医療費控除を受ける条件は?制度の概要や利用方法をFPが解説

医療費控除を受ける条件 マネー情報

医療費控除についてのご質問です。

今年は1年を通して病院に通うことが多かったです。まだ正確に計算はしていませんが、そこそこ医療費を支払ったような気がします。確か、医療費をたくさん支払った場合に医療費控除というものが受けられたと思うのですが、控除を受けられる条件などはあるのでしょうか?制度についていまいち理解できていないので教えて下さい。

伊藤
伊藤

私、伊藤がお答えします!

※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2021年12月27日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。

医療費控除は確定申告が必要

会社にお勤めの方ですと、所定の書類を会社に提出すると年末調整で生命保険料控除や2年目以降の住宅ローン控除などが受けられますが、医療費控除は年末調整では対応ができないため、確定申告が必要になります。

確定申告の時に何か必要な書類は?

確定申告の際には働き方によって異なりますが、確定申告書へ記載のために源泉徴収票や支払調書等が必要になります。

また、支払った医療費の領収書をもとに作成する「医療費控除の明細書」が必要になります。

伊藤
伊藤

なお、この明細書は医療保険者から送られてくる「医療費のお知らせ」があれば、明細の記入は省略できるようになっています。

医療費控除を受けるための条件は?

まず、医療費控除の対象となるのは、病院で支払った診療代や薬代などに支払った金額が1年で10万円を超えた時、または、その年の所得金額の5%のいずれか少ない金額を超えた場合です。

また、ご自身又はご自身と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費が対象になります。

伊藤
伊藤

ただし、民間の医療保険等で給付金を受け取った場合、その分は支払った金額から差し引いた上で判断します。

1年で10万円は意外とハードルが高い?

確かに1年で10万円というと控除が受けられる人というのはなかなか少ないかもしれません。

ただ、生計を一にしているご家族の分も対象になるため、複数人の金額を合計すれば意外と支払っていたりして、対象になる可能性も高まります。

必ず10万円を超えていなければ対象にならない?

実は、多くの人が10万円を超えなければと思っていると思いますが、その人の所得によっては10万円を超えていなくても対象になってきます。

先ほど、10万円を超えた時、または、所得金額の5%のいずれか少ない金額とお伝えしました。

所得金額が200万円以上の人は5%を掛けると10万円以上になりますので、支払った金額が10万円というのが要件となります。

ところが、所得金額が200万円未満の人は5%を掛けると10万円未満となるため、この場合は10万円以上の支払いがなくても医療費控除の対象となる可能性が出てきます。

伊藤
伊藤

例えば、所得金額が100万円の場合、その5%は5万円となりますので、5万円を超える支払いがあれば控除の対象になってきます。

医療費控除の対象になるものは?

さまざま対象になりますが、代表的なものを挙げてみたいと思います。

  • 医師または歯科医師による診療または治療の対価
  • 治療または療養に必要な医薬品の購入の対価
  • あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価
  • 助産師による分娩の介助の対価
  • 介護保険制度の下で提供された一定の施設、居宅サービスの自己負担額
  • 骨髄移植推進財団に支払う骨髄移植のあっせんに係る患者負担金
伊藤
伊藤

他にもありますが、こういったものが対象になります。

PCR検査も対象になる?

医師等の判断により受けた検査かどうかによって判断が分かれます。
単に心配だからといって予防的な措置としてご自身の判断で受けた場合は対象にはなりません。

ただし、PCR検査の結果、陽性判定となり、引き続き治療が必要になった場合には、治療に先立っての検査であったという位置付けとなり、医療費控除の対象となります。

ちなみに、歯の矯正については、医療上必要なものは対象になりますが、見た目をきれいにするようないわゆる審美歯科は対象外です。

伊藤
伊藤

その他、整形手術、インフルエンザの予防接種、健康診断の費用なども病気にかかって治療するものではないため対象外となります。

セルフメディケーション税制も利用可能

セルフメディケーション税制とは、人間ドックや健康診断など、健康の保持増進および疾病の予防へ一定の取り組みをしている人が、その年に特定一般用医薬品購入費を支払った場合に一定金額の所得控除が受けられるものです。

特定一般用医薬品等購入費とは、医師によって処方される医療用医薬品から、ドラッグストアで購入できるOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)の購入費です。

ちなみに、OTC医薬品とは、薬局等で処方箋なしで購入できる医薬品のことを指します。

購入した際の領収書にセルフメディケーション税制の対象であることが表示されています。

支払った金額から12,000円を差し引いた金額が控除の対象となり、控除の最高額で88,000円となっています。

先ほどの医療費控除と同様に、民間の医療保険等で給付金を受け取った場合はその分も差し引いた上で判断します。

伊藤
伊藤

通常の医療費控除で対象にならない場合でも、こちらで対象になる可能性がありますので、領収証等は大切に保管しておくと良いですね。

医療費控除についてのご相談は小宇佐・針田FP事務所にお任せください。

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