扶養の定義の変更についてのご質問です。
現在30代でパート勤務の私ですが、夫の扶養に入れるようにパート時間を調整しております。
もともと仕事をするのは好きなので、扶養を外れて働くという選択もあるのですが、今はまだ子供が小さくてそこまで長時間の勤務ができないという理由で仕事量を調整して扶養の範囲内に抑えています。
ですが今年から扶養の定義が変わると聞きました。
具体的にどういうことでしょうか、教えてください。
私、針田がお答えします!
※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2022年1月17日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。
扶養の定義はどう変わる?
2022年10月と2024年10月の合計2回、社会保険上の扶養の定義が変わります。
一言で扶養と言っても、そこには税金上の扶養と社会保険上の扶養の2つがあるのですが、今回の改正は社会保険上の扶養が対象です。
今回の改正点をご理解頂くためには、まずはこの社会保険上の扶養について簡単にご理解が必要かと思います。
社会険上の扶養とは
例えば今回のご相談者のように夫が会社員で妻がパート勤務の場合、「原則として」妻の1年間のパート収入が130万円を越えなければ、夫の社会保険上の扶養に入る、となっています。
逆にいうと130万円という収入の壁を少しでも超えると、年金保険料や健康保険料等の社会保険料が自己負担となりますので、お給料の手取りは大幅に減ります。
よく130万円を超えるなら150万円以上働かないと手取りで損をする、働き損をする、なんていうことを言いますがこれが理由です。
社会保険の壁は130万円でよい?
多くの方にとってはそのご理解で良いのですが、ある5つの要件を満たす方に限り、130万円ではなく106万円が社会保険上の壁になります。
つまり扶養を外れやすくなります。
この5つの要件とは、
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上
- 勤務期間が1年以上の見込み
- 学生ではない
- パート先の従業員数が501人以上
です。
この5つの条件の全てに当てはまる人は、130万円が壁ではなくて106万円が壁になる、というのが現在の制度内容です。
ちなみに、この5つの条件を満たしているけれども社会保険料は負担したくないから加入したくありません、ということはできないです、加入は義務です。
ただ従業員501人以上というとかなりの大企業ですから、日本の9割を占めると言われる中小企業でパートをする方にとっては、この106万円の壁は今まで存在しなかったわけです。
今回の改正での変更点は?
2022年10月の改正では、先ほどの5つの要件のうち、2つが変更となります。
1つ目は、「勤務期間が1年以上の見込み」というのが「2ヶ月以上の見込み」と短縮されますので、短期労働の方も該当しやすくなります。
そして2つ目、こちらの変更の影響が大きいのですが、「パート先の従業員が501人以上」という要件が、「101人以上」に変更されます。
従業員101人以上となると、これに該当するパート勤務の方はかなり増えるんじゃないでしょうか。
さらに2024年10月には2回目の改正が待っており、101人ではなくて51人になります。
これは、パートを雇う企業側も大変です。
社会保険料というのは労使折半ですので、社会保険に加入する従業員が増えるということは、会社が負担する社会保険料も今後増えることになるわけです。
こうなると、働く側の事情なのか、雇う側の事情なのかはわかりませんが、今年と再来年で働き方を見直さないといけなくなる人というのは、かなりの数が出てくると思います。
扶養内にこだわるか、壁を越えて稼ぐかの2択
扶養内であれば、税金や社会保険料の負担は全く無いかあってもごく僅か、さらに夫の会社から家族手当が支給される場合もあるので、メリットを感じる方も多いのかもしれません。
一方でその扶養の壁が低くなるので、それだったら思い切って社会保険料の負担以上に稼いじゃおうという方は、今後増えるでしょうね。
社会保険に加入すれば、厚生年金により自分の老後の年金は増えますし、病気や怪我等になったときの補償も手厚くなります。
今回の改正に該当しそうな方は、今後具体的にどのくらい稼ぐと良いのかなど、お困りであれば、小宇佐・針田FP事務所にぜひご相談ください。