30代半ばの共働き女性の方からのご質問です。
昨年結婚した後、私が独身時代に購入したマンションで結婚生活を送っています。ただ子どもが産まれた後のことを考えると手狭になるので一戸建てかもう少し広めのマンションへの買い替えを考えています。今は住宅購入や買い換えなどは税金面などで結構優遇されると聞いています。具体的にどんな内容の優遇があるのか教えてください。
私、小宇佐がお答えします!
※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2018年5月7日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。
2018年の税制でどう変わる?
住宅購入や買い換えは金額が大きいだけにいろいろな税金(税制)が損得に大きく影響してきます。
2018年度の税制改正で固定資産税、不動産取得税、登録免許税の軽減という変更がありました。
不動産は購入する際に不動産取得税・登録免許税がかかり、所有していると毎年固定資産税がかかってきます。
もともと固定資産税は新築住宅の場合、一戸建てでは3年間、マンションは5年間、2分の1になる特例が2018年の3月末までありましたが、この適用期限が2020年3月末まで2年間延長されました。
長期優良住宅に適用される不動産取得税、登録免許税、固定資産税の軽減も2年延長されています。
例えば長期優良住宅の固定資産税の軽減期間は一戸建てで5年、マンションで7年とそれぞれ2年プラスとなっています。
この軽減は建物部分のみの適用ですが、建物は購入直後は評価額が高いので軽減効果もかなり大きいと言えます。
マンションを売って買い替える場合の税の優遇は?
既存住宅(中古住宅)を売る場合は、購入額よりも売却額の方が低くなるケースって多いですよね。
国土交通省のデータによると、住宅を売却した場合の約68%で売却損が発生し、そのうち4割は売却損の額が1000万円を超えていると出ています。
このような状況だと買い替えが進みにくいため、売却損を翌年以降3年間に渡って繰越控除できるという買い替え特例があります。
買い替え特例の内容は?
例えば給与所得(事業所得)が300万円でマンションの売却損が700万円だった場合、売った年は所得300万円から損失のうち300万円分控除となり(課税)所得はゼロ、そうすると所得税と翌年の住民税もゼロとなります。
更に最長であと3年間繰越控除できるので翌年も損失分から300万円控除、その翌年は残りの100万円が控除されます。
売却損を補うほどにはなりませんが、所得が多く税率が高い人ほど効果は大きくなります。
ちなみに売却で利益が出た場合は、新たに購入した住宅の価格が売却額を上回る場合にはその利益部分には課税されません。この期限も2020年3月末まで延長されました。
ですので、この質問者の方のように今住んでいるマンションを売って買い替える場合、売却益、売却損、どちらの場合でも税優遇は受けられることになります。
他の優遇
もし父母や祖父母から住宅購入資金の援助を受ける場合には、贈与税の非課税枠が利用できます。
現在は一定の断熱性や耐震性などを備えた省エネ住宅等で1200万円まで、一般住宅で700万円までが限度です。
これがもし消費税が10%に引き上げられる場合、2019年4月から省エネ住宅等で3000万円、一般住宅で2500万円までと大幅に増加します。
税制を活用して、うまくコントロールしよう
このように新築・中古に関わらず住宅は売買を促すような方向に、また上の世代から下の世代へお金を渡しやすいように税制も対応してきています。
しっかり理解して活用することでトータルの支出をうまく抑えてください。
不動産の運用について、詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。