副業を検討している方からのご質問です。
以前から会社員の副業を認める会社が少しずつ広がりを見せていましたが、コロナ禍においてその動きが強まったように感じます。実は私の勤めている会社もこの度、副業が解禁になりました。とはいえ、いきなり何かできるわけではないですが、もし実際に収入を得ることになったら確定申告などは必ずしないといけないでしょうか?教えて下さい。
私、伊藤がお答えします!
※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2020年11月2日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。
副業をする人は増えている?
一昔前に比べたら、本業以外に収入源を持っているという人は増えてきているように感じます。
当然、本業一本という人の割合の方がまだまだ多いですが、確実に増えてきているように思います。
副業をする人の特徴は?
皆さん動機はそれぞれあると思いますが、色々と考えられます。
例えば、本業の収入だけでは経済的にゆとりがないため、もう少しゆとりが欲しくて収入アップを狙う人、将来的に独立を目指していて、そこに向けて準備をしていく中で少しずつ収入にもなっている人、趣味や好きなことがたまたまビジネスに繋がって収入が得られるようになっている人など、色々なケースが存在していると思います。
副業で収入を得たら確定申告は必要?
副業で得られた収入の金額によります。
国税庁のHPにも記載がありますが、会社員の人が確定申告が必要になるのは次の3つのどれかに当てはまる場合です。
- 給与の年間収入金額が2000万円を超える人
- 1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
- 2か所以上から給与の支払を受けている人のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える人
副業で考えるべきは2つ目と3つ目のケースです。
2つ目は雑所得に該当し、誰かに雇われずに自分で仕事をしている副業で利益を出した場合が想定されます。
3つ目は給与所得に該当し、一般的なアルバイトなどに該当し、アルバイト先で年末調整を受けないために本業の収入と併せて確定申告をするという場合が想定されます。
事業所得かどうかは関係ない?
事業規模が大きくなってくると確かに事業所得というものも思い浮かびますよね。
実は会社員の副業の場合、例えば開業届を出して収入を得たとしても事業所得とは認められず雑所得とされるケースが多いです。
例えば、ライターの仕事をする場合、個人事業主としてそれをしている人は事業所得となりますが、副業の場合は必ずしもそうとは扱ってもらえないということです。
これは、会社員としての本業がある中で、副業に割いている時間が本業に比べて少ないことがほとんどであり、事業として客観的に成立していない、つまり雑所得として見られるということです。
事業所得にするメリットはある?
事業所得の場合、他の所得と損益通算ができます。
この損益通算というのは、例えば、会社員で給料をもらっていると基本的にはプラスだと思います。
ところが、事業所得の場合、いくら収入があってもその収入を得るためには様々な経費もかかり、最終的には赤字ということも考えられます。
もし、給与所得がある人が事業所得で赤字を出すと、黒字の給与所得から赤字の事業所得を差し引いて税金の計算がされるため、節税ができてしまうという構図になります。
会社員の副業が事業所得と認められるのは難しい?
会社員の人の副業が全て事業所得と見てもらえないということはありません。
その仕事が「事業所得」にあたるかどうかは、最高裁判所の判例や国税不服審判所の裁決などを見ると、次のようなポイントで判断されています。
- 自己の計算とリスクにおいて、独立して営まれていること
- 営利性、有償性があること
- 反復、継続して業務があること
- 取引に費やした精神的、肉体的労力の程度
- 人的、物的設備の有無
- 事業として客観的に成立しているか
こういった部分を満たしていれば十分に認められる可能性はあります。
税務的の問題は税務署に相談しよう!
もし税務署の場合は管轄の税務署に直接相談するのが確実だと思います。
確定申告をして、その内容について最終的に判断するのは税務署です。
相談の際には次のことについてまとめておくと良いです。
- 本業の年収と副業の年間売上額
- 副業の種類や労働時間
- 副業の外注費や事務所の有無
- 取引先との契約書や請負書
また、相談した日時や税務署の担当者名もしっかり記録しておくと良いと思います。
もし確定申告した際に例えば事業所得を雑所得ではないかと指摘されても、しっかりとした相談履歴があれば、落ち着いて対処することができると思います。
わからないまま何もしないのが一番危険ですので、しっかり確認して進めていきたいですね。
副業での税務の問題について、お困りごとがあれば小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。