保険の名義と税金の関係は?マイナンバー制による制度の変化をFPが解説!

保険の名義と 税金 マネー情報

保険の名義と税金についてのご質問です。

個人年金保険に入っていますが、数年前に仕事を辞めたのをきっかけに契約者(名義人)を奥さんに変更しました。年金の受取人は私です。
先日長年付き合っている保険屋さんから「今年から税務署に支払い証明を出すのが法令化された。今の契約状況では満期になると税金がかかるから名義を変更したほうがいいのでは?」と提案されました。
どうもマイナンバーの関係で奥さんが払った保険を私が受け取ると贈与税がかかるということでした。

今年から制度がどのような変わったのか、名義を元に戻すと税金を払わなくて良くなるのかどうか、詳しく教えてください。

小宇佐
小宇佐

私、小宇佐がお答えします!

※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2017年7月10日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。

保険を受け取るときに贈与税がかかる?

贈与税がかかることはあります。

保険の契約には基本的に契約者(名義人)、被保険者、受取人と 3人の登場人物が出てきます。

契約者はその保険の所有者で名義人という場合もあります。契約者が保険料(掛金)を負担します。

被保険者はその保険が誰に(誰の体に)かかっているかということです。

受取人は保険金・給付金や満期金を受け取る人です。

この契約者、被保険者、受取人をどう設定するかで受けとるときの税金も変わってきます。

例えば一般的な例として、契約者:夫、被保険者:夫、受取人:妻という死亡保障の場合を考えると、この場合受け取るときは夫が死亡したときですので保険金は相続税の対象となります。

小宇佐
小宇佐

※死亡保険金には一定の非課税枠と言うものがありますがここでは複雑になるので省きます。

個人年金(確定年金)の場合だと契約者:夫、被保険者:夫、年金受取人:夫、死亡保険金受取人:妻というのが一般的で満期(年金受取開始)まで死亡しなければ受け取る年金には所得税(雑所得)がかかります。
※原資よりも増えた部分の金額に対して。
※ちなみに住民税もかかります。
※一括支払いの場合は一時所得

奥さんが契約者だとどうなる?

これが契約者:妻、被保険者:夫、年金受取人:夫、死亡保険金受取人:妻とした場合はどうなるかというと、満期(年金受取開始)まで死亡しなければ、まず年金支払い開始時に贈与税がかかります。

贈与税はその時点の解約返戻金相当額といって解約したら戻ってくる額ですので一般的には払い込んだお金の合計プラス運用で増えた分になるので、長年かけている個人年金であれば贈与税(年間)非課税枠の110万円を超えてきます。
(毎月1万円の掛金でも20年間続けていれば240万円。運用のプラス分を含めずに考えてもこの場合で13万円の贈与税がかかります)
(2万円/月で20年間だと480万円→49万円の贈与税)

小宇佐
小宇佐

年金を受け取り始めてからも原資より増えている部分に雑所得がかかるのは変わりません。

例えばおじいちゃん・おばあちゃんや両親がかけてくれていた、と言うのであれば贈与税を払ってでも個人年金が受け取れるのはうれしいですが、夫婦で同じ家計のはずなのに契約の仕方の違いで贈与税がかかるのはもったいないですよね。

ちなみに奥さんが専業主婦だとしても自分(奥さん)が契約者となることは全く問題ありませんので、やはり個人年金の場合は特別な理由がない限りは契約者・被保険者・年金受取人は同一にしておいた方が良いと思います。

このしくみ(税制度)の変更点は?

この契約形態とかかる税金については以前から変わっていません。

変わったのは生命保険会社が税務署へ提出する法定調書(支払調書)にマイナンバーの記載が法令で義務付けられたことです。
※受け取る側が貰う支払調書にはマイナンバー記載なし。

個人年金について言えば、契約者と受取人が別人の場合は契約者と受取人のマーナンバーの記載が必要です。

契約者、受取人が同一の場合でも年間の年金支払額が20万円を超えるときは契約者のマイナンバーの記載が必要になります。

ちなみに生命保険(死亡保障)では保険金や解約返戻金が100万円以上ある場合にマイナンバー記載の法定調書(支払調書)の提出が義務付けられています。

小宇佐
小宇佐

支払調書は以前より税務署に提出されていたのですが、マイナンバー記載の義務化により誰が払ったものを誰が受け取るかがより明確になるということです。

この質問者の方の場合、名義変更しても遅い?

小宇佐
小宇佐

いえ、遅くはないです。

この個人年金に対して誰がいくら払ったかが重要になります。

今回名義変更すると、契約者(名義)は、本人→奥さん→本人と変わることになります。

奥さんが総額でいくら払ったかにより年金受け取り時の贈与税が発生するかどうか変わってきますので、それを考えると少しでも早く名義を自分に戻して自分で払った方が良いです。

今後保険の名義(契約者)変更については国・税務署がしっかり把握できるように改正されていく方向ですので、きちんとした契約形態にしていくことが重要になってきます。

保険金についてのご相談は小宇佐・針田FP事務所にお任せください。

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小宇佐 拓宏

小宇佐・針田FP事務所代表ファイナンシャルプランナー。住宅マネープランナー協会代表。2001年早稲田大学人間科学部卒業後、マンションデベロッパー・損保系大手生命保険会社での経験を経て2010年小宇佐FP事務所として独立。2011年小宇佐・針田FP事務所に名称変更専門分野は投資・運用。自らもFXや米国株投資を積極的に行う。

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