外貨建ての保険の運用についてご質問です。
父がもらった退職金をそのまま寝かせておくのはもったいないと思い、銀行に相談しに行ったところ『外貨建て保険』を勧められました。私もよく分からないのでインターネットなどで調べていたところ高齢者を中心に結構トラブルになっている様子です。株や不動産よりは手軽で安全のような気がするのでしっかり理解すれば大丈夫だと思っているのですが、外貨建て保険で運用する場合の注意点などありましたら教えてください。
私、小宇佐がお答えします!
※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2018年3月12日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。
外貨建ての保険のトラブルとは
国民生活センターに寄せられている相談で「元本割れ」に関するものが多いようです。
「解約しようとしたら元本より少なかった」「満期が来たのに9割ほどしか受け取れなかった」「受け取ってはいないが大きな運用損になっているので心配」といった内容です。
元本割れの原因は?
こういった退職金などの運用目的で入る保険は「一時払い」と言って申込時にまとまったお金を一括で入れるものがほとんどです。
そうするとその申込時の為替レート、主に米ドルや豪ドルになりますが、かなり重要な要素になってきますね。
そして解約や満期などでお金を受け取るときの為替との差で仮に運用で外貨ベースでは確実に増えていても日本円で換算するとマイナスになっているということは十分考えられます。
ところが、元本割れの原因はそれだけではありません。
変額保険
まず運用の方法に注意する必要があります。
一般的には保険料(掛金)として集めた資金の大部分を利回りの高い米国債や豪州債などで運用します。金利の増減はありますがこの場合、確実に少しずつ増えていきます。
ところが商品によっては「変額保険」と言って運用方法が異なるものがあります。
保険料(掛金)の一部が特別勘定と呼ばれるファンドにおいて株や債券などで運用され、その運用実績において保険金や解約返戻金の金額が増減します。
運用方法は自分で組み合わせを選べるものや保険会社の決めたファンドで運用するものなどさまざまです。
このような保険商品の場合、運用の結果によっては元本割れをする可能性は当然あります。(ただし死亡保険金は最低額が保証されている)
「早期の解約」にも注意
そもそも運用商品は2~3年といった期間では利益を出すことは難しいです。いろいろな意見はありますが最低でも7年、できれば10年~15年は運用したいところです。
こういった商品は最初の時点で手数料などが差し引かれるためマイナスからのスタートになるものがほとんどです。
その回復期間を過ぎて初めてプラスに転じていく、その後うまく行っても先ほどの7年とか10年とか、そのくらいの時間は普通に掛かってきます。
定期預金の感覚で3年後に引き出すと運用はマイナス、為替もその時次第と言うことになり、多くの場合元本割れをするはずです。
外貨建ての保険運用の注意点は?
外貨建て保険運用の注意点はまとめると3つです。
①まず仕組みをしっかり理解すること。
トラブルの大半は販売側の説明不足もしくは顧客側が十分に理解できていないことです。
理解できなければ申し込まないか、家族にも聞いてもらって理解してもらうことです。
特に運用方法や金利、各種手数料などは大変重要です。
②短期間での運用の場合保険商品は使わないこと
最低10年は運用して寝かせられる資金であれば良いですが、3年後、5年後に必要な資金を投入しないことです。
③最後の受け取りを外貨でもできるような商品を選ぶ
最後の受け取りを外貨でもできるような商品を選べば、為替リスクを少しでも抑えられます。
今は銀行で簡単に外貨口座が作れます。
事前に運用の仕方を知っておくことが大切
受け取り時点での為替が思わしくなくても、ひとまずその外貨のまま受け取ることで、為替が少しでも良くなる時期まで待つことができます。もしくは外貨のまま使用することもできるかもしれません。
このようなことに気を付けておけば大きなトラブルにはならず、大切なお金を失うこともなくなるはずです。
外貨建ての保険や資産運用について、詳しく知りたい方は小宇佐・針田FP事務所にご相談ください。