遺贈寄付とは?やり方や注意点をFPが解説!

遺贈寄付とは マネー情報

遺贈寄付についてのご質問です。

現在独り身の50代会社員です。
自分がこのまま生涯独身だとして、将来私が亡くなったときの財産をどうするべきか最近考えています。
今はまだ両親は健在ですが、順番から言うと私より先に亡くなるでしょうし、私は一人っ子なので、私の財産を渡す相手がいません。
そういう時は財産は国のものになると聞きましたが、それで私が困ることは無いのですが、何かもう少し工夫ができないかと思い相談しました。
どこかに寄付をするというのも聞いたことがあるので、具体的に教えてください。

針田
針田

私、針田がお答えします!

※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2021年6月28日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。

自分の財産を死後に寄付をする、そんな方法は有る?

これは「遺贈寄付」といって、人がお亡くなりになったときに、その方の財産を特定の非営利団体に寄付する方法があります。

もともと「遺贈」という言葉がありますが、これは遺言によって自身の財産の全部もしくは一部を、自身が指定した相手に譲与するという方法があります。

そこに「寄付」という言葉が加わる遺贈寄付には、相続財産を非営利団体へ譲与することにより、自分の財産を社会貢献に使ってもらえるという利点があります。

おひとり様が増えている昨今では関心を持っている方も多いそうで、日本財団が行った2018年の調査で、金融資産が2000万円以上の40~70代男女へ遺贈寄付に関心があるかの回答を求めたところ、約50%の方が遺贈寄付に関心を持っており、さらにそのうち半数の方が具体的に検討したいと答えたそうです。

針田
針田

最近では、和歌山の資産家事件でも話題になりましたね。

紀州のドンファン事件

お亡くなりになった野崎氏の長女の友人を名乗る女性から、 「すべての財産を田辺市に寄付する」という遺言書が裁判所に提出されたのが話題になりましたね。

結局はそれに対してご遺族(野崎氏のご兄弟)が無効を求める裁判を行い、筆跡鑑定により偽物であるとなったそうですが、元妻は逮捕されましたし今後が気になります。

針田
針田

この事件により「遺言書による遺贈寄付」というのが注目されるきっかけになりましたね。

遺贈寄付のやり方

針田
針田

方法としては、生前に遺言書を書いておくというのが、一番分かりやすいと思います。

ただ遺言書にも自筆・公正・秘密の3種類ありますので、そのうち特に自筆証書遺言だと有効性が認められない可能性もあるので、注意は必要です。

ちなみに他にも生前に行う方法として、「生命保険による寄付」という方法があります。

自分の死亡保険金の受取人を、非営利団体にしてしておくことで、死後にそれが実現されます。

ただし保険会社によっては、死亡保険金の受取人を第三者にすることができない可能性もありますので、契約時に確認が必要ですが。

他にも「信託」と「死因贈与契約」がありますが、生前に特定の相手に信託もしくは贈与契約を結ぶことをいいます。

あとは、死後に遺族が寄付を行うこともあります。

自分が相続した財産を、亡くなった方の生前のお気持ちに沿って、寄付をするという行為ですね。

相続税はかかる?

相続税は、相続または遺贈により財産を取得した個人に対して課せられる税金ですので、受取人が法人の場合には相続税は非課税で、その代わりに法人税が発生します。

あと少し話はそれますが、同族会社(株式の大半を親族間で保有している法人)への遺贈の場合には、遺贈により会社の株価が上がることで、その上昇分に対して他の株主個人に対して相続税が発生することはあります。

次に、寄付を受けたのが個人や法人格を有しない団体などの場合には、相続税の加算対象になります。

ただしその団体が、非営利団体などの特定の公的な活動を行っている場合には非課税が認められることがあります。

いっぽうで、死後に遺族が寄付を行う場合は、遺族がいったん財産を受け取ることになりますので、相続税の加算対象になります。

針田
針田

ただし、相続税の申告期限内(お亡くなりになったことを知った日から10ヶ月以内)に、国・地方公共団体・特定の公益法人に寄付をした場合は、その分は相続税の加算対象から除外されます。

遺贈寄付の注意点

針田
針田

おひとり様の場合には良いかもしれませんが、もしご家族がいる場合には、ご家族の意思もございますので、配慮が必要だと思います。

すべての財産を寄付するとなると、法定相続人にとっては自分の遺留分を侵害されることになりますので、その方々への配慮は必要かと。

また、遺贈寄付の遺言書が死後に発見されると、遺族は驚くと思います。

出来るなら生前に、ご自分の気持ちを家族へ伝えておくちおうのも、円滑で不満のない相続にするためには必要なことと思います。

また寄付を受ける相手側にとっても、現金なら受け取って困ることはないと思うのですが、不動産の場合は困ることがあります。

不動産は受け取る側の負担になる可能性がある

不動産の遺贈には、名義変更のための登録免許税、不動産取得税などのコストがかかります。

更に遺贈をした時の不動産の時価額が、取得時の価格より上回っていると譲渡所得税が発生します。

特定の非営利団体への寄付(遺贈寄付)ということであれば、この譲渡所得税は非課税になるのですが、そのための手続きをしないといけません。

原則、寄付を受けてから4ヶ月以内というそこそこ短い期間内にです。

よって不動産の遺贈は受け取る側にも負担になることがあるので、寄付自体を受け入れていない団体もあるそうです。

よって不動産の遺贈寄付を考えている方は、生前にしっかりと調べておく必要があると思います。

直接その団体に問い合わせるのもよいですし、一般社団法人全国レガシーギフト協会という団体が開設している「遺贈寄付の窓口」というのもあります。

針田
針田

おひとり様の場合には特に、専門家へ事前相談をするのが良いかもしれませんね。

遺贈寄付についてのご相談は小宇佐・針田FP事務所にお任せください。

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