健康保険について40代会社員の方からのご質問です。
40代会社員です。
先日、私の勤める会社がM&Aにより大手の企業の傘下に入ることになりました。
それにより総務部から、「健康保険が変わるので保険証を返却してください。」と言われました。
ひとまず言われた通り提出しましたが、ふと思ったのは、健康保険が変わるというのはどういうことか?今後は保険料が変わるのか?
といったことです。
いまいち仕組みについてよく分かっていないことに気づきました。
保険料はいつまで払うのか?老後は払わなくてよいのでしょうか?
これを機に知っておきたいです。
私、針田がお答えします!
※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2019年3月25日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。
健康保険について、基本的なおさらい
皆様ご存知の通り、日本は「国民皆保険」といって、すべての国民をなんらかの公的な医療保険に加入させるという制度がありますね。
いまから約50年前の1961年、「国民健康保険法」の改正によりこの仕組みが確立されました。
これにより皆様は原則何らかの公的医療保険に加入していますが、これには職種や年齢ごとで分けられた様々な種類があります。
健康保険と国民健康保険
まず会社や何らかの団体に勤める方が加入するのが「被用者保険」といって、この中には健康保険や船員保険、共済組合などが含まれます。
このうち「健康保険」については、「組合けんぽ」と「協会けんぽ」に分かれます。
まず「協会けんぽ」ですが、これは大企業をイメージしてください。
こういうところでは、独自の健康保険組合を設立しているところが多く、その企業に勤める方のみが加入できるのが「組合けんぽ」です。
いっぽう「協会けんぽ」ですが、これは健康保険組合が運営する公的な医療保険で、おもに中小企業に勤める方が加入するものです。
そしてどの健康保険にも加入できない、つまり自営業の方や農業の方、働いていない方が加入するのが「国民健康保険」です。
これはそれぞれの市区町村が運営をします。
健康保険と国民健康保険は何が違うの?
いくつかある中で最も大きな違いは、扶養という仕組みがあるかないかです。
健康保険には扶養という仕組みがあります。
つまり夫が働いているが妻は専業主婦やパートで夫の扶養に入っている場合、妻は健康保険料を納めなくても、夫と同じく医療費は一部負担でOKです。
保険料を納めていなくても、扶養に入っていれば、収めた人と同等の保障を受けることができます。
いっぽうで国民健康保険には不要という概念はないので、夫が自営業や農業の方で国民健康保険に加入している場合は、妻も自分で健康保険料を負担することになります。
他にも違いはある?
健康保険は労使折半といって、勤務先の会社や団体が保険料の半分を負担してくれます。
これは厚生年金も同じですよね。国民健康保険は全額自己負担ですから、この違いは大きいです。
そして付加給付の有無の違いもあります。
付加給付というのは、大企業にお勤め方だとイメージがわきやすいと思いますが、大企業の「組合けんぽ」では、一か月にかかった医療費のうち、設定金額を超えた分は組合けんぽが負担するというものです。
ここで「高額療養費制度」を思い浮かべた方は鋭いです。
高額療養費というのは、一か月にかかった医療費の自己負担額が、ある一定の金額を越えたら、超えた分は自己負担しなくてよいという制度ですよね。
年収が約770万円未満なら約8万円、年収770万円~1160万円未満なら約16万円、年収1160万円以上なら約25万までが一か月の医療費負担の上限です。
そして先ほど申しあげた「付加給付」というのは、ここからさらに自己負担を下げるという制度です。
これは加入する組合けんぽにより異なりますが、厚労省の指導では25,000円という金額が設定されています。
つまり本来は約80,000円が医療費負担の上限のところが、25,000円が上限になるので、差額の55,000円は組合けんぽが負担してくれます。
私たちのような職種の人間からすると、ものすごく魅力的な制度ですね。
健康保険は何歳まで支払うのですか?
基本的に、保険の被保険者である以上、支払いはずっとです。
ただ75歳以降は後期高齢者医療制度に変わりますので、健康保険料というものの支払いは74歳までということになります。
ただし後期高齢者医療制度も、保険料の支払いはありますからご注意ください。
年金収入などに応じた保険料の負担をすることになります。都道府県ごとで保険料は異なりますが、愛知県の場合、インターネットで保険料の試算が出せます。
年金が年間200万円でお一人様の場合、後期高齢者医療保険料は、年間約77,000円となります。
自分でも何か備えた方が良い?
いまの医療費の自己負担は、原則70歳未満は3割、70歳~75歳は2割、75歳以上は1割です。
70歳以上の方でも、現役並みの所得の方は3割ですが。これは今の人口比率で成り立っているわけです。
つまり日本国民約1憶2000万人のうち、約60%が15~65歳未満のいわゆる生産年齢人口、65歳以上が約25%、残りが子供という比率です。
いっぽうで皆様ご存知の通り、今後は65歳以上の比率は増えていきますよね。
単純に考えても、現行の社会保障制度の維持をするのは、難しくなってくるといえます。
医療費の自己負担は増えるかもしれませんね。現役のうちならまだしも、年金生活の中で医療費の負担が増えるというのは、人によっては苦しい負担となると思います。
なのでご自身でも、何らかの形で備える必要はあると思います。現金などの貯蓄で備えるのか、民間の任意保険で備えるのか、会社の団体保険で備えるのか、いろんな方法があると思います。
専門家にも相談しながら、いつか必ずやってくる老後というものに向き合うのも必要だと思います。老後の保険について、詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。