一軒家を賃貸として貸している方からのご質問です。
現在、自分所有の一軒家に住んでいますが、仕事の都合でしばらく転勤することとなり、5年ほど人に家賃を払ってもらい貸すこととなりました。教えていただきたいのは、こういった場合の火災保険の入り方についてです。今は建物はもちろん、家財の保険にも入っており更に両方とも地震保険も付けています。貸す場合もこのまま入り続けるのか、また、貸す立場での何か別の補償が必要となるのかどうかが分かりません。分かりやすく教えていただけると助かります。
私、小宇佐がお答えします!
※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2020年9月14日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。
人に家を貸す場合の火災保険で必要な補償は?
自宅とは言え、家賃をもらって人に貸すわけですから、賃貸アパートを持っているような、いわゆる「大家さん」と同じだと考えてください。
火災保険・地震保険の入り方のポイントは、「自分のものは自分で補償を持つ」と考えると分かりやすいと思います。
建物は大家さんのものですので、大家さん側で火災保険・地震保険に入る、家の中にある家財が全て借主さんのものであれば、借主さんが保険に入っておく、ということです。
もしも家具家電も含めて貸す場合は、大家さん側も家財の保険に入っておいた方が良いですね。
ここに「他人の物を壊したり、損害を与えたときの賠償」を加えておくと、基本の補償としてはカバーできている状態になります。
賠償の保険はどんなときを想定したもの?
一軒家を貸す場合は、それほど多くないでしょうが、それでも例えを挙げると次のようなことが考えられます。
- 老朽化して破損していた施設の一部(外壁や屋根、雨樋など)が放置されたままになり、落下したり強風で飛ばされたりして(借主を含む)他人に怪我をさせたり、他人のモノを壊してしまった。
- 排水管が詰まって漏水し、借主さんの所有物に損害を与えてしまった。
- 玄関の床が滑りやすく借主さんが転倒して怪我をしてしまった。
こういったことを想定して、大家さん側は「施設賠償責任」という特約を火災保険に付けておくべきです。
台風のときも賠償責任は発生する?
法律上の賠償責任は生じないとする考え方が一般的です。
台風などの自然災害は不可抗力であって、予見できず、また回避することは不可能であるとされています。
そのため、自然災害によって建物などが損壊し、その損壊が原因となって第三者に損害が波及した場合は、法律上の賠償責任は生じないとする考え方が一般的です。よって施設賠償保険(特約)も支払われません。
ただ例外と言うか、賠償責任を問われる場合もあるので注意が必要です。
それは、所有者に管理上の過失があった場合、例えば建物の一部が損壊しているのも関わらず修理、保全がされないまま放置されていたときなどです。
いくら自然災害発生時でもその箇所が原因で損害が発生した場合は、賠償責任を問われてしまいます。
ちなみに自然災害が原因で建物や家財が損害を受けた場合は、それぞれの災害の内容に対応した風災、雪災、水災、地震保険などが特約などできちんと付いていれば補償されます。
このあたりの補償もカバーできた保険になっているかどうかも一度チェックされることはオススメします。
借りている側は、どう考えれば良いですか?
3つの保険に入ることをおすすめします。
借りている方は、最初にお話した自分の財産に掛ける家財保険(+地震保険)に、以下の保険を付けましょう。
- 借家人賠償責任保険(特約)
- 個人賠償責任保険(特約)
- 修理費用補償(特約)
3つのそれぞれの違いを簡単にご説明します。
①借家人賠償とは
大家さんから借りている建物に与えた損害を賠償するための補償と考えてください。
補償内容は「火災、破裂・爆発、水ぬれ」などとなります。
②個人賠償責任保険
個人が日常生活で他人に対して損害を与えたときの賠償で範囲はかなり幅広いです。
借主の立場で考えると例えば、自分の過失で転倒して借りている家の壁などを破損した場合などはm先ほどの借家人賠償責任保険の対象にはなりませんので入っておくべきです。
ただ、自動車保険などの特約で付けている方も多いので、その場合は重複して入る必要はありません。
③修理費用補償
自分の責任ではないが、契約上自分が修理しなければならないと決められているものを修理したときの費用の補償です。
例えば、空き巣に遭ってドアや窓を壊されたり、道路からの飛び石によって窓ガラスが割れたりといった借主には非がないようなケースでは、修理費用補償から修理費が支払われます。
つける保険のポイントは?
ポイントは、自宅を貸す場合でも、自分は「大家」の立場であると自覚し、建物を保全したり保険に入ったりすることです。
また借りられる方にも通常の賃貸の入居者と同じように賃借人が入る保険に入ることを条件にしておくことです。
貸す側、借りる側がこのように備えておけば、いざトラブル発生時でも大きな揉め事には発展しないのではないかと思います。
火災保険や地震保険について、詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。