寡婦控除とは?内容・要件・手続きの手順をFPが解説します

寡婦控除とは?内容・要件・手続きの手順をFPが解説します マネー情報

離婚した女性の方からのご質問です。

私は離婚歴のあるシングル女性です。
先日、友人から未婚のシングルには、税金の優遇があると教えてもらいました。
寡婦(かふ)控除という制度らしいのですが、聞いたことがない言葉です。
3年前に離婚したのですが、本来ならその時から受けられていたのでしょうか?
それだったらもったいないことをしたと思います。
制度について教えてください。

針田
針田

私、針田がお答えします!

※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2020年4月20日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。

寡婦とは

針田
針田

寡婦というのは、寡(やもめ)という字にご婦人の婦もしくは夫と書きますが、女性の場合は、夫と離婚または死別してその後再婚していないシングルのことを言います。

別の言い方としては、未亡人や女寡(おんなやもめ)ということもありますね。

この寡婦に対して、国は税金や年金において優遇をする制度を用意しています。「寡婦控除」や「寡婦年金」というものがありますが、今回該当するのは「寡婦控除」ですね。

寡婦控除とは?

針田
針田

「寡婦控除」「特別の寡婦控除」の2種類があるのですが、いずれも所得税と住民税の負担を減らす所得控除という仕組みです。

まず寡婦控除について、これは所得税を計算する時に収入から27万円、住民税は26万円控除できます。

特別の寡婦控除については、所得税は収入から35万円、住民税は30万円を控除、先程より多くできます。

ご存知の通り、税金の計算はまず額面の収入から社会保険料など様々な控除をすることで、残った金額(課税所得)に税率をかけて納税額を計算しますから、

控除が増えるということは、税金の負担が減るということになります。ただし、これには一定の基準を満たす必要があります。

寡婦控除の対象となる基準

針田
針田

まず「寡婦控除」の要件ですが、2つの要件があり、このうちどちらかを満たしていればOKです。

①「シングル且つ扶養親族がいること」

夫と離婚もしくは死別した独身女性、もしくは夫の生存が明らかではない方で、扶養親族がいる人です。

つまり婚姻歴が無い方は対象とならないのですが、実は本年度の税制改正で、今年から未婚のシングルの方も対象となりました。

次に、扶養親族というのは、子供はもちろんですが、同一生計で合計所得38万円以下のご家族ですので、必ずしも子である必要はなく親でもOKです。
そして所得制限、多くの場合、税金の優遇制度には必ずと言っていいほど所得制限が設けられているのですが、この寡婦控除にはこれまで所得制限がありませんでした。

年収が高い女性も低い女性も同じ控除を受けられました。
しかし、本年度の税制改正で、所得500万円以下という制限が追加されました。

年収に換算すると約688万円ですが、これよりも稼ぐ女性は今年から対象外になります。

②シングル且つ所得制限

針田
針田

ここでいうシングルは先程あった「離婚」が含まれないので、夫と死別もしくは夫の生死不明を原因としたシングルであることが要件です。

こうなると対象者は減ると思いますが、いっぽうでこちらの要件では、扶養親族がいなくてもOKです。

つまり死別等を原因としたシングル女性で、子供はいない、親の扶養もしていない場合でも、寡婦控除の対象となります。

ただしこちらは本年度の税制改正よりも以前から所得制限があり、所得500万円以下が対象です。

最後に「特別の寡婦控除」、こちらは先程の「寡婦控除」よりも控除額が多いぶん要件は厳しいです。

シングル(離婚も対象)且つ扶養親族(子に限る、親は駄目)且つ合計所得500万円以下です。

ちなみに子供の年齢制限はないので、例えば子供が大人になっても働けない方で扶養しているなら対象になります。

男性は対象にならない?

針田
針田

あります、ただし控除額は所得税27万円、住民税26万円のみで、女性には合った「特別の控除(所得税35万、住民税30万円)」はありませんでした。

しかしこれでは不平等だということで、今年の税制改正男性は一律所得税35万、住民税30万円とこれまでよりも良くなりました。

その代わり、適用要件は女性版の「特別の寡婦控除(厳しい方)」と同じなので、やはり女性よりも不利というのは変わらないですね。

寡婦控除の手続きのやり方

針田
針田

会社員なら年末調整、自営業なら確定申告ですね。

特別に書類を添付する必要もありませんし、忘れていた方でも5年遡れます。いずれも申告制ですので、知らずして手続きをしていないと、もったいないことになります。

特に今年からは未婚のシングルも対象となりましたので、思い当たる方は、一度勤務先もしくは税務署にご確認ください。

寡婦控除について、詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。

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