医療費負担についてのご質問です。
同居の両親がともに今年70歳になるので医療費負担などがどうなるのか調べていたところ、ちょうどこの8月から負担が増える方向で変わったようです。ただ私の世帯の場合どのようになるのかがよく分かりません。
私と夫はともに40代で2人とも会社員、一人息子は社会人になって家を出ています。
妻側の私の両親と今どきの二世帯同居をしていて現時点では家計は別です。
どのようになったのか、教えてください。お願いします
私、小宇佐がお答えします!
※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2017年9月11日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。
2017年8月から何が変わった?
変わったのは70歳以上の高額療養費制度です。
高額療養費制度は病院や薬局の窓口で1か月に支払った医療費が一定額(上限額)を超えた場合、超えた分(超過分)の還付を受けられる制度で、その上限額が8月の診療分から70歳以上の人を対象に引き上げられました。
70歳以上の方の医療費負担が増えることになりますが、来年8月には上限額が一部ですが更に上がります。
国の医療費負担が増えているのが原因?
国全体の医療費は2016年度に14年ぶりにわずかに減少しました。
しかし高齢者、特に75歳以降の後期高齢者を中心に医療は増加が続きますし、2017年度以降も全体の医療費はまた増えていくと予測されています。
こういった状況の中で現役世代を中心とする70歳未満の方の高額療養費見直しは2015年(平成27年)1月に改定されました。
今回は70歳以上の方、特に約1400万人いる中高所得者の方が見直しの対象となっています。
中高所得とはどのくらいのこと?
70歳以上の方の負担上限額がこの(今年の)8月からどのように変わったを見ていきます。
収入の区分としては大きく3つに分かれ、住民税の非課税世帯、年収目安156万~370万円の一般所得世帯、年収目安370万~の現役並み所得世帯となります。
「年収目安」としているのは実際は住民税の課税状況で区分されている為。住民税は市町村等で若干違いがあります。
来年の改定では年収目安370万~の現役並み所得世帯が更に3つに区分されて370万~770万の所得世帯、770万~1160万の所得世帯、1160万~の所得世帯となり、当然所得が高いほど負担が増えることになります。
今年も来年も住民税非課税世帯は引き上げは無いので、収入のある方には収入に応じて自己負担分を増やしてもらい、収入の低い方に配慮しているカタチになっています。
どのくらい上がった?
上限額は2つの場合に区分けされています。ひとつは外来分でこちらは各個人で適用されます。
もうひとつは外来+入院でこちらは条件によっては世帯ごとに合算できます。
条件とは「同じ医療保険制度に加入していること」です。
所得区分が一般(156万~370万)の人の場合、外来分の自己負担の上限額は従来月当たり12,000円だったのが今年8月から14,000円となり、来年さらに18,000円に上がります。
ただし従来は無かった年間の上限額が今年も来年以降も年間144,000円と新しく設けられました。慢性的な病気などでずっと通院するような方であれば1年間で見た上限額は従来(今年7月まで)と変わらない計算になります。
また外来+入院(世帯ごと)の自己負担限度額は、従来の月額44,000円から57,600円に引き上げられました。年4回以上上限に達した方は(多数回該当)、4回目以降の上限額が44,000円とされています。この金額は来年以降も同じとなります。
更に厳しくなるのが現役並み所得に区分される方で、外来の上限額は従来の月額44,000円から今年8月は57,600円となり、来年からは外来上限額廃止となります。
外来+入院の自己負担は、今年8月からは従来通りと変わりません。
年間3回(3か月)までは80,100円+(医療費ー267,000円)×1%となります。
計算式だと分かりにくいですが医療費が100万円掛かったとしても9万円いかない(87,430円)計算です。4回目以降は月額44,000円。
ただ来年8月からは収入が770万以上の世帯で大きく上がり70歳未満の現役世帯と同じ計算式になります。
世帯の収入が大きくなるほど負担が増えていくということですね。
何か対策は?
先ほど外来+入院の分は同じ医療保険制度に加入していれば世帯で合算されるとお話ししました。
質問者の方のように同居されていてどこかの健康保険組合に加入している状況であれば、ご両親を自分の扶養家族にすることで健康保険料の削減にもなりますし、いざと言うときは世帯合算でき負担を減らすことができるかもしれません。
ただ気を付けないといけないのは、75歳以上の方が加入するのは後期高齢者医療制度になりますので、そうなると国民健康保険などとも合算できなくなります。
夫婦ともに75歳以上なら合算できます。
他に気を付けることは?
今日お話ししてきた「上限額」というのは、基本的に健康保険が効く部分についてです。
実際に入院や治療をすると、差額ベッド代(個室代)や食事費用、テレビや冷蔵庫の使用料など健康保険対象外の費用も多く発生します。
そういった費用はお話ししてきた上限額に更に上乗せして支払う必要があるということも意識しておいた方が良いですね。
医療費負担について、詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。