夫の扶養に入り続けて今後も大丈夫?適用範囲と注意点をFPが解説

夫の扶養に入り続けて今後も大丈夫? マネー情報

会社員の方からのご質問です。

私は現在、いわゆる扶養の範囲内でパート勤務をしており、夫が会社員として働いています。年金や健康保険などの保険料は夫の扶養に入っているということで支払わなくても良い状況です。今後、制度の改正などにより、もしかしたら今とは違う形になっていくのかもしれませんが、仮に大きく変わらないとした場合、私自身はこの先もずっと扶養に入った形でいけるのでしょうか?教えて下さい。

伊藤
伊藤

私、伊藤がお答えします!

※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2020年12月7日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。

社会保険の扶養はどの場合に適用される?

例えば、今回のように夫が会社員で、厚生年金の被保険者(いわゆる第2号被保険者)、健康保険被保険者という状況であると、勤務先から受け取る給与や賞与の額に応じて厚生年金保険料や健康保険料が計算されて納めています。

一方、妻が専業主婦もしくは働いていても年収が130万円未満であり、夫の年収の1/2未満である場合には社会保険について夫の扶養に入ることになります。

伊藤
伊藤

なお、一定の障害がある場合や60歳以降については年収が180万円未満であるという要件になります。

106万円の壁はなかった?

先ほどの例でいきますと、妻自身が従業員501人以上の企業で週20時間以上、賃金月額88,000円(年額換算で1,056,000円)以上等の条件を満たして勤務した場合には、例え130万円未満の年収でも年金、健康保険ともに自身が被保険者になるということです。

伊藤
伊藤

1,056,000円の部分をとって、いわゆる106万円の壁と呼ばれています。

扶養には年齢制限はある?

伊藤
伊藤

まず年金制度上においては、被扶養配偶者として国民年金第3号被保険者という立場になります。

これについては60歳までです。

また、健康保険制度上においては60歳以降もなることはできますが、最大でも75歳までです。

ただこれは制度上の上限であり、実際には夫が何歳まで勤務するのか、夫婦のうちどちらが年上か、夫婦の年齢差が何歳かなどによって変わってきます。

年金制度上の注意点はありますか?

伊藤
伊藤

先ほど、60歳まで扶養になれるとお話ししましたが、これは夫が国民年金2号被保険者の会社員として勤務していることが前提です。

例えば、夫が5歳年上だった場合、夫が63歳の時に国民年金第2号被保険者の会社員として勤務していれば、妻は年金制度上の扶養に入っていることができます。

ただし、夫が65歳になった時、在職していても本格的に老齢年金を受給することになります。

その際、夫は厚生年金被保険者ではあるものの、国民年金第2号被保険者ではなくなるため、妻は国民年金第3号被保険者ではなくなります。

今回の例の場合は5歳差だったため、夫が65歳になったら妻が60歳になるため、そもそも妻の年齢的に扶養から外れます。

ところが、これが例えば8歳歳とかであれば、夫が65歳の時に妻は57歳で、まだ60歳になってはいないものの、夫が国民年金第2号被保険者ではなくなるため、妻は扶養には入れなくなるということです。

国民年金第1号被保険者として60歳まで保険料を納める必要が出てくるわけです。

健康保険制度上の注意点はある?

伊藤
伊藤

先ほど、最大で75歳までとお話ししました。年金制度と違い、65歳でも70歳でも会社員であれば健康保険の被保険者になりますので、配偶者も要件を満たせば扶養に入ることができます。

ただし、75歳になると後期高齢者医療制度へ移行するため、夫が会社員として引き続き勤務していたとしても、妻は75歳未満であったとしても扶養に入ることはできなくなります。

当然、妻が年上で先に75歳になった場合は、夫が75歳未満で会社員として勤務していたとしても、妻は後期高齢者医療制度へ移行するため、夫の健康保険上の扶養からは外れることになります。

他に注意することはありますか?

これまでお話ししたことは現在の制度に基づいてのものですが、年金制度と健康保険制度で扶養の要件が変わりますので改めて注意が必要です。

少子高齢化の流れもあり、年金制度、健康保険制度ともに今後も改正されていくことが十分想定されます。

伊藤
伊藤

何が正解ということはないと思いますが、状況に応じて活用できることは活用しながらも、制度に縛られすぎて窮屈な人生にならないようにしていきたいですね。

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