奨学金の返済にお困りの方からのご質問です。
私は大学に通うために奨学金を利用して、今まさに返済中といったところですが、コロナの影響で収入が減っていることもあり、生活自体が結構厳しい状況です。そんな中で奨学金の返済もかなりの負担になっています。返済しなければいけないことはわかっていますが、何か救済策などあったりしないでしょうか?教えてください。
私、伊藤がお答えします!
※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2021年2月8日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。
奨学金は負担になりやすい
奨学金という言葉を聞くと勉学のために援助をしてくれる優しい制度というイメージがありそうですが、実体はいずれ返済しなければならない借金です。
いくつか種類はありますが、多くの人が利用しているのは利息が付くタイプのものですので、利用した金額以上に返済しなければならない点は一般的な借入と変わりありません。
返済できなくなる人もいる?
収入が減って返済できないという人もいれば、卒業後に就職先が見つからず、そもそもの返済財源を確保することができないというケースもあります。
中には支払いが滞ってしまいどうしようもなくなり、自己破産をしてしまうというケースも珍しくなくなってきています。
救済措置はある?
日本学生支援機構の奨学金には大きく分けて2つの救済制度があります。
減額返還制度
1つ目は、減額返還制度です。
これは、月々の返済額を1/2または1/3に減らすことができるものです。
ただ、これは月々の返済額が減っても、返済すべき金額はかわらないため、返済期間が延びるということになります。
最長で15年まで減額してもらえますが、1年ごとに手続きが必要になります。
なお、この制度は誰でも利用できるわけではなく、所定の審査に通ることが必要となります。
失業。経済的な困難、病気、災害といった理由が必要で、経済的な事情の場合は給与所得者の場合は年収が325万円以下、給与所得者以外の場合は所得が225万円以下という基準があります。
返済期限猶予制度
返済期限猶予制度は返済を一時的に止めることができるものです。
先ほどの減額とは違い、一時的ではありますが、返済をゼロにすることができます。
最長で10年返済を先送りすることができますが、1年ごとに手続きが必要になります。
ただ、こちらも返済すべき金額は変わりません。こちらも先ほどと同様に所定の審査に通ることが必要です。
対象となる理由は先ほどと同じですが、給与所得者は年収が300万円以下、 給与所得者以外の場合は所得が200万円以下という基準があります。
かなり生活が苦しく、減額しても返済できない場合に利用を検討する価値はありますが、いずれは同額の返済が再開することはしっかり認識しておく必要があります。
延滞するとどうなる?
奨学金を返済中に一番やってはいけないのは延滞です。
きついからといって返済を放置しておくと次のような事態が待っています。
- 減額返還制度の審査が受けられなくなる
- 延滞金が発生する
- 本人、連帯保証人、保証人に対して文書と電話で督促がいく
- 個人信用情報機関に延滞の情報が登録される
特に個人信用情報機関に延滞者として登録されますと、社会的な経済的信用を失うため、クレジットカードの発行ができなくなったり、各種ローンが利用できなくなるという事態が待ち受けます。
将来のことも考えると延滞だけは絶対に避けたいところです。
将来の返済を念頭におこう
奨学金を利用しないと進学して勉強することができないという人も多いと思います。
誰もが苦労したくて奨学金を利用するわけではないとは思いますが、利用する本人は社会経験が乏しく、奨学金が借金であるという認識も正直あまりないと思います。
もしこれから奨学金を利用しようと考えている家庭においては、将来の返済のこともしっかりと念頭に置いて利用をして頂きたいと思います。
奨学金を含めた借金の返済方法について、詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。