子どもにお金を渡すときの贈与税についてご質問です。
来春から息子が関東の大学に入学し一人暮らしを始めます。学費やアパートの家賃・最低限の生活費などを援助しようと思っていますが、一度にたくさんの金額を渡すと贈与税がかかるのではと心配になりました。どのような場合に贈与税がかかるのか、金額のメドなどもありましたら教えてください。
私、小宇佐がお答えします!
※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2018年2月26日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。
夫婦間や親子間でも贈与税がかかるのはどの場合?
贈与税は個人から個人へのお金のやり取りが年間110万円を超えると超えた部分にかかってきます。
しかし、扶養義務のある人が提供する生活費と教育費において「通常必要とみなされるもの」は非課税となります。
一緒に生活している親族間において、夫から妻に生活費を渡す、親から子どもにお小遣いをあげる、と言ったことは通常の生活の範囲内であれば全く問題ありません。
ただ扶養関係にあっても「生活に必要な範囲」を超えるあまりにも高い金額を手渡した場合には生活費やお小遣いについても課税対象と判断されることもあります。
「生活に必要な範囲」を超えるケースは
例えば親や祖父母が高額の時計や車を買い与える際に、購入資金を現金で渡すと言ったときは、「通常の範囲を超えた」とみなされる場合があります。
また生活費や教育費でも将来の分までまとめて一括で受け渡しして、そのお金を銀行に預けるようなことがあれば、これも贈与税の対象となることがあります。
それは、一度貯金することができ、他のことにも使える可能性ができてしまうためで、株式や不動産の購入代金に当てたりした場合は通常必要と認められる範囲外となってしまいます。
一括で受け取らない場合でも貯金に回したり運用したりすることは通常必要な資金と認められないので注意が必要です。
質問者の方のように親元を離れたお子さんにお金を渡す場合には、お子さん名義の口座をお子さんが管理するようになるので特にさしあたって不要な多額のお金を送金しない方が良いですね。
非課税枠はどんな場合に使う?
生計(家計)を別にしている場合、例えば離れて暮らしている祖父母などから年間110万円を超える教育資金や結婚・子育て資金を援助する場合は期間限定ですが贈与税の非課税措置枠が設けられています。
教育資金は2019年の3月末まで、結婚子育て資金は(2019年の)6月末までで専用の口座を開設して受け取る必要があるなど手続きは必要ですが非課税となります。
一括で大きな金額を渡す場合は、扶養や家族関係があっても注意が必要です。
贈与税はどのくらいかかる?
平成27年に贈与税の税率が改正されて一般税率と特例税率に分かれました。特例税率の方が贈与税は低く済みますが、この(特例)税率は直系尊属と言って祖父母や父母からその年の1月1日において20歳以上のものへの贈与の時にしか使えません。
夫婦間の贈与、妻の親からの贈与、子どもが未成年の場合の贈与は一般税率となるので注意が必要です。
例えば300万円を渡した場合、非課税枠の110万円を引いたあとのお金にかかる税額は、一般税率でも特例税率でも19万円と変わりません。
500万円を渡した場合は一般税率で53万円、特例税率で48.5万となり、1000万円の場合は一般税率231万円、特例税率177万円とだいぶ違いが出てきます。
直系の親族は優遇されているとはいえ、これぐらいの税金はかかってくるということになります。
きちんとした手順で贈与することが大切
税金のかからない渡し方を知っているかどうか、非課税措置があることを知っているかどうかで大きく変わってきます。
教育費や生活費というきちんとした目的があるのであれば、尚更少しでも多く渡したいですよね。
教育費や生活費に関してお悩みございましたら、詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。