デジタル遺産の相続についてのご質問です。
キャッシュレス化が進んでいる中、70代の母もスマホを持ちキャッシュレス決済を使ったり、いろいろなポイントを貯めたりと、私よりも使いこなしているんじゃないかと思うくらい有効活用しています。
そんな中、ニュースで「デジタル遺産」という言葉を聞きました。
母はまだまだ元気なので、すぐにどうこうと言うことはないと思うのですが、結構大きな買い物などもキャッシュレス決済を使用しているので正直気になります。
チャージしたお金やポイントなどは、相続財産になるのでしょうか?
知っておきたいので是非教えてください。
私、小宇佐がお答えします!
※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2019年12月23日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。
キャッシュレス化はどのくらい進んでいる?
経済産業省の分析によると、最新のデータである2016年の日本のキャッシュレス決済比率は19.8%。韓国96.4%、中国60.0%(2015年)、アメリカ46.0%などと比べて、導入の遅れが際立ちます。
電子マネー等での決済だけでなくクレジットカードでの支払いも含んでますので、かなり低い水準です。
(日本)政府は2020年代半ばまでには、この比率を4割まで持っていく目標を掲げています。
消費税増税後はポイント還元策なども実施されて他国より遅れているとは言え、着実に比率は上がっているようです。
デジタル遺産で相続できるものは?
カードやスマホアプリ等に現金をチャージする類いのものは、それを相続人が引き継げるのであれば相続財産となります。
引き継げるかどうかはそれぞれの規約等を確認する必要があります。
特に個人のアカウントと紐付けされているものは、そのまま引き継ぐことはできず、遺族が申請すれば返金するというカタチになるようです。(死亡証明書、戸籍証明書等が必要)
相続財産としての評価額は、ポイントが貯まっていてそのまま支払いに使える場合はポイントまで含まれます。例えば10,000円チャージしてポイントを含めて10,100円の支払いに充てられる場合は10,100円の評価額になります。
クレジットカードや家電量販店などのポイントは失効する
基本的にポイントは会員個人に帰属していて、死亡と同時に失効となり相続できません。これも規約によりますので確認は必要です。
ただ、マイレージポイントは相続できる場合が多いようです。
会員が亡くなられた後、6ヶ月以内に航空会社に届け出るなどの手続きをしなければならないなどと決まっていますので注意が必要です。
相続できた場合は、その経済価値が評価額となります。
仮想通貨は相続財産として扱われる
仮想通貨は、相続財産となります。仮想通貨の評価額は利用している取引所が公表する取引価格になります。
購入価格と売却価格が公表されている場合には売却価格となります。
利用している取引所が複数ある場合は最も安い価格を採用できます。
親が仮想通貨を所有しているか調べる方法は?
電子マネーやポイントも分かりにくいですが、それらはまだスマホアプリやポイントカードがあれば存在は確認できます。
仮想通貨の場合は、郵便等での通知もなかったりする場合もあるため、生前に聞いていない限りは調べるのは非常に困難です。
利用していた取引所を見つけて問い合わせする必要があります。
デジタル遺産は資産の確認が難しい
スマホやパソコンなどを確認できれば良いですが、そもそもスマホ、パソコン自体にもパスワードなどでロックされていますよね。
ロックを解除できたとしても、そこからの確認が大変です。
財産関連だと、各種アプリやネット銀行、ネット証券などのID、パスワード。
最近だと保険もネット上のWEB証券だけの取り扱いなどもあります。
仮想通貨(暗号通貨)のウォレットとパスワード(ヒント)も当然確認が必要です。
経済的な財産でないものだと、使っている有料サービスや有料アプリ、特に毎月や毎年定期的に支払うものなども注意が必要です。
非常にプライベートな情報になってきますので、これらを生前にどう管理して、万一自分がなくなった場合にどう家族に知らせるか。
パスワードなどは、定期的に変更しなければならないものも多いので遺言書等に書いておくわけにも行きません。
今の時点では有効な答えのない課題ですが、まずはご自身で所有しているデジタル資産や受けているサービスを把握しておくことが重要だと思います。
デジタル資産の相続について、詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。