相続で起こるトラブルの内容は?自宅相続の注意点をFPが解説

相続トラブル マネー情報

自宅相続や相続についてのご質問です。

相続について、税金のことや法律のことはよく分からないのですが、トラブルがあると聞きます。
我が家は大丈夫かと私は気になるのですが、夫はあまり気にしていません。
私たち夫婦には子供がいませんが、両親は健在です。
もし夫が亡くなったら残される自分の生活のこともありますし、また両親が先になくなったら、実家の相続のことも気になります。
税金を納める人は少ないと聞いたこともありますが、我が家は大丈夫なのでしょうか?
教えてください。

針田
針田

私、針田がお答えします!

※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2019年4月15日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。

相続税を支払う人は少ない

針田
針田

そうですね、相続税の納税者はいま10人に一人くらいです。

以前は納税者は約4%と言われていましたが、2015年の法改正後は、2倍の約8%と言われています。

こう見ると、納税者自体は、そんなに多くはないといえますが、とはいえ以前は相続税は一部の資産家のみという状況から、一般の方々へも少しずつ広まっているとも言えます。

少子高齢化が今後加速する中では、もっと広まる可能性はあると思います。

また、納税はしなくとも、遺産分割でトラブルになることはあり、家庭裁判所に持ち込まれる事案は増加傾向にあります。

意外なのが、何億円もある遺産のトラブルではなく、5000万円未満での事案が最も多いです。

さらに、子供のいないご夫婦はご注意頂く必要があると思います。

子供がいるといないと相続はどう変わる?

針田
針田

相続にはまず法定相続人と法定相続割合というのがあり、それを基本として遺産分割を行います。

亡くなった人が独身か既婚者か、子供・孫・親・兄弟の有無によってかなり変わってきます。

まず既婚者が亡くなった場合は、遺産の半分を配偶者が受取り、その夫婦に子供がいれば残りを子供で均等に分けます。

もし子供は先に亡くなっているが孫がいる場合は、孫が代襲相続人として子供(孫から見て親)の代わりに受け取ります。

子供がいない夫婦の場合には、配偶者は全部受け取ることはできないんです。

亡くなった方の親が生きている場合には、親が1/3を受け取り、残りの2/3を配偶者が受け取ることになります。

親もいない場合には、亡くなった方の兄弟が1/4を受けとり、残りの3/4を配偶者が受け取ることになります。

あまり知られていない相続の盲点ですね。

配偶者に全てを残す方法はない?

針田
針田

一つの方法として遺言書があります。

自分が亡くなったら配偶者に遺産の全額を相続させるという内容を用意しておきます。

一般的には遺言書があれば誰にでもすべての遺産を渡すことができるかというと、そんなことはありません。

遺留分といって、法定相続割合の半分は受け取る権利がありますので、これを相続人が求めた場合には、その求められた分は渡さないといけません。

例えば子供が一人いるご夫婦がいたとして、夫が先に亡くなる際に、遺言書で「妻に全額渡す」という内容を用意していたとしても、

子供は自分の法定相続割合(この場合は1/2)の半分、つまり1/4は自分も受け取ると求める権利があります。

子供のいないご夫婦で親もいない場合には、亡くなった方の兄弟に1/4の相続があると先ほど申しあげましたが、実は兄弟には遺留分は認められていないので、この場合においては「配偶者に全額渡す」という遺言は有効になります。

持ち家の評価を減らす方法

針田
針田

持ち家の相続には「小規模宅地等の特例」があります。

亡くなった方が住んでいた自宅の土地を相続する際には、330㎡つまり100坪までの土地面積に対しては、本来の評価額を8割減らしますという特例です。

例えば名古屋市内で70坪の自宅の土地を持っており、評価額(売買価格とは違います)が坪単価70万円の場合、掛け算をするとその土地の評価額は約5000万円になりますから、もし小規模宅地特例を使わないなら、相続税が発生する可能性はあります。

この特例を利用すると、5000万円の評価が8割減るので、評価額が1000万円まで減ることになりますので、納税の可能性も一気に下がりますね。

このように効果は絶大なのですが、特例利用には様々な条件があります。

特に子供が利用する場合には、「親と同居していること」もしくは「同居していなくても、子供が賃貸に住んでいること、かつその期間が相続発生時からさかのぼって3年以上前から続いていること」が必要です。

よって実家の評価額が高い場合には、この特例についてご自身で確認頂くとよいと思います。

空き家の場合はどうなる?

針田
針田

空き家の場合は、この8割減は利用できません。

もしその空き家を3年以上賃貸で貸し出していると、200㎡つまり60坪の土地面積までは5割評価額を減らすことができます。
例えばすでに親とは同居をしているけれども、祖父母が生前住んでいた家が空き家になっている場合には、これを貸し出すというのも検討してもよいかもしれませんね。

これも細かい要件がありますので、思い当たる方は専門家に相談してみるとよいと思います。

相続について、より詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。

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