年金の支払いは損をする?崩壊リスクや支給額の計算方法をFPが解説

年金は損? マネー情報

年金の支払いの損得についてのご質問です。

少子高齢化が進んで、将来もらえる年金がどんどん少なくなるので、特に若い人ほど年金保険料を払うのは損だという声を耳にします。確かに今もらっている人たちの方よりもこれからもらう人の方が少なくなるとは思うのですが、若い世代でも払って損とは思わせない何かがあるのなら教えて欲しいです。お願いします。

伊藤
伊藤

私、伊藤がお答えします!

※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2020年3月23日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。

損だから年金保険料を払っていない人がいる

伊藤
伊藤

払った以上にもらえる可能性が少ないということで払わないという人は一定数いますね。

年金保険料は会社員の方でしたら給与天引きされますので、強制的に支払っている形ではありますが、自営業者やフリーランスなどの人はご自身で支払う形となっているのが一般的です。

払っていない人の率、いわゆる未納率ですが、メディアによっては全体の半分くらいあると書き立てるところもあります。

本当に2人に1人も払っていないのか?

伊藤
伊藤

年金には主に3通りあります。

自営業者などが加入する第1号被保険者、会社員などが加入する第2号被保険者、第2号被保険者のいわゆる扶養となっている専業主婦などの第3号被保険者です。

第1号は約1505万人、第2号は約4356万人、第3号は約879万人で合計で約6731万人います。

このうち、年金保険料を払っていないのは、支払いを免除されている人が約574万人、本当の未納者が約157万人で合計で約731万人となっています。

この約731万人を主に自分で支払う第1号被保険者全体の1505万人で見れば約半分となりますが、支払い免除されている人は行政が認めた人たちですので、実質の未納者は約157万人となります。

これを第1号被保険者だけで見れば全体の約10.4%、全体で見ると、約2.3%ということになります。

伊藤
伊藤

つまり、実態を見れば実質の未納率はかなり低い数値になっています。

年金制度が崩壊するのか

伊藤
伊藤

日本の年金は現役世代が受給世代にお金を渡す仕送り方式になっています。

少子高齢化により、昔より現役世代の割合が減っているため、仕送りする側が減っているのは事実です。

年金保険料の総額は減ってはいるものの、制度自体が崩壊するというものではありません。

ただ、減っていることに変わりはありませんので、受給年齢の繰り下げ、現役世代の負担額アップなどの議論は尽きません。

払い損になる可能性は?

伊藤
伊藤

先ほど年金は仕送り方式であるとお伝えした通り、支え合いによって成り立っているものであり、また預貯金ではなく保険料となっています。

ですので、制度自体が支払った分をもらうというものではなく、長生きしたら長生きした分、多く受給できる仕組みになっています。

ただ、そうは言っても自分で払った分くらいは将来自分に戻ってきて欲しいと思うのは当然だと思います。

実際に損か得か試算データはある?

伊藤
伊藤

少し古いデータにはなりますが、厚生労働省の平成26年財政検証結果レポートによると、2014年の経済状況を鑑みて計算されたものがあります。

例えば、厚生年金を支払っている2015年に45歳になった方(今年50歳になる方)は最も経済状況が良くないと仮定した場合でも給付負担倍率、つまり払った保険料に対する平均余命までの受給総額は2.5倍となっています。

同じく、国民年金のみの場合だと1.6倍になっています。

つまりどちらのケースでも払い損はないということになります。

ちなみに、厚生年金の方が倍率が高いのは、会社の負担分もあるためです。

あくまで現時点の年金制度等を基にした試算ではあるため、当然、今後も必ずこの通りというわけではありませんが・・・。

将来自分の年金額を確認する方法はある?

伊藤
伊藤

目安となるのが毎年誕生日月に送られてくるねんきん定期便です。

50歳以上の方は60歳まで働いた場合の受給見込額が記載されています。

50歳未満の方は目安を出すためにちょっとややこしい計算を必要とします。

ねんきん定期便に加入実績に応じた年金額という記載箇所があります。

例えばそこに70万円と記載されていたとします。そして、例えば45歳の方が60歳までの15年間を年収500万円で働くと仮定します。

この場合、次のような計算式で年金額の目安が計算できます。

【700,000+20,000×15年+5,000,000×15年×0.005481=約1,411,000円】

ちなみに、計算式の中の2万円は給料でいうところのベースアップのようなものです。

また、0.005481は年金額を計算する時に用いられる数値です。

このケースだと、年金額は月あたり約12万円ということになります。

伊藤
伊藤

あくまで参考程度にはなってしまいますが、ご自身の場合はどうなのかということも知っておくと良いと思います。

年金や将来のお金の準備について、詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。

小宇佐・針田FP事務所への問い合わせはこちら

タイトルとURLをコピーしました