相続の名義変更忘れに罰則がある?罰則の条件や内容について

相続 名義変更忘れ マネー情報

30代男性からのご質問です。

父親の持っている土地に息子である私が家を建てようと計画を進めていたところ、土地の名義が実は亡くなった祖父(父の父)のままであることが分かりました。
祖父は特別資産家でもなく、子どもも父と父の妹の2人だけだったので相続のときは税金も発生せず揉めることもなかったのでそのままになっていたようです。
気になるのは父に名義を変更する手続きをしていなかったことでペナルティがあるかとういうことと、私が家を建てるにはどんな手続きをすれば良いか、ということです。
分かりやすく教えていただけると助かります。

小宇佐
小宇佐

私、小宇佐がお答えします!

※CBCラジオ「北野誠のズバリ」で2022年5月16日放送されたテーマを記事にしております。
※ラジオ出演時のFPと本記事で解説するFPが異なる場合があります。ご了承ください。
※ラジオ放送時の法律・税制に基づいておりますので、記事閲覧時と異なる場合があります。ご了承ください。

名義を変更し忘れに罰則はない

現時点では罰則はありませんが、罰則や実害がないことでいわゆる「未登記土地」や「所有者不明土地」と呼ばれる土地の増加が国レベルの問題となってしまいました。

これが本当に深刻で、2016年時点で九州本島の面積(約367万ヘクタール)はとっくに超えていますし、2040年には北海道本島の面積である約780万ヘクタールに近づくと予測されています。

問題はその所有者不明の土地の管理などにかかるコストで、2016年時点で約1800億円、2040年では約31000億円になると試算されています。

小宇佐
小宇佐

このままではまずいということで、その対処として2024年4月1日から相続登記が義務化されることとなりました。

登記をしないことでメリットはある?

積極的なメリットがある訳ではないと思います。

まず相続登記をしていないのは、資産価値や利用価値の低い土地である場合がほとんどです。

そのような土地は、売れもしないし利用もできないので相続の際に取り合いではなく押し付け合いになったりします。

そうやって問題が先送りされ、結局放置されたままになってしまいます。

更に相続登記するにはある程度の手間や費用がかかります。

利用価値のない土地にあえて手間や費用をかけてまで相続登記をしようとしない人がいるのは分からなくはないですよね。

小宇佐
小宇佐

罰則がなければ尚更だと思います。

2024年4月からできる罰則の内容は?

期限はその土地の取得を知った日から3年以内です。

一般的には亡くなられた日から3年以内と考えて良いと思います。

正当な理由なくその期限内に登記申請をしなかった場合には、10万円以下の過料に処されることとなります。

小宇佐
小宇佐

またその土地の相続人であることも法務局に申告しなければいけなくなりますし(相続人申告制度の創設)、土地の所有者が氏名や住所を変更した場合も2年以内に変更登記申請しないと5万円以下の過料というペナルティが発生するようになります。

改正前に放棄された土地はどうなる?

そもそも「所有者不明の土地」を減らすことが趣旨ですので当然対象になってきます。

変更されるかもしれませんが、制度開始から3年以内の登記義務が発生するとされています。

相続放棄された土地を正常に戻す方法は?

質問の内容に戻りますが、相続登記をしていなかった土地を正常な状態に戻すのはどんな手続をすればいいんですか?

流れとしては

①祖父の相続人が誰かを確認する
②遺産分割協議をおこなう
③相続登記の手続きをする

となります。

ただ、時間が経っているほど複雑になる場合もあります。

例えば本来の相続人が、祖父から見て子ども3人だったとしてその子どもが既に亡くなっていることも考えられます。

そうするとその亡くなった方の配偶者や子ども(祖父から見ると孫)が相続人となります。
(数次相続:財産を相続する権利を相続すること)

このような関係の人全員の所在を確認し連絡を取る必要がありますが、連絡先が分からない場合は、祖父の戸籍謄本や除籍謄本などを辿って、現在の住所を特定していくこととなります。

小宇佐
小宇佐

考えただけで大変そうなのが分かりますよね。

更に現在の相続人が全て判明して連絡が取れたとしても、その財産(今回は土地)をあるひとりの人が取得することを全員に同意してもらう必要があります。

同意してもらえなかったり、相続分に当たる金銭を要求されたり、面倒だからといって連絡を無視する人がいる、といった可能性も十分考えられます。

最終的に話し合いがまとまったら初めて遺産分割協議書が作成できます。

遺産分割協議書には全員に実印で押印をもらう必要がありますし、相続登記の申請の際には全員の印鑑証明書も必要となるので、あらかじめ段取り、連絡しておくことをお勧めします。

小宇佐
小宇佐

ここまでおこなって、ようやく未登記土地の相続手続きが完了します。

ここまでしてようやく正常な状態になる

ここまでやってやっと質問者の方の父親の名義になったということですね。

これでやっと正常な状態です。

実際にはその先で質問者の方が引き継ぐことも考える必要が出てきます。

手間や費用は掛かるけど、やはり後々のことも考えると相続登記はきちんとやっておくべきだと思います。

小宇佐
小宇佐

今後は義務化され罰則も科されるので、今のうちから親族間でそのような状態の土地があるかどうかを確認しておくことをオススメします。

相続放棄された土地についてのご相談は小宇佐・針田FP事務所にお任せください。

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小宇佐 拓宏

小宇佐・針田FP事務所代表ファイナンシャルプランナー。住宅マネープランナー協会代表。2001年早稲田大学人間科学部卒業後、マンションデベロッパー・損保系大手生命保険会社での経験を経て2010年小宇佐FP事務所として独立。2011年小宇佐・針田FP事務所に名称変更専門分野は投資・運用。自らもFXや米国株投資を積極的に行う。

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