介護の老後資金はどのくらい必要?FPが費用を具体的に

介護の 老後資金 マネー情報

介護のために老後資金についてのご質問です。

老後に介護が必要になった時のために、どのくらいお金を用意しておけば良いのかを知りたいです。
以前、老後2000万円問題というのが話題になりましたが、そのくらいあれば良いのでしょうか?
それとももっと必要なのでしょうか?
介護施設に入所すると、年金だけでは足らないという話も聞きます。
病気や怪我と違って、介護は治療をすれば治るというものでもないでしょうから、漠然とした不安があります。
目安などありましたら、教えてください。

針田
針田

私、針田がお答えします!

※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2022年5月9日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。

老後2000万円に介護のことは考慮されている?

2017年の総務省家計調査における高齢夫婦世帯の家計収支の結果から、毎月約5.5万円不足というデータがあったので、単純計算すると30年で2000万円不足するというお話です。

あくまで平均値ですし、物価上昇や公的年金・医療介護制度の縮小化など、計算の前提条件も今後変わっていくと思います。

介護も考慮されているとは言えませんので、実際にはもっと多くの資金があった方が良いという意見は多いです。

そのため、60代はすでに多くの方が、70代でも働いていらっしゃる方は増えていますよね。

針田
針田

ただ具体的にどのくらいの資金が必要なのかが、こと介護に関しては難しいですね。

介護といっても幅が広い

介護は幅が広く、期間も数年で終わることもあれば十年を超えることもあります。

例えば介護を3つの時期に分けて考えると、介護初期は、見守り・実家への帰省・通院の付き添い等なので費用負担自体はさほどかからないと思いますが、一方で介護をする家族とすると仕事を休むこともあるでしょうから、収入への影響は多少あると思います。

程度にもよりますが、在宅介護サービスの利用をする方もいらっしゃいます。

介護中期になると、頻繁に付き添いもしくは実家への帰省が増え、場合によっては親との同居を始める方も出てきます。

在宅介護サービスの利用に加え、自宅のリフォームや介護用のベッド導入など一時費用も発生します。

また介護をする家族も、仕事を休んだり減らす量が増えてしまい、最悪辞めざるを得なかったり、収入面へ大きな影響が出てくることも。

介護後期になると、いよいよ在宅での介護が難しくなり、施設への入所ということになります。

針田
針田

施設は様々ですが、いずれにしてもこれまでより多くの継続費用はかかります。

平均するとどのくらいの費用になる?

生命保険文化センターが行った、「過去3年間に介護経験がある方に、どのくらいの費用と期間がかかったか」という調査では、一時費用74万円+継続費用月額8.3万円×介護期間61.1ヶ月=単純計算をすると合計580万円、これが平均的な介護費用という結果になりました。

一方で大手保険会社の損保ジャパンの調査では、一時費用98万円+継続費用12.7万円×43ヶ月の合計787万円という結果が出ています。

200万円も差がありますが、調査結果の内訳をみるとよく分かるのですが、回答結果にものすごく幅があります。

針田
針田

介護の専門家の中には、一人1000万円という意見もありますし、金額を一律に表すのは難しいというのがよく分かります。

一番多くかかるのが介護施設費用

そうだと思います。

同居のご家族がいる場合、介護施設に入所する前に、まずは在宅介護から始める方は多いと思うのですが、在宅介護の費用負担については、家計経済研究所という所の調査によると、平均で月5万円ほど(介護サービス料1.6万円+その他雑費3.4万円)です。

一方で施設に入所となると、介護施設には、特別養護老人ホーム(特養)、有料老人ホーム、老人保健施設、介護医療型医療施設、ケアハウス、認知症高齢者グループホームなど様々な種類があり、利用者の方やそのご家族が、どのようなサービスが必要で、そしてどんな生活を望むのかによって利用施設が異なります。

中でも費用負担の少ない特養の利用希望者は多いですが、原則要介護3以上でないと入所できませんし、入所待ちが30万人と非常に多いので、なかなかすぐに入所というわけにはいきません。

そこまでの繋ぎとして、最初は有料老人ホームを利用し、その後に特別養護老人ホームに移るということが想定されますし、私の祖母もまさにそうでした。

針田
針田

やはり有料老人ホームの頃は、費用負担が大変だったと聞いております。

有料老人ホームと特養の差はどのくらいある?

特養については、初期費用が無料で、毎月の費用負担のみです。

介護費用1割負担者(所得によっては2か3割負担も)で要介護3の場合、お部屋のタイプにより異なるのですが、月々9〜13万円程です。

介護レベルが4や5に上がると、費用負担も少しずつ増えていきますが、15万円を超えることはあまりないと思います。

一方で有料老人ホームですが、これは本当にピンキリなので平均というものが参考にならないかもしれません。

というのも、一時金で数千万円なんていう豪華な施設が平均値を底上げしてしまうので、こういう時は中央値で見た方が良いと思います。

LIFUL介護というサイトで見ると、有料老人ホームの入居一時金の中央値は590万円、月額費用は23万円でした。

最近は入居一時金不要の施設も増えているそうですが、その分月額費用は23万円よりも高額になるケースも多いです。

針田
針田

特養に比べると、1.5〜2倍以上ですね。

年金収入では明らかに足りない?

公的年金の受給額の平均値ですが、自営業などで国民年金(基礎年金)のみの方は月額56000円程、会社員などで厚生年金の方は月額146,000円程です。

国民年金のみでは厳しいのは周知の通りですが、厚生年金でも有料老人ホームだと月10万円前後不足する計算になりますね。

この期間が何年続くのかにもよりますが、合計すると数百万円〜1000万円程という計算になります。

針田
針田

ご自身の蓄えで足らない場合は、家族のどなたかが負担をする、独り身であれば自宅を売却する、もしくは施設そのものをもっと料金の低い所を探すということになると思います。

どのように対策する?

介護に対してお金をたくさん準備できるならそれに越したことはないのですが、皆が皆そうもいかないと思います。

なので今ご高齢の方であれば、気は進まないかもしれませんが、ご家族との話し合いをして頂くのが良いと思います。

ご自身が介護を任せたい相手にその気持ちを伝え、できれば貯金の金額も伝えてあげてください。

その上でご自身がどんな施設へ入所したいかを、現実的な予算も考慮しながら話し合い、今お住まいの地域にある施設については各自治体のホームページで簡単にリストアップされています。

一方で70代以下シニアの方であれば、まだまだ貯蓄を増やすことができると思います。

可能なら定年後も仕事を続けてなるべく貯金に手をつけない、できれば貯金を増やしていく、場合によっては繰下げ受給も視野に入れて。

1ヶ月繰下げれば年金は0.7%アップ、65から70まで5年繰り下げれば42%アップ、厚生年金の平均月額146,000円が207,000円にまで増えます。

針田
針田

日本の総人口の1/3が65歳以上になる2030年問題は目前ですので、他人事ではない介護の問題について、考えていきたいですね。

介護を踏まえた、お金についてのご相談は小宇佐・針田FP事務所にお任せください。

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