約者貸付は、法人(会社)が契約者になっている保険でも多くの場合適用されます。
まずは、自社でどのような保険に入っているのか、貸付は受けられるものか、金利はどの程度かを確認していただき、必要であれば有効に活用されることを
オススメします。
保険の契約者貸付を含め、コロナ時のお金の運用のについて、詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。