台風被害の保険についてのご質問です。
ここのところ、台風による災害がとても多くなっています。
建物や車、人にも多くの被害が出ているため、我が家の備えも改めて考えないといけないと思っています。
天災による損害は、自分の保険でしか補償を受けられないとも聞きました。
例のゴルフ練習場のケースが今後どうなるかも気になります。
今後の我が家の備えとして、まずは火災保険、自動車保険について改めて考えていこうと思います。
注意点があれば教えてください。
私、針田がお答えします!
※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2019年9月27日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。
あのゴルフ練習場のケースはどうなる?
ゴルフ練習場側に瑕疵があるかどうかが争点になりますが、つまり今回の近隣への損害が予見できたかどうかですね。
予見できたのにその対策を怠っていたり、設備に老朽化があり壊れることが予見できたのにほかっておいたり、管理責任の履行を怠っていたとみなされるとゴルフ練習場側に賠償責任が発生します。
その際にゴルフ練習場側が「施設管理所有者賠償責任保険」という保険に加入していれば、そこから被害に遭った方へ保険金が支払われます。
ゴルフ練習場側に責任があるとみなされれば、被害額は補償される?
基本的にはそうなのですが、しかし、この保険は無制限補償ではなく、上限を1億や2億と設定して契約する為、被害額がそこを超えてしまったら、超えた分は補償されません。
また賠償責任保険というのは原則、時価額での評価となります。
よって築年数の古い家屋の場合には時価額は購入金額よりかなり低くみなされることもありますから、いずれにしても被害に遭った方が損害を被った分を復旧するために必要な金額を、満額補償してもらえることは無いと考えられます。
いっぽうでゴルフ練習場側に責任は無いとみなされた場合は、被害に遭った方はご自身の火災保険から補償を受けるしかありません。
ちなみに火災保険の多くは時価ではなく新価で損害を評価されますから、築年数が古いから補償の金額が少なくなるということはありません。
火災保険に加入していれば大丈夫?
ケースバイケースです。まず住宅用の火災保険なら、家屋やそこに収容される家財が補償の対象となります。
お店や工場など住宅用の建物でない場合には、建物やそこに収容される設備・什器・備品や商品が補償の対象です。
ここで注意点なのですが、敷地内にある構築物です。
想像して頂きたいのですが、住宅用の建物なら、敷地を囲むブロックフェンスや、カーポート、照明などが想像出来ると思います。
お店や工場なら、固定式の看板やキュービクルのような設備や、他にも色々あるかと思います。
この敷地内の構築物や屋外に設置された設備については、自動的に補償される保険もあれば、それらには別途保険をかけないといけない商品もあります。
台風などの突風による被害は、建物が無事でもほかの構築物が被害を被るというケースも非常に多いので、ご自身の契約がどこまでを補償の対象としてもらえるのかは、ご確認ください。
家財はどうなる?
は家財にも別途保険をかけていれば補償されます。
突風で屋根やガラスが破損され、それにより屋内の家財に被害が生じた場合は、「風災」という補償でカバーされます。
もしくは豪雨による土砂崩れや洪水など、水が原因の被害については、「水災」という補償でカバーされます。
ここで注意しないといけないのは、火災保険の多くは、高額な貴金属や宝石類、美術品や骨とう品などについては、一組30万円までしか補償されないという点です。
さらにひとつの災害で補償されるのは100万円が上限となっていることが多いです。
よってそのようなもの持っていらっしゃる方は、「明記」というのですが、別途申告をしてそれらに保険を掛けることもできます。たとえば絵画なら、購入当時の鑑定書などを添付して火災保険契約に加えることが出来ます。
ご自宅の中に複数そういったものを所有している方は、検討しても良いかもしれませんね。
あともう一つ注意点ですが、家財についてはもともと保険をかけていない方も多いです。
建物の火災保険は、住宅ローン利用時に、融資契約の上で火災保険加入が必須になっています。
災害で建物に被害が出ると、金融機関としても担保価値が損なわれてしまうからですね。
いっぽうで家財の加入は必須になっていませんので、家財に保険をかけていない方というのも実は多いです。
他に注意することは?
古い保険契約によく見受けられるのが、「風ひょう雪災害フランチャイズ形式」の契約です。
これは風ひょう雪の災害については、損害額が20万円を下回ると補償の対象とならないというものです。
よって突風でカーポートや雨どいに少し被害が出て、仮にその修理費用が18万円の場合、保険金は支払われません。
修理費用(損害額)が21万円なら、21万円が支払われます。なんだか変な感じがするかもしれませんが、古い保険契約や、いまでも一部の保険商品には残っています。
車やバイクは自動車保険で対応
はい、火災保険では補償されないので、自動車保険の車両保険に加入していれば補償されます。
注意点しないといけないのは、バイクの車両保険というのは自動車のそれとは補償内容が違う(補償範囲が狭い)という点です。
例えば盗難は各保険会社ともに補償の対象とはなりませんし、風災や水災も保険会社によっては補償の対象としていないこともあります。
このように、損害保険というこは生命保険よりもかなり複雑です。亡くなったら幾ら、入院したら幾らというように単純ではないんですね。
ですので損害保険については特に専門の方に相談をされた方が良いかもしれませんね。詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。