緩和型保険についてのご質問です。
うちの親が今は元気なのですが、何年か前に大きな病気をした経験があります。その病気は完治してはいるものの、歳を取ったこともあり健康に不安を感じるようになってきています。今保険に入っていないので入っておければ安心ですが、以前、加入しようと申し込んだら、過去の大きな病気の関係で加入でいないと言われました。やはり保険に入るのは難しいのでしょうか?教えて下さい。
私、伊藤がお答えします!
※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2020年8月31日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。
健康上に問題がある人は保険加入は難しい?
健康に問題がある場合、簡単ではありません。
保険に加入しようとする場合、告知というものがあります。これは、現時点および過去の健康状態、病気の罹患歴などを申告するものです。
保険会社ごとに質問内容は多少異なりますが、基本的には同じような内容になっています。
告知した内容を基に保険会社が査定をし、引き受けるかどうかの判断が下されます。
従って、健康上に何かしら問題がある人、つまり、保険会社からすると保険金を支払う可能性が高い人は告知の内容によっては加入できなかったり、保険料の割増や体の特定の部位について保障の対象外など、何かしらの条件が付いたりすることがあります。
過去に大きな病気をしたことがある人は難しい?
大きな病気の内容にもよりますね。
大きな病気というと、代表的なのものとしては例えばガンがあります。
ガンは悪性新生物とも呼ばれますが、日本人の死因の第1位です。
罹患すればしっかりとした治療が必要で、かつ、死に至る原因にもなっているので、保険会社としてはガンに罹患している、あるいは、したことがある人の保険を引き受けるにはリスクが高くなり、必然的に加入するのが難しい傾向にあるのは事実です。
こういう人でも加入できる保険はある?
実は、こういった健康上に問題を抱えた人でも加入できるように開発された商品が各保険会社から販売されています。
これは引受基準緩和型などと呼ばれるタイプの保険です
先ほどの告知の部分について、通常の商品に比べて少しハードルを下げた質問項目を保険会社が設定し、それに1つも該当しなければ加入できるといったようなタイプの保険です。
先ほどのガンに関してもこのようなタイプの保険が販売されています。
具体的な基準は?
例えば、ある保険会社のガン保険では、満20歳~85歳の方でガンの治療を受けた最後の日から5年以上経過している場合に申し込みが可能となっています。
これは、最後にガンの治療を受けてから、ガンの治療や投薬を一切受けていない状態が5年以上ある状態を指します。
保障の開始以後の診断確定であれば、過去に経験したガンが再発・転移した場合も保障されます。
また、入院や通院、放射線治療の保障だけでなく、特約を付加することで抗がん剤治療や先進医療も保障されるといった内容です。
また、別の保険会社のがん保険では、20歳~65歳の乳がんを経験した女性が対象になっています。
申し込みができるのは、具体的には「初めてかかったガンが乳ガンであること」「乳ガンの再発・移転や乳ガン以外のガンにかかっていないこと」「現在、ガンの所見がないこと」「かかった乳ガンのステージごとに、手術日からの経過期間が経過していること(例えばステージⅡの方の場合は手術からの経過期間が3年超であること)」など、いくつかの条件をすべて満たした人が加入できるものとなっています。
加入後は、乳ガンが再発・転移した場合だけでなく、他のガンにかかった場合も保障されます。
加入は可能だが、保険料に注意
そうですね。ただし、良い話には裏があるのが付きものです。
緩和型の保険は保険会社が査定項目のハードルを下げて加入しやすいようにしているため、裏を返せば、通常の告知では加入できない健康上に問題がある人も加入できる可能性が高いことを意味します。
当然、保険会社が負うリスクは通常の商品よりも高くなりますので、当然、保険料にも反映しています。
こういった緩和型の保険が出始めた頃は今よりも保障内容が薄かったり、保険料が高かったりしていましたので、その差は顕著に表れていました。
ここ数年でこういった保険の需要の高まり、各保険会社の競争等もあり、以前よりも通常の商品に保障内容や保険料も近付きつつあります。
ただ、まだまだ通常の商品と比較すると全体的に劣ることは否定できません。
他に注意することは?
緩和型の保険は先ほどのガン保険以外にも医療保険や死亡保険にもあります。ただ、ガン保険と同様に、通常の商品と比べると保障内容や保険料において劣ることは同じです。
また、保険に加入するという観点では緩和型という選択肢があることで、健康上に問題がある人でも選択肢があるということは嬉しいことです。
しかし、現在の日本における医療費については、高額療養費制度をはじめとした健康保険制度が充実しています。
民間の保険はこういった公的な保障がある上で足りない部分に掛けるのが合理的です。
何となく加入していれば安心だからというだけで加入するのではなく、本当に必要な保障なのかもしっかり吟味した上で良い選択をして頂きたいですね。
保険について、詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。